"井戸に沈んだ制服" 第7話
最初に見えたのは古い箱だった。
次に棚。
さらにをへ向ける。
警察官のきが止まった。
「……何だ、これは」
壁面に製の棚が作られていた。
くから井まで。
そこに然と並べられていたもの。
靴だった。
女性用の靴。
やではない。
何。
ハイヒール。
革靴。
用のサンダル。
学で使う履き。
用のブーツ。
齢女性が履くようない歩靴。
も代もばらばらだった。
だがつ共通していた。
どの靴も品ではない。
実際に誰かがく履いていた形跡がある。
それにもかかわらずなどは落とされ、妙に丁寧に保管されていた。
「鑑識を呼べ」
からさらに員がりてくる。
づいてみると、ごとにさなの札が付けられていた。
そこには文字がかれている。
女性の名。
そして付。
「昭……」
刑事が枚読む。
付は1970代。
隣は1980代。
さらに隣は1987。
1989。
1990。
いので集められている。
「池田!」
刑事が階段のへ向かって叫びそうになった。
しかし別の捜査員が止めた。
「触るな。まず全部撮する」
ずつ写真を撮る。
札も記録する。
棚の段へ移った、が自然な物を発見した。
靴ではない。
さな布の包みだった。
の物からしして置かれている。
細いリボンで結ばれていた。
そこにも札がある。
懐灯をづける。
には、った跡で、
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『野越子 浄化の』
とかれていた。
そのの付。
199210。
越子が姿を消しただった。
にいた全員の空気が変わった。
布包みを鑑識が慎にく。
から現れたのは、の靴だった。
い踵。
な。
齢女性が常に履くような靴。
写真を越子の族へ送って確認する。
返事はかった。
「母のです」
失踪当、越子が履いていた靴だった。
そのらせを受けた瞬、捜査本部では誰もをかなかった。
これで池田と越子の失踪が初めて物証拠でつながった。
だが、にはまだ続きがあった。
奥に古い箱が置かれている。
蓋をける。
には写真がぎっしり詰まっていた。
学事。
集写真。
女子徒の個写真。
何もに撮られたものばかりだった。
「学の写真か」
枚を持ちげた刑事は、次の瞬、眉をひそめた。
女の目がない。
写真そのものから、両目の部分だけが丁寧に切り抜かれていた。
別の写真も。
その次も。
集写真では特定の女子徒だけ、目の位置につの穴がいていた。
「全部……?」
「ほとんどだ」
箱のには、目を切り取られた女性の写真が量にあった。
その横に、複数の古いノートが置かれている。
池田の跡だった。
記とはし違う。
付。
名。
齢。
居。
。
「午4頃、買い物へる」
「毎週曜にで帰宅」
「夫は夜勤」
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まるで誰かを観察した記録だった。
ページをめくっていた刑事のが止まる。
そこにはの女性の名が並んでいた。
名の横には1980代の付。
そしてい記述。
刑事はすぐ本部へ照会をかけた。
約1。
返事が来た。
とも、過にこの域で方になっていた女性だった。
全員、未解決。
その瞬、野越子事件は再び姿を変えた。
警察が相にしているのは、件の殺だけではないかもしれない。
の棚に並ぶ何もの靴。
それぞれに付けられた女性の名。
切り抜かれた目。
にわたる観察記録。
見無害な元教師のは、何にもわたって隠されてきた秘密の保管庫だった。
池田正はそののうちに柄を確保された。
の民がったのは、翌だった。
「池田先が?」
昔、彼の授業を受けたことのある女性は信じられないように聞き返した。
「まさか。あのが?」
別の男性も同じ反応だった。
「よく買い物してるのを見たよ。普通の爺さんだった」
「挨拶だってしたことある」
「そんながあったのか」
々が恐怖をじたのは、池田が見るからに危険な物ではなかったことだった。
声をさない。
酒に酔って暴れることもない。
所と揉めない。
教師を引退してからは本を読み、で静かに暮らしていた。
そののに、女性たちの靴が何も並んでいた。
捜査員はすべての靴を押収し、ずつ所者を特定しようとした。
札にかれた名を民記録や過の失踪届と照する。
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