"保険金つき同居" 第2話
であり、その提がきく損なわれたには「当事者で返還を含め協議する」と記されていた。
優太は面倒そうにしながらも署名した。
「こんなの使うなんて来ないって」
そう言って笑った息子の顔を、みよ子は疑わなかった。
引っ越し当。居の玄関へ入った瞬、斗が階からってきた。
「おばあちゃん、俺の部見てよ。机もしくなったんだ」
「まあ、ずいぶん派になって」
「文化祭も来てよ。今、クラスで劇やるから」
夕にはゆかりがみよ子の好きな煮魚を用してくれていた。優太は缶ビールを本け、「これからは4だからな」と何度も嬉しそうに言った。
みよ子の部は階の側にあった。さな窓のには庭が見え、健の仏壇を置く所まで最初から空けてくれていた。
「お父さんも緒だからね」
荷解きを終えた夜、みよ子は写真へ語りかけた。
い暮らしが終わった。
からは族の声が聞こえるで暮らせる。
そうって布団へ入ったみよ子は、その夜、本当に久しぶりにして眠った。
そのはまだらなかった。
こので自分のために用されたとっていた部が、わずか2ヶには、族から自分を隔するための所になることを。
同居が始まって最初の週は、みよ子がい描いていた通りの々だった。
広告
朝は斗を「ってらっしゃい」と送りし、夕方になるとゆかりの料理を伝った。優太が帰宅すると4で卓を囲み、みよ子は久しぶりに誰かと「今何があった」と話せる活を楽しんでいた。
変化が現れたのは8目だった。
午、みよ子がリビングでテレビを見ていると、ゆかりがお茶を持って隣へ座った。いつもの笑顔ではあったが、カップを置く指がし落ち着かないように見えた。
「お母さん、ちょっとご相談があるんですけど」
「何?」
「活費なんです。やっぱり増えると費も費もった以にかかってしまって」
ゆかりは申し訳なさそうに目を伏せた。
「に5万円くらい、お母さんにも負担していただけたら助かるんです」
みよ子はすぐには答えられなかった。
を買う話をしていた、優太は何度も「母さんにはもう銭な配をさせない」と言っていた。それを指摘しようともったが、しいで暮らせるのは自分がいるからこそだとはいえ、費や代が増えるのも事実だった。
「5万円ね」
「お母さんの、8万円くらいでしたよね?」
その言い方だけが、し引っかかった。
なぜ正確にっているのだろう。以、のまかな額を優太へ話した記憶はあったものの、ゆかりに直接説したことはなかった。
それでもみよ子は頷いた。
広告
「分かったわ。族なんだから、そのくらいは負担するわね」
「ありがとうございます。助かります」
ゆかりはほっとしたように笑った。
最初は、本当にそれだけだった。
ところが末になると、今度は用品について言われた。
「お母さんのシャンプーとか洗剤とか、これからはご自分で買っていただけますか? 細かいものって積みなると結構するので」
もちろん構わない、とみよ子は答えた。ただ、5万円を渡したうえで医療費を自分で払い、さらに用品までとなると、8万円のではほとんど残らない。
次に変わったのは事だった。
斗の塾の送迎があるからという理由で、みよ子だけ18に夕を取るよう勧められた。優太夫婦と斗は19半頃にべるため、結局みよ子は毎で卓へ座るようになった。
「緒でいいのよ。私、待っていられるから」
度そう言うと、ゆかりは困ったように笑った。
「でもお母さん、糖尿病でしょう? 規則正しくべた方がいいって先もおっしゃってませんでした?」
言っていることは違っていない。それだけに、みよ子はそれ以何も言えなかった。
さらに週すると、夕の内容まで違うようになった。みよ子の皿には凍の魚と茹でた野菜が並ぶ方、19半を過ぎるとリビングから焼肉の匂いが漂ってくるがあった。
「お母さんは脂っこい物、良くないですから」
また正論だった。
みよ子は「そうね」と笑った。
けれど、それから自分の部へ戻り、さなテレビをつけても内容がに入らなかった。
広告
おすすめ作品
-
完結第17話
しおれた野菜と30万円
正月準備のため妻・綾野に三十万円を預けた修平が帰宅すると、冷蔵庫は空になり、綾野はしおれた野菜を抱えて震えていた。防犯カメラには、合鍵で侵入した母・久美子と妹・ゆりが、食材と現金を奪い、「妻が使い込んだことにする」と脅す一部始終が残されていた。 修平は援助や契約を停止し、父の遺品を調べる。その結果、母は前夫の家から二百万円を持ち逃げし、血のつながらない修平を守ろうとした父に返済を肩代わりさせていたことが判明する。完済後も母は架空の利息をでっち上げ、修平の出生を暴露すると父を脅して、長年金を奪い続けていた。人生逆転|嫁姑|夫婦|絶縁|修羅場2.5万字5 1045 -
完結第15話
18年間閉ざされた納屋
31歳の美咲は、博士課程を修了したその日、18年間会えずにいた兄・直のことを確かめるため実家へ向かった。両親からはずっと「兄は施設で暮らしている」「会えば不安定になる」と聞かされ、施設名も住所も教えられていなかった。ところが帰り道、近所の女性から思いがけない一言を聞く。「直君、まだ裏の納屋にいるんだと思ってた」。実家へ駆け戻ると、古い納屋の扉には外側から2つの南京錠。窓は布で覆われ、食器と電気コードには最近まで使われた痕跡が残っていた。そして美咲が「お兄ちゃん」と呼びかけると、扉の向こうから2度、確かな音が返ってきた。18年間、両親は何を隠してきたのか――。兄弟姉妹|親子関係2.2万字5 418 -
完結第15話
妊娠中の娘が逃げ帰った夜、大富豪の母が動いた
妊娠8か月の娘・はるかが、顔に傷を負い、母エリコの家へ逃げ帰ってきた。病院では新しい肋骨の骨折に加え、以前の骨折痕も見つかる。夫・匠による暴力は、一度きりではなかった。 匠は巨大企業グループの創業家の一員。だがエリコはその地位にひるまず、娘の安全を確保し、診断書を残す。同時に信頼する会計士へ調査を頼むと、匠一家が関わる財団に巨額の不正な資金移動の疑いが浮かび上がった。 報道を受けても疑惑を否定し続けた匠は、緊急会見の最中、はるかへの傷害容疑で逮捕される。さらにグループの資金問題にも捜査が及び、権力を盾にしてきた一族は追い詰められていく。 母の行動が事態を動かす一方、すべての始まりにあったのは、はるかが自分とお腹の子を守るため、あの家から逃げ出した決断だった。因果応報|人生逆転|嫁姑|絶縁|親子関係|修羅場2.3万字5 1242 -
完結第11話
棺の中で眠る娘と、吠え続けた秋田犬
秋田の豪雪地帯で、七歳の少女・雪の葬儀が営まれていた。ところが愛犬ハチだけは棺に向かって激しく吠え、畳を掻き続ける。周囲が狂犬扱いする中、前妻であり元救命看護師の静子は、棺の内側から聞こえる微かな音と、雪の指先の動きを見逃さなかった。 静子が葬儀を止めて棺を開けると、雪には脈と呼吸が残っていた。静子は的確な応急処置を行い、雪はついに「お母さん」と声を発する。無力だと見下していた静子に娘を救われ、後妻エミリーと父・健一は言葉を失う。 しかし、奇跡の生還で物語は終わらない。救急搬送される娘に付き添いながら、静子は「なぜ雪が猛吹雪の夜、裏山へ出たのか」という疑念を抱く。人生逆転|真実|真相|親子関係1.6万字5 738 -
完結第15話
炎天下に追い出された新人と、5年ぶりに戻った男
正木電気の新人・潮見知夏は、猛暑の中で草むしりを強要され、総務部長・黒岩から執拗な嫌がらせを受けていた。五年ぶりに本社へ戻った滝川武は彼女を救い、腐敗した職場の実態を静かに探り始める。 知夏は書類整理中、解約済みの植栽会社へ毎月五十万円が送金され続けている事実を発見。その直後、地下倉庫へ追放され、ついには炎天下で倒れてしまう。滝川と堀田課長は、黒岩と八谷常務による総額二億三千万円の横領証拠を揃え、臨時役員会を招集する。 そこで滝川が専務執行役員であることが明かされ、帰国した正木社長も黒岩を追及する。職場逆転|因果応報|人生逆転|修羅場2.3万字5 538 -
完結第11話
父の葬儀を捨てた夫へ、亡き父が遺した最後の証拠
父の葬儀の読経中、夫のスマホが3度震えた。 「会社で緊急のトラブルがあった」 そう言って席を立った夫は、私の父を見送ることなく姿を消した。 喪主だった私は、何も言えず一人で最後まで葬儀を終えた。 その夜、冷たい家に戻ると、午前2時57分―― 亡くなったはずの父の名前から、メッセージが届いた。 「誰にも言わず、母さんの墓へ行きなさい」 半信半疑で向かった先で、父が残していたものを見つけた。 そこに入っていたのは、夫の知られざる裏切りと、私を守るための証拠だった。 そして私は初めて知った。 父は最後の日まで、私の人生を守ろうとしていたのだ。夫婦|親子関係|修羅場|不倫1.6万字5 509 -
完結第13話
義母に逆らった妻を閉じ込めた夫が、翌朝失ったもの
義母への仕送りを断った夜、菜緒は夫の浩司にトイレへ閉じ込められた。冷たい床で朝を待ちながら姉に助けを求め、夫の発言を録音する。翌朝、姉たちが迎えに来ると、菜緒は「もうこの家には戻らない」と告げた。 避難先で菜緒が止めたのは、義母と義弟への毎月の送金、そして夫に渡していた家族カード。さらに、夫が口走った「部屋の件」を確かめると、菜緒が独身時代に買ったマンションへ、本人に無断で義弟夫婦を住まわせる話が進んでいた。 すでに置かれた荷物を見つけた菜緒は室内を記録し、玄関の鍵を交換する。義母からの抗議にも、援助と部屋の使用を断る意思を伝えた。閉じ込められた夜に握っていたスマートフォンから、菜緒は自分の暮らしを守るために動き始める。嫁姑|絶縁|親子関係|修羅場2.0万字5 1765 -
完結第13話
黒い着物の誓い
「お前んち、ヤクザだっけ?w なら今すぐ呼んでみろよ」 同窓会の席で、私は昔のいじめ加害者に笑われました。 祖母の形見の黒い着物を見て、 「極道の真似事かよ」 そう言った男は、私の胸元に酒を浴びせたのです。 周囲は笑っていました。 10年前、教室で机に落書きをされた時と同じように。 私は怒りを抑え、ただ1本の電話をかけました。 「5分で来てください」 すると―― ホテルの前に現れたのは、30台の黒塗り高級車。 そして、誰もが知るはずのない私の本当の立場を前に、笑っていた同級生たちは凍りつきました。 しかし、そこで終わりではありませんでした。 床に這いつくばって謝罪する男の背後には、 母親が隠していた「400万円の借金」と、10年前の雨の日に繋がる秘密があったのです。 なぜ私は、私を傷つけた相手を救うことになったのか。 そして、あの日の1万円が、10年後に大きな運命の変化を起こすことになるとは――人生逆転|怒り|真実|修羅場1.9万字5 512 -
完結第15話
300億円の恩返し
結婚式当日、白いタキシードを着て新婦を待っていた琢磨に告げられたのは、「結婚は最初からドッキリだった」という言葉。銀行の創業家である新婦の家族は、彼を笑い者にし、その様子まで動画に撮っていた。 駆けつけた妹の未令は、兄を見下す銀行一家の前で財務担当者に電話をかける。彼女は世界各地で事業を営む企業グループの創業者で、その銀行には約300億円を預けていた。無名だった未令の夢を信じ、借入れの保証人になったのも琢磨だった。人生逆転|兄弟姉妹|真相|修羅場2.2万字5 785