"白木蓮の偽証" 第7話
老ホームの活相談員は、沢子のことをよく覚えていた。
「静かな方でした。何かして差しげるたびに、すみませんねって言うんです」
晩は軽い認症があり、付を違えることはあったが、の顔や過の記憶は比較しっかりしていた。最の5、面会に来た親族はもいない。
「枕元に写真を置いていませんでしたか」
「ありましたよ」
職員の声がし柔らかくなった。
「若い男性と並んで写っている写真です。卒業式か何かでしょうか。ずっと切にしていました」
優だった。
沢子が最期まで置いていたのは、公平ではなく優との写真。
それだけなら議ではない。
しかし職員は最につ付け加えた。
「くなる1ヶくらい、夜に寝言を言うことがあったんです」
「何と?」
「必ず同じでした」
職員は記録を確認してから答えた。
「ごめんね、こうちゃん」
公平。
17、実の息子を守った母親が。
最期に謝っていた相は。
その実の息子だった。
黒瀬は話を切った、くかなかった。
守ったのなら。
なぜ謝る。
むしろ公平が母に謝するのはずだ。
そこで黒瀬は蓋骨の損傷報告をもう度取りした。
初回鑑定。
側部に鈍器による損傷。
打撃方向については追加検討が必。
黒瀬は科学捜査研究所へ再鑑定を依頼した。
68。
12枚の報告が届いた。
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打撃による骨折面を3次元で再構築した結果、力はわずかにからへ向かっていると推定された。単に差がある同士の打撃という程度ではなく、打撃者のが被害者のよりかなりい位置にあった能性がい。
「これ」
沢田が再現図を見た。
「公平の供述とわない」
公平は言い争いの最。
った状態で。
漬物を掴み。
優のを殴ったと言った。
だが。
っている165cmの男が、っている172cmの男へいを振るなら、力は横方向かからへ入る能性がい。
今回の推定角度は。
斜めから斜め。
「にいたです」
沢田が呟いた。
「座っていたか、倒れていたか」
黒瀬は頷いた。
「つまり殴ったは、その直に倒れている」
20031114。
あの台所には3。
優。
公平。
沢子。
公平の供述では。
言い争っていた男はっていた。
なら。
倒れていた能性があるのは。
へ入った沢子。
翌。
黒瀬は取調で公平と向かいった。
机のへ再鑑定図を置く。
「沢井さん」
「はい」
「あなたは殴っていませんね」
公平の顔はかなかった。
「殴りました」
「っていた?」
「はい」
「ではこの角度にはならない」
黒瀬は声を荒らげなかった。
「あなたが誰を庇っているのか、分かりました」
公平の指がわずかにいた。
「沢子さんはくなりました。もう刑事責任を問われることはありません」
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公平は俯いたまま黙っていた。
「あなたが罪を被る理由は、もうない」
10分い沈黙。
窓のでがくなった。
公平の肩が震え始めた。
声はない。
ただ涙だけが机へ落ちた。
そして。
公平は言った。
「殴ったのは」
度言葉を止めた。
「母です」
17。
警察が継母の涙に騙されたとわれていた事件は。
ここでさらに形を変えた。
沢子は。
息子の犯を隠した母ではなかった。
自分の犯を。
実の息子に被せた母だった。
だが。
真相はまだ、それほど単純でもなかった。
公平が語り直した1114は、最初の供述とは途まで同じだった。
を借りるため勝から入った。
奥に優がいた。
沢子が帰れと言った。
優がてきた。
そして険悪な言葉を投げた。
「何の関係もないが、このに来て母からを取るな」
公平は激昂した。
「俺が息子だ。あんたこそだ」
その瞬、沢子が泣いた。
公平は今でも、その顔を忘れられないという。
「兄さんが俺の胸ぐらを掴みました」
公平は続けた。
「俺も掴み返した。母がへ入ったんです」
沢子はの腕を引きそうとした。
優が振り払った。
図に母親を突きばしたわけではない。
だが沢子はバランスを崩し、台所の漬物桶の横へ尻もちをつくように倒れた。
そののくに。
しのがあった。
「母がを掴みました」
公平は目を閉じた。
「俺は母を起こそうとしてろにいた。母のがいたのは見えた。でも何をしたのか分からなかった」
鈍い音。
優が倒れた。
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