みかん小説
本棚

"井戸に沈んだ制服" 第6話

「それは……恐ろしいことですね」

「井戸をごじですか」

「どこの井戸です?」

所を説する。

池田は首を横へ振った。

「田さんのならっていますが、井戸まではりません」

「あの辺りへくことは?」

「昔は散歩で通ったことがあるでしょう。しかし最はありません」

受け答えだけを見れば、特別な矛盾はなかった。

それでも刑事のは、帰りので言った。

「何か気になる」

「何が?」

「説できない」

「証拠にならないぞ」

「分かってる」

刑事は窓のを見た。

「でも、蓋骨の話をしたも、あまり驚かなかった」

警察は池田の過をさらに調べ始めた。

教師として勤務。

所づきあいはない。

退職はほとんど活している。

きな犯罪歴はない。

所の々から見ても、

「静かな

だった。

「挨拶すれば返すけど、話はしない」

「本が好きなんでしょう」

「昔は子供に習字を教えていたこともあった」

悪評らしい悪評がない。

方で、池田が若い頃から女性関係を極端に避けていたという話もた。

結婚歴はない。

親しい友もほとんど確認できない。

捜査員は学の元徒にも聞き込みをった。

70代になった元徒のが、池田を覚えていた。

「静かな先でしたよ」

「怖かったですか?」

鳴るような先じゃなかった」

「変わったところは?」

女性はし考えた。

広告

「写真を撮るのが好きだったような……」

刑事が顔をげる。

「写真?」

事の徒を撮っていた気がします。昔だから、先がカメラを持っているのは珍しかったですね」

「写真は学に残っていますか?」

「さあ……」

別の元徒は、

「靴を揃えろとうるさかった」

と話した。

「廊履きが乱れていると、すぐ直させる先でした」

「それは教師として普通では?」

「普通といえば普通ですね」

さな話ばかりだった。

どれも単独なら、何のもない。

しかし刑事は記録へ残した。

警察は裁判所から捜索に必な許を得た。

直接な証拠は乏しかったが、越子と過に同じ学で働いていたこと、井戸から所に居していること、古い制へのアクセスの能性などを総して調べる必があると判断された。

警察が再び池田宅を訪れたのは午だった。

今度は鑑識を含む複数の捜査員がいる。

池田は玄関へてきた。

数を見てもきな反応はしなかった。

捜索令状を示される。

度見つめ、

「そうですか」

とだけ言った。

そして玄関から脇へ退いた。

その様子は、まるでいつかこのが来ることをっていたかのようだった。

捜索は1階から始まった。

台所。

押し入れ。

斎。

量の本や類があるため、確認にはがかかった。

しかし最初の数、決定な物は見つからなかった。

広告

暮らしの老

古い具。

量の器。

類。

薬。

古い学関係の資料。

それだけだった。

池田は居子に座り、作業する警察官を黙って見ていた。

「この箱はけても?」

「どうぞ」

「こちらの棚は?」

「好きにしてください」

協力だった。

ところが午

の奥を確認していた警察官が、枚の扉を見つけた。

物置にしては頑丈な扉だった。

取っには古いがい錠がついている。

「池田さん」

声をかける。

「この先は?」

池田が線を向けた。

ほんの瞬。

これまで変わらなかった顔に、わずかな緊張がった。

です」

「何があります?」

「昔の物です」

けてください」

「鍵がない」

「なくしたんですか?」

「ずいぶんに」

刑事は錠を見た。

使われていないようには見えなかった。

完全に錆びついているわけでもない。

「最けたのはいつです?」

「覚えていません」

「何くらいです?」

「だから、覚えていない」

池田の声が、初めてくなった。

捜査員たちは顔を見わせた。

の範囲を確認し、錠を破壊することになった。

属音がに響く。

池田は何も言わなかった。

ただ子に座ったまま、の扉を見ていた。

錠がれる。

扉をくと、急なの階段がへ続いていた。

灯はつかない。

灯を持った警察官が先にりる。

階段がきしんだ。

は狭かった。

井がく、

空気はたく淀んでいる。

湿気と埃の匂いがした。

灯のかす。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: