"保険金つき同居" 第4話
みよ子はわず、ゆかりの顔を見つめた。
「私のおを、あなたが管理するの?」
「管理というか、お母さんも薬をみ忘れることがあるって言ってたでしょう。これから齢をねたら、おの管理も変になるかもしれませんし」
薬のみ忘れは度だけだった。
それも同居、体調を崩したに夕の薬を忘れたという程度だった。
「まだ自分でできます」
みよ子がはっきり言うと、ゆかりの笑顔が瞬消えた。
「でも、族なんですから」
その言に、みよ子は妙な圧力をじた。
「族」という言葉が、いつのにか助けいではなく、断ることを許さないための具になっている。
その夜、優太からも同じ話をされた。
「母さん、ゆかりに任せたら楽じゃないか。通帳と印鑑だけ渡して」
「嫌よ」
「なんで?」
「自分のおくらい、自分で管理したいから」
優太はきくため息をついた。
「頑固だなあ」
その言葉が、みよ子にはっていた以に刺さった。
翌から、ゆかりの態度はさらにたくなった。
蔵庫には「お母さん用」とかれた透ケースが用され、それ以の材には触れないよう言われた。呂に入るまで「ガス代がもったいないから族のに」と決められ、みよ子が夜21を過ぎても待たされるが増えた。
ある夜、みよ子がしく呂へ入ろうとすると、斗が言った。
広告
「おばあちゃん、母さんが最って言っただろ」
わずの顔を見た。
「斗まで、そんな言い方するの?」
斗は瞬うつむいたが、すぐに顔を背けた。
「だって俺に言われても困るし」
そのろ姿を見送りながら、みよ子は胸の奥に別の違を覚えた。
斗は本当に自分を嫌っているのだろうか。
以はあれほど自然に話してくれたが、最は識にたく振るっているようにも見える。
そのの夜。
トイレへこうと部をたみよ子は、階へ続く階段の途に斗が座っているのを見つけた。
「どうしたの?」
は驚いてちがった。
「別に」
「眠れない?」
「うん」
し迷った、斗はみよ子を見た。
何か言いかけた。
しかし階からゆかりの声がした。
「斗? 何してるの?」
の表が変わった。
「何でもない」
それだけ言うと、急いで階段をっていった。
みよ子はしばらくそのにっていた。
斗の目にあったのは嫌悪ではなかった。
むしろ。
怯えにかった。
数、みよ子はゴミしのため、台所のきなゴミ袋をまとめていた。ゆかりは朝から買い物へかけ、優太も仕事、斗は学へっている。ゴミを分けていると、破られた封筒のから自分の名が見えた。
〈被保険者 渡辺みよ子〉
が止まった。
命保険会社の類だった。
みよ子自も医療保険には加入しているため、最初は自分が古い類を捨てたのかとった。
広告
しかし会社名に見覚えがなく、契約者欄には優太の名が印字されていた。
は途で破られていた。
残った部分には「保険」という文字と、額の部らしき「10,000,000」の数字が見える。
みよ子の指先がたくなった。
優太が自分を被保険者にした命保険に入っている。
そんな話は度も聞いていない。
ただ、すぐに「勝に契約された」と決めつけることもできなかった。引っ越しの頃、宅関連や所変更のため量の類に署名したことをいしたからだ。
「これ、何だったかしら……」
記憶を辿ろうとしたが分からない。
そのの午、みよ子は所のコンビニへくと言ってをた。ゴミから拾った類の部をバッグへ入れ、公園のベンチで何度も読み直した。
保険受取とわれる欄も破られている。
契約らしき付は。
同居始の6。
胸が鐘を打った。
を売却する続きをしていた、まさにその期だった。
帰宅すると、ゆかりが何事もなかったように夕の準備をしていた。
「お母さん、どこまでってたんですか?」
「し歩いてきただけよ」
「糖尿病なんだから、あまり勝にくへかない方がいいですよ。倒れたら困りますし」
以なら配されているとえた言葉だった。
今は違って聞こえた。
その夜から、みよ子はさなノートをつけ始めた。
818、活費5万円。
広告
おすすめ作品
-
完結第17話
しおれた野菜と30万円
正月準備のため妻・綾野に三十万円を預けた修平が帰宅すると、冷蔵庫は空になり、綾野はしおれた野菜を抱えて震えていた。防犯カメラには、合鍵で侵入した母・久美子と妹・ゆりが、食材と現金を奪い、「妻が使い込んだことにする」と脅す一部始終が残されていた。 修平は援助や契約を停止し、父の遺品を調べる。その結果、母は前夫の家から二百万円を持ち逃げし、血のつながらない修平を守ろうとした父に返済を肩代わりさせていたことが判明する。完済後も母は架空の利息をでっち上げ、修平の出生を暴露すると父を脅して、長年金を奪い続けていた。人生逆転|嫁姑|夫婦|絶縁|修羅場2.5万字5 1045 -
完結第15話
18年間閉ざされた納屋
31歳の美咲は、博士課程を修了したその日、18年間会えずにいた兄・直のことを確かめるため実家へ向かった。両親からはずっと「兄は施設で暮らしている」「会えば不安定になる」と聞かされ、施設名も住所も教えられていなかった。ところが帰り道、近所の女性から思いがけない一言を聞く。「直君、まだ裏の納屋にいるんだと思ってた」。実家へ駆け戻ると、古い納屋の扉には外側から2つの南京錠。窓は布で覆われ、食器と電気コードには最近まで使われた痕跡が残っていた。そして美咲が「お兄ちゃん」と呼びかけると、扉の向こうから2度、確かな音が返ってきた。18年間、両親は何を隠してきたのか――。兄弟姉妹|親子関係2.2万字5 418 -
完結第15話
妊娠中の娘が逃げ帰った夜、大富豪の母が動いた
妊娠8か月の娘・はるかが、顔に傷を負い、母エリコの家へ逃げ帰ってきた。病院では新しい肋骨の骨折に加え、以前の骨折痕も見つかる。夫・匠による暴力は、一度きりではなかった。 匠は巨大企業グループの創業家の一員。だがエリコはその地位にひるまず、娘の安全を確保し、診断書を残す。同時に信頼する会計士へ調査を頼むと、匠一家が関わる財団に巨額の不正な資金移動の疑いが浮かび上がった。 報道を受けても疑惑を否定し続けた匠は、緊急会見の最中、はるかへの傷害容疑で逮捕される。さらにグループの資金問題にも捜査が及び、権力を盾にしてきた一族は追い詰められていく。 母の行動が事態を動かす一方、すべての始まりにあったのは、はるかが自分とお腹の子を守るため、あの家から逃げ出した決断だった。因果応報|人生逆転|嫁姑|絶縁|親子関係|修羅場2.3万字5 1242 -
完結第11話
棺の中で眠る娘と、吠え続けた秋田犬
秋田の豪雪地帯で、七歳の少女・雪の葬儀が営まれていた。ところが愛犬ハチだけは棺に向かって激しく吠え、畳を掻き続ける。周囲が狂犬扱いする中、前妻であり元救命看護師の静子は、棺の内側から聞こえる微かな音と、雪の指先の動きを見逃さなかった。 静子が葬儀を止めて棺を開けると、雪には脈と呼吸が残っていた。静子は的確な応急処置を行い、雪はついに「お母さん」と声を発する。無力だと見下していた静子に娘を救われ、後妻エミリーと父・健一は言葉を失う。 しかし、奇跡の生還で物語は終わらない。救急搬送される娘に付き添いながら、静子は「なぜ雪が猛吹雪の夜、裏山へ出たのか」という疑念を抱く。人生逆転|真実|真相|親子関係1.6万字5 738 -
完結第15話
炎天下に追い出された新人と、5年ぶりに戻った男
正木電気の新人・潮見知夏は、猛暑の中で草むしりを強要され、総務部長・黒岩から執拗な嫌がらせを受けていた。五年ぶりに本社へ戻った滝川武は彼女を救い、腐敗した職場の実態を静かに探り始める。 知夏は書類整理中、解約済みの植栽会社へ毎月五十万円が送金され続けている事実を発見。その直後、地下倉庫へ追放され、ついには炎天下で倒れてしまう。滝川と堀田課長は、黒岩と八谷常務による総額二億三千万円の横領証拠を揃え、臨時役員会を招集する。 そこで滝川が専務執行役員であることが明かされ、帰国した正木社長も黒岩を追及する。職場逆転|因果応報|人生逆転|修羅場2.3万字5 538 -
完結第11話
父の葬儀を捨てた夫へ、亡き父が遺した最後の証拠
父の葬儀の読経中、夫のスマホが3度震えた。 「会社で緊急のトラブルがあった」 そう言って席を立った夫は、私の父を見送ることなく姿を消した。 喪主だった私は、何も言えず一人で最後まで葬儀を終えた。 その夜、冷たい家に戻ると、午前2時57分―― 亡くなったはずの父の名前から、メッセージが届いた。 「誰にも言わず、母さんの墓へ行きなさい」 半信半疑で向かった先で、父が残していたものを見つけた。 そこに入っていたのは、夫の知られざる裏切りと、私を守るための証拠だった。 そして私は初めて知った。 父は最後の日まで、私の人生を守ろうとしていたのだ。夫婦|親子関係|修羅場|不倫1.6万字5 509 -
完結第13話
義母に逆らった妻を閉じ込めた夫が、翌朝失ったもの
義母への仕送りを断った夜、菜緒は夫の浩司にトイレへ閉じ込められた。冷たい床で朝を待ちながら姉に助けを求め、夫の発言を録音する。翌朝、姉たちが迎えに来ると、菜緒は「もうこの家には戻らない」と告げた。 避難先で菜緒が止めたのは、義母と義弟への毎月の送金、そして夫に渡していた家族カード。さらに、夫が口走った「部屋の件」を確かめると、菜緒が独身時代に買ったマンションへ、本人に無断で義弟夫婦を住まわせる話が進んでいた。 すでに置かれた荷物を見つけた菜緒は室内を記録し、玄関の鍵を交換する。義母からの抗議にも、援助と部屋の使用を断る意思を伝えた。閉じ込められた夜に握っていたスマートフォンから、菜緒は自分の暮らしを守るために動き始める。嫁姑|絶縁|親子関係|修羅場2.0万字5 1765 -
完結第13話
黒い着物の誓い
「お前んち、ヤクザだっけ?w なら今すぐ呼んでみろよ」 同窓会の席で、私は昔のいじめ加害者に笑われました。 祖母の形見の黒い着物を見て、 「極道の真似事かよ」 そう言った男は、私の胸元に酒を浴びせたのです。 周囲は笑っていました。 10年前、教室で机に落書きをされた時と同じように。 私は怒りを抑え、ただ1本の電話をかけました。 「5分で来てください」 すると―― ホテルの前に現れたのは、30台の黒塗り高級車。 そして、誰もが知るはずのない私の本当の立場を前に、笑っていた同級生たちは凍りつきました。 しかし、そこで終わりではありませんでした。 床に這いつくばって謝罪する男の背後には、 母親が隠していた「400万円の借金」と、10年前の雨の日に繋がる秘密があったのです。 なぜ私は、私を傷つけた相手を救うことになったのか。 そして、あの日の1万円が、10年後に大きな運命の変化を起こすことになるとは――人生逆転|怒り|真実|修羅場1.9万字5 512 -
完結第15話
300億円の恩返し
結婚式当日、白いタキシードを着て新婦を待っていた琢磨に告げられたのは、「結婚は最初からドッキリだった」という言葉。銀行の創業家である新婦の家族は、彼を笑い者にし、その様子まで動画に撮っていた。 駆けつけた妹の未令は、兄を見下す銀行一家の前で財務担当者に電話をかける。彼女は世界各地で事業を営む企業グループの創業者で、その銀行には約300億円を預けていた。無名だった未令の夢を信じ、借入れの保証人になったのも琢磨だった。人生逆転|兄弟姉妹|真相|修羅場2.2万字5 785