"井戸に沈んだ制服" 第3話
し頑固なところはあった。
それでも、誰かからくまれる物像とは結びつかなかった。
捜査ではいくつもの能性が検討された。
自発な失踪。
しかしの回り品も現もに残されており、期姿を消す準備がない。
事故。
だが周辺を徹底に探しても痕跡がない。
精神な混乱による徘徊。
それまで越子にそのような兆候は確認されていなかった。
誘拐。
だが族への代求は度もない。
最に残った能性は、最も考えたくないものだった。
事件。
それでもが分からない。
裕福な女性ではない。
財産目当てとも考えにくい。
みを買っていた形跡もない。
民のではが広がった。
「らないがへ入り込んだんじゃないか」
「誰かがで連れったんだ」
「でも、越子さんなららないのには乗らないだろう」
その言葉が、しい疑問をんだ。
もし越子が抵抗せずへ乗ったのなら。
相は、彼女のっている物ではなかったのか。
ところが、その能性から民をずつ調べても何もてこなかった。
はまり、捜索の規模はしずつ縮していった。
11。
の葉が落ちる。
12。
初がった。
いが、これまで何度も捜索した畑やを覆い隠していく。
越子のは、族によって最限の管理だけが続けられた。
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台所の茶碗。
縁側。
庭の菊。
どれも持ち主が帰ってくるのを待つように残されていた。
だが、本だけが戻らない。
それまで夜でも鍵をかけないが珍しくなかったで、民たちは玄関を施錠するようになった。
子供には、
「暗くなるに帰ってきなさい」
とく言うようになった。
夕方、で歩く齢者を見れば声をかける。
していたの空気は、らかに変わっていた。
越子はどこへ消えたのか。
その答えが見つからないまま、1992のが過ぎていった。
19934。
にもようやくが訪れた。
畑を覆っていたは消え、たいのからが伸び始めている。
越子が姿を消してから、およそ7ヶが過ぎていた。
事件の捜査は完全に終わったわけではなかった。
しかししいがかりはなく、民のでも越子の名がにされる回数は減っていた。
忘れたわけではない。
ただ、何も分からない状態がすぎたのだ。
その頃、農の田健は、自宅からしれた所を理していた。
父親から受け継いだで、くを入れていない角だった。
古い。
倒れかけた柵。
雑。
そして、使われなくなった井戸。
その井戸は、にが備された1970代頃からほぼ使用されていなかった。
さは約6m。
部には腐ったの板が何枚か置かれ、さらに枯葉や雑が覆いかぶさっていた。
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田は周囲を理し、いずれ井戸そのものを埋めるつもりだった。
「こんなもの残しておいても危ないからな」
でそう呟きながら、古い板を取り除いた。
井戸のを覗く。
底にはまだが溜まっている。
澄んだではなかった。
、落ち葉、枝、落ち続けたゴミが混じり、濁っていた。
田はロープとバケツを使ってしずつを汲みげた。
杯。
杯。
杯。
単調な作業だった。
が経つにつれ、位はしずつがっていった。
昼く。
ロープを引きげようとした田は、いつもと違うさをじた。
「何だ?」
バケツが底の何かに引っかかっている。
何度か角度を変えて引く。
れない。
に挟まった触とも違う。
田はいったんロープをげ、今度は先端に属のフックをつけたい棒を持ってきた。
井戸の底へ伸ばす。
探りでかす。
度目は失敗した。
度目。
何か柔らかいものに触れた。
度目。
フックが何かを捉えた。
慎に引く。
かなりい。
を吸っているのか、途で何度も滑り落ちそうになる。
田は両に力を入れた。
やがて濁った面から、黒っぽい布のようなものが現れた。
「布団か?」
きな塊だった。
布で何にも包まれ、紐で縛られている。
に浸かっていたせいで布は黒ずみ、ひどい臭いを放っていた。
田は顔をしかめながら、それを井戸の縁まで引きげた。
のへ置く。
きさは、さな旅鞄ほど。
「誰だよ……こんなもの捨てたのは」
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