"井戸に沈んだ制服" 第2話
最寄りの警察署から警察官が到着した、越子ののにはすでにくの民が集まっていた。
の警察官が状況を確認する。
「最に見たのは?」
隣が答えた。
「午2過ぎです。お寺へくと言っていました」
「装は?」
「っぽい着に紺のスカート。いつもの靴です」
「誰かと緒でしたか?」
「いいえ。です」
警察はすぐに越子のを確認した。
玄関は施錠されていた。
内に入ると、そこには異様なほど普通の常が残されていた。
台所の器は洗って棚へ戻されている。
茶碗が伏せてあり、布巾も畳まれていた。
寝の布団もえられ、箪笥が荒らされた形跡もない。
現や貴品も残っていた。
旅支度など、どこにも見当たらなかった。
越子は本当に、
「し寺へき、すぐ帰ってくる」
つもりだったのだ。
警察官は玄関にち、暗いを見つめた。
わずか600m。
15分。
み慣れた。
そのいのどこかで、の女性が跡形もなく消えていた。
翌朝から、本格な捜索が始まった。
の消防団、民のボランティア、元警察に加え、県からも応援が入った。
まず徹底に調べられたのは、越子が寺へ向かう際に通るはずだった600mのだった。
は複雑ではない。
自宅の細い活を100mほどみ、そのし広いへる。そこから畑沿いを歩けば、寺へ続くがある。
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警察犬も投入された。
越子が普段使っていた類から匂いを取らせる。
犬は越子のをると、迷いなくをんだ。
捜査員たちは期待しながらを追った。
しかし、約100mんだところで犬のきが変わった。
ち止まり、面へをづける。
へく。
戻る。
今度はへ。
何度か同じ所を回り、やがて困惑したようにハンドラーを見げた。
「ここで切れている」
「寺方向じゃないのか?」
「続いていません」
越子の匂いは、その所で突然途絶えていた。
捜査員のにつの能性が浮かんだ。
だ。
が徒歩のまま移したなら、普通は何らかの形で匂いが続く。
だが、そこからに乗ったなら話は違う。
問題は、
「自分から乗ったのか」
それとも、
「無理やり乗せられたのか」
ということだった。
現周辺には目つタイヤ痕も、急発したような跡もなかった。
荷物が落ちているわけでもない。
越子が抵抗した痕跡もない。
警察は民へ聞き込みを始めた。
「昨の午2から3頃、このでを見ませんでしたか?」
農作業をしていた男性が首をひねった。
「ねえ……」
田舎とはいえ、農作業用の軽トラックや乗用は普通に通る。
毎目にするを、台ずつ覚えているなどいなかった。
「らないは?」
「気づかなかったな」
「野さんが誰かと話していたのを見ませんでしたか?」
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「いや」
別の女性は、
「いが通ったような気がする」
と言ったが、も種も覚えていなかった。
「午だったとうけど……昨だったか、そののだったか」
それではがかりにならない。
警察は内と周辺にむの所者を通り確認した。
当の。
仕事。
先。
族の証言。
しかし、決定な矛盾を示す者はいなかった。
同に、捜索範囲は拡された。
畑。
用。
林。
廃。
空き。
をにを抜き始めていた農業用の底まで調べた。
越子が誤って転落した能性を考え、川や急斜面も確認した。
何もない。
目。
目。
目。
越子の写真が聞に掲載された。
68歳。
。
装。
失踪に持っていた籠。
駅や商にも写真が貼られた。
子供たちも都部からへ戻ってきた。
男は母親のへ入るなり、しばらく玄関からかなかった。
そこには越子の普段履きの靴が何か並んでいる。
しかし、いつも寺参りのに履いていただけがなかった。
「母は勝にどこかへくじゃありません」
警察への事聴取で男は繰り返した。
「をるなら、必ず連絡します」
「最、何か悩んでいる様子は?」
「ありません」
「おの問題は?」
「で慎ましく暮らしていました。借もありません」
「関係のトラブルは?」
「聞いたことがないです」
女も同じだった。
「母はと争うのが嫌いでした」
教師代の教え子や同僚にも話を聞いた。
越子を悪く言う者はほとんどいない。
厳しかった。
真面目だった。
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