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"「子なし」離婚の大誤算" 第4話

健の挨拶が終わると、が再びマイクを握った。

「それでは、卒業を代表し、陸君から謝の束をお渡しいたします」

私はカメラを握るにし力を込めた。

台袖から陸が現れた。

い礼を着て、束を両に持っている。

背筋を伸ばし、歩ずつ央へんだ。

健は笑顔でを迎えようとした。

そして陸が目のにち、顔をげた。

その瞬だった。

健の表が止まった。

笑顔が消えた。

目がきく見かれる。

私はシャッターを切った。

2が並ぶと、その似方は像以だった。

目元。

筋。

の形。

横顔の輪郭まで。

会のざわめきが次第にさくなった。

そして逆に、別の種類のざわめきが広がり始めた。

「似てない?」

「渡辺代表に……」

「偶然?」

陸は何もらず、目ので固まる健を議そうに見げた。

「おじさん」

静かな声が、会に響いた。

「お、どうぞ」

健は反応できなかった。

を伸ばそうとしたが、途で止まった。

私はその全てを撮った。

驚愕。

混乱。

理解したくないという拒絶。

そして、理解してしまった瞬。

10の空が、1のの顔によって瞬で突きつけられた。

その、列から女性がちがった。

シャネルのツーピースを着た桜井美咲だった。

彼女は台へがり、健の腕を掴んだ。

「健さん、どうしたんですか?」

そして陸を見た。

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美咲の顔が変わった。

「この子……誰?」

客席のざわめきはさらにきくなった。

は慌ててを収めようとしたが、もう遅かった。

誰もが2の顔を見比べていた。

私は最にもう1枚だけシャッターを切った。

そしてカメラをろした。

今、見たかったものは分に見た。

卒業式、私たちはへ案内された。

陸は私の隣に座り、されたジュースを静かにんでいた。

向かい側には健と美咲。

10ぶりに、私たちは同じテーブルを囲んだ。

最初にをいたのは美咲だった。

「さゆさん。相変わらず賢しいことをするのね」

私は返事をせず、湯呑みの茶をんだ。

その態度が気に入らなかったのか、美咲は腕を組んだ。

「いくら欲しいの?」

私は顔をげた。

「何のことです?」

「今、あんな形で子供をしてきたのはおでしょう。10億? 20億?」

私はわず笑った。

「奥様。私がおに困っているように見えますか?」

美咲は初めて私をじっくり見た。

私は10の専業主婦ではなかった。

写真館「」は、すでに国内でも名をられるスタジオになっていた。企業案件やブランドの撮もく、私自の収も、美咲が軽くにした額を笑えないほどの規模になっていた。

「さゆ」

健がく言った。

彼の線はずっと陸かられなかった。

「あの子は何歳だ」

「10歳です」

「誕は?」

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「1012」

健の顔が変わった。

婚したのは712。

計算すれば分かる。

あの。

区役所。

婚姻の子なし。

私のお腹には、すでに3かの陸がいた。

「どうして……」

健の声が掠れた。

「どうして言わなかった」

私は彼を見た。

「何を言えばよかったんですか?」

健は黙った。

「あなたが初恋の女性と婚姻届をすために急いでいた、私のお腹にはあなたの子供がいます、と?」

健の顔が青ざめた。

「あなたが婚姻の子なしとかれた協議を私に差しして、く署名しろと言ったに?」

「……」

「黒いカードを投げて、おで全部終わりにしようとしたあなたに?」

私は声を荒らげなかった。

それでも健は、言ずつ打たれるように俯いた。

「渡辺健さん」

私は静かに言った。

「あのの私に、あなたへ妊娠を告げる余がありましたか?」

美咲が突然ちがった。

「あなた、わざと隠したのね!」

陸が驚いてこちらを見た。

「10黙っていて、今になって連れて現れるなんて。私たちを壊すつもりでしょう!」

その瞬、陸が子からちがった。

私のへた。

「おばさん」

美咲が目を見いた。

「僕のママにそんなきな声で話さないでください」

陸はまださかった。

それでも背筋を伸ばし、美咲から目を逸らさなかった。

「ママは僕が番切なです。ママをいじめるは嫌いです」

健の表が崩れた。

彼は陸を見つめていた。

10、父親などいなくても真っ直ぐ育った自分の息子を。

私は陸の肩を抱き寄せた。

「陸、ありがとう」

そしてちがった。

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