みかん小説
本棚

"真っ暗な部屋の退学届" 第4話

というさな声が聞こえた気がした。

振り返ろうか迷った。

だが。

扉はもう閉じていた。

そして翌

にはいつもの美緒だった。

笑って。

弁当を渡し。

「今だから傘忘れないで」と俺に言った。

俺はまた。

この子は丈夫なのかもしれない。

そうってしまった。

くなるにつれ、美緒の帰宅しずつ遅くなった。

の自習に残って勉しているらしい。夕は俺がスーパーの総菜を買って済ませるが増え、美緒も「今は事をしなくていい」と言うと素直に受け入れた。

見すると、良い方向へんでいた。

ところが。

11の模試結果が返ってきた

美緒はいつもより30分ほど遅く帰宅した。

「おかえり」

「ただいま」

声は普通だった。

夕飯もべた。

「学どうだった?」

「普通」

「模試今返ってきたんじゃなかった?」

箸が瞬止まった。

「うん」

「どうだった?」

「まあまあ」

それ以聞くなという空気をじ、俺も追及しなかった。

翌週、学の担任から話があった。

「神さんの保護者の方でしょうか」

その呼び方にまだ慣れていなかった。

美緒を引き取ってから必続きをい、俺は正式に未成として学へも登録されていた。だが「保護者」と呼ばれるたびに、本当に自分でいいのかというがよぎる。

担任の話では、美緒の成績がこの2ヶきく落ちているという。

広告

もともと学でも位だった。

志望は国学。

だが最は模試に問題文を読んでも集できなくなることがあり、保健ったもあったらしい。

「本は『丈夫です』としか言わないんですが」

その言葉に胸がざわついた。

丈夫。

織がよく使っていた。

そして最

美緒もよく使う。

その夜、美緒へ担任から話があったことを話した。

「先、余計なこと言わなくていいのに」

珍しく苛った声だった。

「責めてるわけじゃないよ」

「分かってる」

学、無理に今の志望じゃなくても――」

「そういうことじゃない」

美緒はい声で俺を遮った。

すぐに自分でも驚いたような顔をし、「ごめん」とさく言った。

「別に、勉が嫌なわけじゃないから」

「じゃあ、何かある?」

「ないよ」

「美緒」

「本当にない」

笑った。

またその笑顔だった。

丈夫と言う織と、よく似た笑顔。

俺はそれ以聞けなかった。

織の部だったアパートを理するため、母と緒に荷物を確認した。

具のくはすでに処分していたが、押し入れの奥に段ボールが数箱残っていた。美緒の幼い頃の、アルバム、学のプリント。

そして。

冊の古いノート。

織の字で、

『美緒』

とだけかれていた。

育児記だとい、何となくいた。

1ページ目。

〈314。美緒、初めて寝返り。本は何が起きたか分からず泣く。

広告

私は笑った〉

次のページ。

〈102。保育園で初めてで靴を履けた。逆だった〉

分ものさな記録だった。

した。

自転に乗れた。

友達と喧嘩した。

初めて100点を取った。

反抗期になった。

俺はページをめくるを止められなかった。

入学の頃。

文章がなくなっている。

仕事が忙しくなった期なのだろう。

の方に。

俺の名てきた。

〈孝太郎から話。相変わらず仕事ばっかり。のこと言えないけど。あいつにもそろそろちゃんと幸せになってほしい〉

次のページ。

〈美緒が学へったら、私はし楽になるかな。旅したい。できればで京都。それと孝太郎にも何かご馳したい。あの子は自分が姉に面倒を見られてたこと、絶対認めないだろうけど〉

わず笑った。

だが。

のページだけ。

で文章が切れていた。

〈私にとってこの子は宝物だから、もし私に何かあったとしても――〉

そこから先は。

何もかれていなかった。

俺はしばらく、その空を見つめた。

もし私に何かあったとしても。

織は。

その先に何をこうとしていたのだろう。

12のある

仕事が引き、帰宅は22くになった。

のケーキを通った、美緒が以ショーケースのチョコレートケーキを見て「おいしそう」と呟いていたことをした。

は模試だの面談だので疲れている。

しくらい甘いものでも買って帰るか。

箱に4種類のチョコレートケーキを詰めてもらい、俺は妙に嫌良くマンションへ向かった。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: