"真っ暗な部屋の退学届" 第10話
「何を」
美緒は野菜を切りながら笑った。
「助けてって言えるになれ、ってやつ」
しを置き。
「先になったら、私が助ける側だとってた。でも違うね」
「どう違う?」
「先だって助けてもらわないと無理」
俺は笑った。
「織が聞いたらぶな」
「たぶんね」
夕飯ができた。
でテーブルへ運ぶ。
遺の織は。
昔と変わらない顔で笑っている。
俺は々考える。
あの葬儀の。
もし。
美緒へ「俺のに来るか」と言わなかったら。
美緒はどうなっていただろう。
だが。
今はし違う。
俺が美緒を救ったとはわない。
たぶん。
そんな単純な話ではなかった。
俺も美緒に救われた。
で適当に暮らし。
仕事だけして。
自分には族なんてもう必ないとっていた俺に。
「おかえり」と言う相がいること。
誰かの帰りを待つこと。
配すること。
には喧嘩すること。
それがどれほど切なものなのか。
美緒が教えてくれた。
そして織も。
んだまで。
俺たちに同じことを教え続けた。
は。
できなくていい。
誰かを切にすることは。
そののを背負うことではない。
を差しして。
相が自分で掴むのを待つこと。
たぶん。
族というものは。
そのくらいの距でいい。
夕。
美緒が帰る準備をした。
「じゃあ、また来るね」
「次はヶとかやめろよ」
「仕事忙しいの」
「親に顔見せろ」
「叔父でしょ」
「似たようなもんだ」
玄関で靴を履き。
美緒が笑った。
「ってきます」
俺も笑う。
「ってらっしゃい」
ドアが閉まる。
今度は。
寂しくなかった。
なぜなら。
もうっているからだ。
このをていくことと。
族でなくなることは。
まったく違う。
そして俺は。
いつでも。
同じ言葉を用している。
美緒が疲れた。
失敗した。
泣きたくなった。
帰る所が必になった。
あのと同じように。
何度だって言えばいい。
――俺のに来るか。
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