"特大おにぎりの恩返し" 第9話
亜美が。
祖母のノートを見ながら握った梅干しおにぎりを並べた。
し形がきれいすぎた。
祖母のおにぎりは。
もっと格好だった。
べる。
「どう?」
亜美が聞く。
「うまい」
「本当に?」
「でも」
「でも?」
「ばあちゃんのほうが、ちょっとしょっぱい」
亜美が。
しばらく黙った。
「たぶん」
涙を拭う。
「今のは、私の涙のほうがしょっぱい」
太がも分からず。
「僕のはおいしいよ」
と言った。
みんな。
笑った。
その夜。
俺は亜美と縁側へた。
たい。
くのの音。
「なあ」
「うん」
「俺、4のさ」
「うん」
「亜美におにぎりあげた、たぶん好きだった」
亜美が笑う。
「ってた」
「嘘つけ」
「、真っ赤だったもん」
「じゃあ言うなよ」
し黙る。
「今も」
声がったよりさくなった。
「好きだ」
亜美の笑顔が止まった。
俺は続けた。
「昔のことがあるからじゃない。かわいそうだからでもない。今の亜美が好きだ」
太。
会社。
こども堂。
くなった妻。
亜美の過。
簡単なものはつもない。
「俺と太と」
度息を吐いた。
「族になってほしい」
亜美は。
すぐに答えなかった。
やがて。
夜空を見げた。
「真由さんに悪くないかな」
き妻の名だった。
「代わりになろうなんてってない」
亜美は続けた。
「なれないし」
「ならなくていい」
「太君のお母さんも」
「無理にならなくていい」
俺は言った。
「亜美は亜美でいてくれればいい」
い沈黙。
そして。
「じゃあ」
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亜美は。
泣きながら笑った。
「毎、特おにぎりでも文句言わない?」
「それはし考える」
「今のなし」
「待て!」
20と同じように。
亜美は。
俺より先に笑った。
それから2。
俺と亜美は族になった。
派な結婚式はしなかった。
「むすび堂」で。
族。
会社の仲。
堂へ来る子供たち。
支援者。
みんなでさな事会をいた。
料理のは。
もちろん。
梅干しおにぎりだった。
太は学4になった。
俺が亜美へ初めておにぎりを渡したのと同じ齢。
あるの。
堂の厨で。
亜美と太が梅を洗っていた。
祖母の赤いノートは。
油染みや梅酢の跡が増え。
品だった頃より。
ずっと使い込まれていた。
「塩、これくらい?」
太が聞く。
「ちゃんと量って」
「ひいばあちゃんは目分量だったってパパ言ってた」
「ひいばあちゃんレベルになるにはあと70かかります」
「っ」
俺はを見ながら。
庭へざるを並べた。
赤蘇に染まった梅。
の差し。
祖母が毎やっていた景と同じだった。
堂には。
今もいろいろな子供が来る。
親が夜まで働いている子。
ひとりで事をするのが嫌な子。
友達についてきただけの子。
本当にべるものがない子。
理由は聞かない。
「お腹空いた」
そう言えば。
べられる。
亜美が守りたかったのは。
それだった。
ある。
さな女の子が。
おにぎりをつべた。
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「もう個いいですか」
と聞いた。
亜美は。
昔の祖母と同じ顔で笑った。
「何個でもべなさい」
俺は。
その景をしれたところから見ていた。
女の子が特おにぎりを持ちげる。
「でっか」
わず。
吹きした。
亜美も俺を見る。
とも。
同じことをいした。
2003。
学4の。
の。
「お弁当を忘れた」と嘘をついた。
痩せた女の子。
あの。
俺は。
特別なことをしたつもりではなかった。
おにぎりが4個あった。
隣で友達が腹を空かせていた。
だから個。
結局個。
渡しただけ。
俺はい。
それで亜美を助けたとっていた。
違った。
おにぎりを渡したことで。
俺の族が亜美の事をった。
祖母がいた。
学がいた。
たちがいた。
亜美は祖父母のへ移り。
べられる活を取り戻した。
そして20。
亜美は。
自分と同じように。
「困っている」と言えない子供たちのために。
堂を作った。
祖母がへ渡したものは。
そこで終わらなかった。
から。
次のへ。
また次のへ。
受け継がれていった。
夕方。
堂を閉めた。
亜美が余ったおにぎりをつ俺へ渡した。
「はい」
「何」
「社さん、今昼抜いたでしょ」
「忙しかったんだよ」
「べなさい」
「でかいな」
「文句言わない」
かぶりつく。
酸っぱい梅干し。
塩の効いた飯。
しすぎる苔。
「どう?」
亜美が聞く。
「ばあちゃんの」
「本当?」
「ちょっと違う」
「どっちよ」
俺は笑った。
「亜美のになってる」
亜美は。
何も言わず。
しだけ照れたように笑った。
その。
太が堂の奥から叫んだ。
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