みかん小説
本棚

"白木蓮の偽証" 第10話

若い沢田が玄関まで見送りに来た。

「黒瀬さん」

「何だ」

「つ聞きたかったんです」

沢田はし迷った。

「17、沢子さんの涙を信じたことは、違いだったんでしょうか」

黒瀬はすぐには答えなかった。

のい空を見げた。

「分からん」

「疑っていれば、もっとく優さんを見つけられたかもしれません」

「ああ」

「なら……」

黒瀬は沢田を見た。

「でもな。あの涙は嘘じゃなかった」

沢田が黙る。

「沢子さんは優さんがいなくなってしかった。自分が殺してしまったことを悔いていた。公平を守りたかった。それは全部、本当だった」

黒瀬は束を持ち直した。

「私はあの涙を信じた。そこまでは違ってなかった」

「じゃあ、何が」

「涙を信じたら、それ以調べなくていいとったことだ」

沢田は目を伏せた。

黒瀬は最に言った。

「の涙は信じてもいい。だが、信じることと調べることをやめることは別だ」

その言葉を残し。

黒瀬は警察署をた。

翌4。

黒瀬はで柏尾町へ向かった。

藤代の跡は更のままだった。町の掲示によれば、いずれさな公共駐になる予定だという。

ただし。

蓮はなかった。

切られたのではない。

町が公園へ移植していた。

駅から歩いて10分ほどのさな公園。

ブランコ。

滑り台。

砂。

ベンチ脚。

放課になれば学が集まるような、どこにでもある所だった。

広告

公園の隅に。

蓮はっていた。

移植は難しいと言われていたが。

を咲かせていた。

きないが。

枝いっぱいに。

すべて空を向いていた。

黒瀬はのでち止まった。

着の内ポケットから公平にもらった写真を取りした。

紺のカーディガン。

困ったような顔。

18。

同じの。

「見つけました」

黒瀬はさく言った。

「遅くなりました」

17。

沢子の台所で。

必ず見つけます。

そう約束した。

見つけた。

だが。

沢子が最も恐れていた形で。

黒瀬はので問いかけた。

あなたを疑うべきだったのでしょうか。

それとも。

信じてよかったのでしょうか。

答えはない。

が吹いた。

いびらが枚、枝をれた。

黒瀬の元へ落ちた。

彼はそれを見た。

ゆっくり腰を折った。

く。

く。

をげた。

誰に対してなのか。

優か。

沢子か。

公平か。

あるいは17の自分か。

分からなかった。

ベンチへ座ると、の学が公園へ入ってきた。ランドセルを砂の横へ放りし、競争するようにブランコへっていく。笑い声がの公園に響いた。

黒瀬はその姿を見ながら。

昔の柏尾町をいした。

魚。

履物。

さな文具。

夕方になると、自転に乗った母親たちがき交っていた商。

もうくは消えた。

も減った。

町はさくなった。

だが。

すべてがなくなるわけではない。

広告

17に埋められた事実も。

17にされなかった名も。

いつか。

どこかからてくる。

夕方5。

防災無線からチャイムが流れた。

子供たちは「やばい、帰らなきゃ」と笑いながらランドセルを背負い、公園をってていった。

同じ音を。

沢子も17聞いていた。

洗濯物を取り込みながら。

夕飯を作りながら。

蓮の落ち葉を掃きながら。

そして。

のにいる優のすぐそばで。

黒瀬は音楽が終わるまで目を閉じていた。

やがてちがり。

もう度、蓮を見た。

いは。

何事もなかったように。

空へ向かって咲いていた。

それを見て黒瀬はった。

17。

継母の涙は。

刑事を騙した。

だが。

あの涙そのものが嘘だったわけではない。

嘘だったのは。

「京へ帰った」という言だけだった。

そしてそのたったつの嘘を守るため。

実の息子は17沈黙し。

継母は17、庭のを踏み。

んだ弁護士は17。

自分を守ろうとしたので。

何も言えずに眠っていた。

黒瀬は写真を内ポケットへ戻した。

それから公園をた。

振り返らなかった。

背では。

蓮のが。

ので静かに揺れていた。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: