"真っ暗な部屋の退学届" 第9話
美緒がリビングにいた。
表から読めない。
「どうだった」
美緒は無言で枚のを差しした。
格通。
数秒。
俺は読めなかった。
文字は見えているのにが入ってこない。
「……受かった?」
「うん」
「本当に?」
「何回聞くの」
その瞬。
力が抜けた。
「よかった……」
ソファへ座り込んだ。
美緒が笑う。
「孝太郎おじさんの方が受験したみたい」
「うるさい。こっちは半く寿命削られてんだ」
「私は3勉したけどね」
「それ言われると何も言えない」
ケーキの箱をした。
「やっぱり買ってきた」
「今は正解だろ」
美緒はガトーショコラを選んだ。
最初のと同じ。
べ始める。
美緒がスマートフォンをにした。
「お父さんにも言う」
実父の直へ。
〈受かりました。〉
返信は数分。
〈おめでとう。本当におめでとう。〉
そして。
〈織さんにも報告してあげてください。〉
美緒はその文字を見つめて。
しだけ笑った。
遺のへ格通を置く。
「お母さん」
静かに。
「受かったよ」
俺はしれたところにいた。
美緒は泣かなかった。
その代わり。
とても穏やかな顔だった。
きっと。
泣かないことと。
することは。
もう同じではなくなっていた。
。
美緒は学になった。
通学にはしがかかるものの、本が「ここから通いたい」と言ったため、しばらく同居を続けることになった。
もっとも。
の頃とは活が変わった。
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アルバイトを始め。
帰宅も遅くなった。
友達と事へくも増えた。
最初の頃。
俺は配で何度も計を見た。
23。
連絡なし。
メッセージを送ろうとする。
やめる。
また見る。
結局。
〈遅くなるなら言だけ連絡〉
というルールを作った。
美緒は「過保護」と笑った。
「保護者だからいいんだよ」
「もう18歳」
「齢は関係ない」
「それお母さんが言ったらるやつだよ」
確かに。
しずつ。
美緒は俺のをれていった。
それでいい。
織のにもいてあった。
自分のをきる。
学2の。
美緒は教育実習の準備で忙しくなった。
ある夜。
夕。
突然。
「暮らししようとう」
と言った。
箸が止まった。
「何で」
「学にもいし、バイト代も貯まったし」
「ここから通えるだろ」
「通えるけど」
「賃もったいない」
自分でも分かるくらい。
理由を探していた。
美緒は黙って俺を見た。
「孝太郎おじさん」
「何」
「寂しい?」
図だった。
「別に」
「顔にいてある」
「誰に似たんだ、その言い方」
「お母さん」
負けた。
結局。
暮らしには賛成した。
ただし部探しには同し、オートロック、2階以、駅から徒歩10分以内という条件を勝に増やしたため、「産より細かい」と呆れられた。
引っ越しの。
昔。
美緒が初めてこのへ来たに使ったさなキャリーバッグがてきた。
「あれ、まだあったんだ」
「捨ててなかった」
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あの。
退学届と緒にへ並べられていたバッグ。
今度は。
逃げるためではない。
自分で選んだ所へ向かうための荷物が入っている。
玄関。
靴を履いた美緒が振り返る。
「じゃあってきます」
俺は笑った。
「ってらっしゃい」
ドアが閉まった。
静かになった部。
像していた以に。
寂しかった。
蔵庫をける。
タッパーが3つ。
メモ。
〈3分作っといた。ちゃんとべて。
洗濯は物分けること。
あとみすぎない。〉
俺はわず笑った。
最まで。
どっちが保護者なのか分からない。
そのの夜。
分の夕をべていると。
スマートフォンが鳴った。
〈着いたよ〉
しして。
もう通。
〈孝太郎おじさん〉
〈何?〉
返す。
〈あの、に来るかって言ってくれてありがとう〉
画面を見たまま。
しばらく指がかなかった。
やがて。
〈今さら?〉
と返した。
すぐに。
〈今だから〉
と来た。
俺は笑った。
それから。
〈どういたしまして〉
と送った。
数。
美緒は学の教師になった。
初任が決まった。
真っ先に織の墓へ報告したという。
その週末。
久しぶりにうちへ来た。
「ただいま」
昔と同じ声。
俺も昔と同じように答えた。
「おかえり」
には袋。
「何持ってきた?」
「夕飯の材料」
「俺、もう料理できるぞ」
美緒が疑うような目をした。
「本当に?」
「最は噌汁も作る」
「インスタントじゃなく?」
「失礼だな」
台所へ並んだ。
美緒は包丁を握り。
俺は鍋をした。
窓から夕方のが入っていた。
「孝太郎おじさん」
「ん?」
「お母さんが言ってたこと、最ちょっと分かる」
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