"冷えた雑煮の逆転正月" 第3話
からたのは、母へのみではなかった。
自分を責める言葉だった。
「私、うまくやれなくて……」
「違う」
俺はくをげた。
「謝るのは俺だ。15も弓を1にした」
弓の目から涙がこぼれた。
結婚して15。
俺は仕事を理由にを空けることがかった。
母と同居するようになったも、
「お義母さんのことは私が見ておくから。して仕事して」
弓はそう言って送りしてくれた。
その優しさに、俺は甘え続けていた。
弓がこのから逃げなかった理由も、俺には分かっている。
父だった。
父は、弓を実の娘のようにがっていた。
病で最に、
「健は仕事ばかりで器用だから、弓さんが支えてやってくれ。直はあんな調子だし、母さんも見栄っ張りだからな。こののことを頼むよ」
そう言った。
弓はその言葉を、約束として背負った。
「私がをたら、お義父さんの仏壇を誰が守るの?」
何度俺が別居を提案しても、弓はそう言った。
だが、弓の責任を母は利用した。
所では、
「うちの男の嫁は本当にできたなの」
と褒める。
玄関の扉が閉まった途端、
「嫁ならそれくらい当然でしょう」
へ変わる。
俺の張が増えるほど、扱いは悪化した。
「昨、全部見た」
俺は言った。
「母さんと直が何を言っていたかも録音した」
弓は驚いて顔をげた。
「健さん……」
「もうあのは守らなくていい」
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「でも、お義父さんが……」
「親父が守ってほしかったのは、あの建物じゃない」
俺は弓のをく握った。
「弓まで壊れてほしいなんて、絶対にってない」
い沈黙の、弓が鞄をいた。
「私も……ずっと迷ってたものがあるの」
古い封筒を取りす。
にはレシートと、折り畳まれたが入っていた。
最初の1枚をいて、俺は目を疑った。
級ディーラーの見積。
名義は直。
額は700万円を超えている。
支払い方法は――現括。
「直さん、しいを買ったでしょう?」
「ああ」
「仕事もしていないのに、そんなおがあるはずないとって」
次のはの控えだった。
父の定期預に関連する座番号。
引きし額――300万円。
「お義母さんが捨てたゴミ袋の底にあったの」
弓は声を落とした。
「最、頻繁にタクシーで隣町へってる。だけじゃないみたい」
「弓……」
「私を台所に追いやったのって、嫁いびりだけじゃないとう」
弓の目には、昨までの怯えとは違うがあった。
「のおがおかしな速度で減っているのを、私に気づかれたくなかったんじゃないかな」
俺は言葉を失った。
弓は耐えていただけではない。
1で見ていた。
考えていた。
父の残したものを守るために、証拠を拾い続けていた。
「お義父さんが懸命残したおよ」
弓は唇を噛んだ。
「直さんの遊びや、お義母さんの見栄のために全部なくなるなんて嫌だった」
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俺は鞄からファイルを取りした。
「俺も数かからいてる」
弁護士と理した財産目録。
履歴。
自然な記録。
弓が目を見く。
「父さんの遺産は、本来俺が管理することになっていた。勝に持ちしていたなら、もう族だからで済ませるつもりはない」
俺ははっきり言った。
「母さんと直を法に追及する」
弓の瞳が揺れた。
「それから俺たちは、あのをる」
「でも……どこへ?」
俺はファイルの最の類を見せた。
シンガポール支社への赴任辞令。
「来から、シンガポールへく」
弓がさく息をんだ。
「シンガポール……?」
「ああ。もう決まってる」
「そんなきなこと……いつから?」
「ずっと準備してた」
俺は赤切れたを包んだ。
「もう母さんの顔を見ながら暮らすのは終わりだ。らない所で、2だけでやり直そう」
しばらく、弓は何も言えなかった。
やがて涙があふれ、両で顔を覆った。
「健さん……ありがとう」
泣きながら何度も繰り返した。
俺は弓が落ち着くのを待ってから言った。
「ただ、今1だけは今まで通りにしてほしい」
弓が顔をげる。
「、全部突きつける。それまでは何もらないふりをする」
弓は涙を拭き、ゆっくり頷いた。
その表に、昨までの怯えはなかった。
そのの夕方、俺と弓は緒に実へ戻った。
「ただいま」
わざときな声で言う。
母が居からびしてきた。
「健! お帰りなさい。かったのね」
満面の笑顔だった。
だが俺のろにいる弓を見ると、その笑みが瞬で歪んだ。
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