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"冷えた雑煮の逆転正月" 第11話

弓は膝のを組んでいる。

「実の売却続きもめます」

弁護士が言う。

「弓さんへの請求についても、記録が非常に詳細ですのでめやすい」

「お願いします」

事務所を、俺たちはそのままパスポート関係の続きへ向かった。

発まであと2週

弓がしいパスポートを受け取った。

の表を何度も指で撫でる。

「本当に国へくんですね」

「今さら怖くなった?」

し」

笑った。

「でも、それ以に楽しみ」

「ページがりなくなるくらいかけよう」

「シンガポール以も?」

「もちろん」

「ヨーロッパも?」

こう」

「アメリカも?」

「弓がきたいなら」

弓の目に涙が浮かんだ。

「私、どこかへきたいって言ったこと、ほとんどなかった」

その言が胸に刺さる。

「これから言えばいい」

ホテルへ戻ると、部には引っ越し用の段ボールが並んでいた。

弓は荷物を理している途で、15分の学ノートをに取った。

「それ、どうする?」

俺は聞いた。

「証拠として必な写しは全部取った。嫌なら処分してもいい」

弓は表を撫でた。

そこには、母から言われた言葉も、泣いた夜も、きも全部残っている。

「持っていく」

「いいのか?」

「うん」

弓は静かに微笑んだ。

「辛かったことを忘れないためじゃないよ」

を置く。

「私があのでもきてこられたってことを、忘れないため」

俺は何も言えなかった。

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このノートは苦しみの記録だ。

に、弓が15決して完全には折れなかった証でもある。

「じゃあ持っていこう」

「うん」

「その代わり、しいノートも買おう」

しい?」

「シンガポールで楽しかったことをく用」

弓が笑う。

「毎いたら、すぐいっぱいになりそう」

「それでいい」

その夜、ホテルくのさなレストランへった。

級なではない。

それでも、2で向かいって温かい料理をべるが、何より贅沢にじた。

では、弓はいつも族のだった。

俺が帰宅する頃には事も片づいている。

俺は、

「今は遅かったから」

「仕事だから」

そんな言い訳をしていた。

「弓」

事の途げた。

「俺はずっと仕事へ逃げてた」

弓が黙って見る。

庭が平だといたかった。だから弓が丈夫だと言えば、その言葉に甘えた」

「健さん」

「本当にごめん」

弓はしばらく俺を見てから、ゆっくり首を振った。

「もういいよ」

「よくない」

「最に私を信じてくれた」

「それは夫として当然だ」

「それでも」

弓は微笑んだ。

「私1では、あのられなかった」

俺はグラスを持ちげた。

「これからは絶対に1にしない」

弓もグラスを持つ。

軽くわせる。

な音が響いた。

発の数

俺たちは父の墓へった。

で2並んでわせる。

「親父」

声にした。

は守れなかった」

たい。

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「でも、弓は守る」

隣で弓が静かに目を閉じている。

「親父が本当に切にしたかったのは、じゃなくて族だったとう」

俺は墓をかけた。

「俺たちはシンガポールでやり直すよ」

しばらくく吹いていたが、そのだけ議とまった。

差しが墓へ差す。

弓がさく呟く。

「お義父さん、ってきます」

俺たちはもうげた。

今度こそ、本当にむために。

成田空港の国際線ロビー。

掲示板には、世界各の都名が並んでいた。

俺と弓はきなスーツケースを2つ載せたカートを押して歩く。

「すごい……」

弓は周囲を見回していた。

国語がび交う。

客。

族。

仕事へ向かう

誰も俺たちの過らない。

シンガポールきの表示を見つけた、弓が俺の腕へ自分の腕を絡ませた。

「パスポート、持った?」

「持ってる」

「本当に?」

弓は鞄のを確認する。

「ほら」

「よし」

2で笑った。

搭乗ゲートで待っている、正夫叔父さんからメッセージが届いた。

〈実の件は順調だ。こちらのことは配するな。おたちはだけ見てみなさい。幸せになれ〉

い文章だった。

俺は、

〈ありがとうございます。叔父さんもお元気で〉

と返した。

そしてスマホを内モードへ切り替えた。

が滑る。

加速。

体が浮く。

本のしずつさくなる。

弓は窓のを見ていた。

15

母の声。

直の嘲笑。

たい台所。

擦り切れたカーディガン。

全部がへ沈んでいく。

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