"吹雪の一杯" 第10話
どこにしまった?
古い箪笥。
化粧箱。
押し入れ。
探す。
見つかった。
紺の箱。
底に。
い布。
剥がす。
その。
さな鍵。
札。
《信信用庫 貸庫》
富美子は。
言葉を失った。
翌。
必な相続続きを確認し。
信用庫へった。
隆名義の貸庫は。
。
利用止になったまま。
だけが残っていた。
類は。
つの封筒に分けられていた。
つ。
共同源泉の持分証。
つ。
昔の関係類。
つ。
《富美子へ》
夫の字。
そのでは。
けられなかった。
旅館へ帰る。
夜。
囲炉裏にを入れる。
で。
封を切った。
《富美子へ。
これを読む、俺がいないなら、まず謝る。
おに相談しなかったことがすぎた》
最初ので。
界が滲んだ。
《旅館を売る話をした。
これは本当だ。
ただし、条件をつけた》
別。
と緒に。
原本が入っていた。
《度500メートルを超える掘削をわない》
《共同源泉の利用権を社へ集させない》
《旧林部の壌調査が完するまで発事をわない》
《灯里館の建物について、最10は保利用を協議する》
夫は。
売ることそのものを拒んではいなかった。
ただ。
条件をつけていた。
の。
昔の調査。
旅館。
全てを。
だけで切り売りしないための条件。
《辰の杉本は、昔からこのを欲しがっている。
俺は、古いものを何でも残せばいいとはわない。
旅館だって、いつか終わる。
広告
俺も、おもそうだ》
隆らしい文章だった。
《ただし、終わらせ方は選びたい》
富美子は。
声をげて泣いた。
《もし俺が先にんだら、旅館を守れとは言わない。
売りたければ売れ。
やめたければやめろ。
でも、怖くなったからだけで決めるな。
借だけ見て決めるな。
誰かに「おには分からない」と言われて、そのまま決めるな。
最は、おが決めろ》
富美子は。
を膝のへ置いた。
。
「夫の旅館を守らなければ」
そうっていた。
でも。
隆は。
守れとは。
度もいていなかった。
《これは俺の旅館じゃない。
おと俺でやってきた旅館だ。
だから、最はおが決めろ》
富美子は。
涙を拭いた。
そして。
初めて。
夫のためではなく。
自分がどうしたいのか。
考えた。
辰リゾートが設定した最終回答の朝。
富美子は。
いつもよりく起きた。
囲炉裏にを入れ。
噌汁を作る。
特別なことはしない。
いつもの朝。
それが。
よかった。
午2。
が来た。
今回は。
ではなかった。
発事業部。
浦。
50代半ば。
笑顔は柔らかいが。
以に。
相が断らない提で話すだった。
「いご検討いただき、ありがとうございます」
席につくなり。
契約をす。
「では、売買続きのご説から」
「まだ売るとは言ってません」
浦のが止まる。
「ですが、本が回答期限です」
「だから、返事します」
富美子は。
広告
貸庫からてきた基本の原本を置いた。
別も。
その横へ。
浦の表が。
わずかに変わる。
は。
初めて見るようだった。
「これ」
富美子は言った。
「あなた方が持ってきたコピーにはありませんでした」
浦は。
すぐに表を戻した。
「過の交渉資料ですね。今回とは条件が異なります」
「夫の署名だけは、今回の資料にも使ってましたよね」
真帆が。
の付の同を置いた。
「こちらについては自治体が原本確認を始めています」
浦の目が鋭くなる。
「あなたは?」
「女将さんから相談を受けて、資料確認をしています」
「専でもないが」
「専にも確認しています」
真帆は。
落ち着いていた。
「それから、閉鎖林へ入った御社の両映像も自治体へ提済みです」
が。
浦を見る。
「部。これ、私は聞いてません」
「今は社内の話をするじゃない」
「私は現担当です」
の声が。
初めて。
司へ向かってくなった。
浦は。
富美子へ向き直った。
「女将さん。正直に申しげます」
囲炉裏を見る。
「にで話題になったそうですが、商売はそんなに簡単ではありません。半には、誰も覚えていない能性だってある」
「そうでしょうね」
「は待ってくれませんよ。1500万円でしょう?」
「はい」
「で残すには、きすぎる借です」
以なら。
その言葉を聞いただけで。
胸が苦しくなった。
でも。
今は違った。
富美子は。
半先までの予約覧をした。
組。
無理をしない宿泊数。
売実績。
広告
おすすめ作品
-
完結第15話
15年無給で働いた若女将を追い出した老舗旅館の末路
老舗温泉旅館「鶴の湯」に嫁いで15年。若女将の美里は一度も給料を受け取らず、料理から接客まで休む間もなく働いてきた。ところがある日、義母と夫はSNSで人気を集める若い女性を新しい若女将に迎え、美里を「時代遅れ」と追い出してしまう。長年守ってきた味も、常連客との約束も、彼らには何の価値もなかった。しかし、美里が去った翌朝から、旅館では思わぬ問題が次々と起こり始める。15年間、あの宿を本当に支えていたのは誰だったのか。職場逆転|人生逆転|嫁姑|第二の人生2.2万字5 336 -
完結第15話
正月、娘を家政婦扱いした義実家――私が下した決断
43歳のゆり子は、13歳の娘・美咲を連れて再婚した。しかし、結婚前は優しかった夫の賢二は、家事を押しつけ、娘の食事まで平気で奪うようになる。 迎えた初めての正月。夫の実家へ帰省した母娘を待っていたのは、休む間もない家事と姑からの冷たい仕打ちだった。さらに元旦、親戚の子どもたちがお年玉をもらう中、美咲だけが「他人だから」と仲間外れにされてしまう。人生逆転|嫁姑|夫婦|第二の人生|絶縁|親子関係1.9万字5 676 -
完結第15話
義母の老人ホーム代120万円を勝手に約束した夫
医療機器メーカーで働く結衣は、結婚以来、夫の翔太と義母の幸子に頼まれるまま、家電の買い替えや旅行代を負担してきた。月7万円の仕送りも、半分出すと約束した夫は一円も払わない。それでも家庭を壊したくない一心で我慢していたが、義母はついに結衣の勤務先へ送金を催促する電話をかけてくる。さらに夫は、義母が希望する高級老人ホームの入居金120万円まで、結衣に無断で支払う約束をしていた。夫のスマホに届いた一通のLINEをきっかけに、結衣は自分の人生を取り戻す決意をする。人生逆転|嫁姑|夫婦|絶縁|介護|金銭問題2.7万字5 1567 -
完結第15話
誕生日に姪を選んだ夫、3年後の再会で絶句
読書好きで控えめな陽菜子は、誠実だと信じていた夫・高尾と穏やかに暮らしていた。ところが三十歳の誕生日、夫は姪の百花を連れて現れ、妊娠を告げたうえで離婚届を突きつける。「子供ができないお前が悪い」と責められ、家まで追い出された陽菜子は、誰も自分を知らない町で新しい生活を始める。やがて高校時代の同級生との再会をきっかけに、少しずつ前を向けるようになっていく。そして数年後、偶然出会った元夫と姪の前で、思いがけない出来事が起こる。因果応報|人生逆転|夫婦|親子関係|修羅場|不倫2.1万字5 1524 -
完結第15話
「このおばあちゃん、危ない」六歳の孫が見たもの
六十八歳の静子は、夫を亡くしてから一人暮らしをしている。近所の蛇田さんは、毎日のようにお菓子を配って歩く親切なおばあさん。ところが、六歳の孫・小春だけは、なぜか彼女を避けていた。 ある日、三人でスーパーへ出かけると、小春が突然、静子の手を引いて言った。 「ばあば、このおばあちゃん、あぶない」 その直後、店員に呼び止められた蛇田さん。小春はいったい何に気づいたのか。お菓子に隠された秘密と、一人暮らしの老人たちが抱える寂しさを描く物語。人生逆転|祖父母と孫|真実|真相1.6万字5 328 -
完結第15話
二十通の辞表
祖父の跡を継ぎ、老舗料亭「綾瀬楼」の若女将となった28歳の蒼井。しかし総料理長の黒岩は、彼女を「高卒の小娘」と見下し、仕入れや経営への口出しを一切認めなかった。さらに創業100周年の記念宴会を翌日に控え、板前20人を引き連れて退職届を突きつけてくる。150人の客を迎える大切な宴席を前に、料理人が一斉に去るという絶体絶命の危機。ところが、土下座を迫られた蒼井は慌てるどころか、静かに微笑んだ。祖父が彼女を後継者に選んだ、本当の理由とは。職場逆転|因果応報|人生逆転|金銭問題2.2万字5 2884 -
完結第15話
高齢女性を後回しにした受付――絵を替える女性の正体
町の内科クリニックに長年通う68歳の静子は、知人の山田さんが何度も診察の順番を飛ばされていることに気づく。受付の沼田は、特定の患者ばかりを優先し、理由を尋ねる山田さんには冷たい態度を取っていた。やがて山田さんは、受診することさえ怖くなってしまう。心配した静子が付き添った日、山田さんの顔色が急に悪くなるが、受付は取り合おうとしない。そんなとき、待合室で絵を掛け替えていた一人の女性が口を開く。その何気ない一言から、長年見過ごされてきた受付の問題が明らかになり始める。人生逆転|介護|金銭問題1.4万字5 300 -
完結第15話
看護師を捨てた元彼、10年後に妹の名刺を踏みつけた
看護師のヒナは、起業を夢見る恋人・大志を支えるため、夜勤を増やして生活費を払い、家事も一人で引き受けていた。ところが大志は事業に成功すると、社長令嬢との婚約を決め、ヒナを一方的に捨ててしまう。それから10年。偶然再会した大志は、独身のヒナを見下し、看護師の仕事まで大声で馬鹿にし始めた。そこへ現れた妹の桃が、冷静に言い返す。しかし大志は、桃が差し出した名刺を床に落とし、靴で踏みつけてしまう。その名刺が何を意味するのか、知りもしないまま……。因果応報|兄弟姉妹|夫婦|絶縁|金銭問題|不倫1.6万字5 481