"近道看板の逆襲" 第9話
は息子を見なかった。
「私はおを守るためにをしているわけではない」
その言葉に、は完全に黙った。
結局、そので事聴取のため連れてかれることになった。
緒に来ていた男たちも、それぞれ話を聞かれた。
騒ぎが収まると、は俺のへ来た。
くをげた。
「平さん。本当に申し訳ありませんでした」
俺は慌てた。
「をげてください。がやったことじゃありません」
「いや。あんな息子に育てたのは私だ」
は顔をげなかった。
「を取ってから授かった子だった。つい甘やかしてしまった」
父からも、が息子としてがられていたことは聞いていた。
子供の頃からのわがままなら、周囲のが「の息子だから」と許していたらしい。
それが積みなった結果、本は本当に自分が特別なだと信じるようになってしまった。
「必ず償わせます」
は言った。
「畑の損害も、軽トラックも、娘さんのことも」
「キララはきな怪じゃありませんでした」
「それでもだ」
は再びをげた。
「本当に申し訳ない」
俺はの肩へを添えた。
「そこまでおっしゃるなら、今のことはきちんと話しいましょう」
はようやく顔をげた。
その表は、入院よりずっと老けて見えた。
の件は、俺たちの畑だけでは終わらなかった。
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警察が事を調べ始めると、のあちこちから別の被害申告がてきた。
「実は、うちも野菜を持っていかれていて」
最初に名乗りたのは、別の農だった。
収穫の野菜が何度もなくなっていた。
犯を確かめたわけではなかったが、ある、が勝に畑から持っていくところを見たという。
注すると、
「の農産物くらい、俺がって何が悪い」
そう言われたらしい。
からも話がた。
「事代を払わず帰られたことがあります」
昔からと付きいがあるだった。
は会計の際、
「親父のつけにしとけ」
と勝に言い残し、そのままをたという。
みでも問題を起こしていた。
酔って備品を壊し、弁償を求められると鳴り散らした。
「俺を誰だとってる」
そこでも同じ言葉を使っていた。
細かなものまで含めれば、通報や相談はかなりの数になった。
俺たちがらなかっただけで、のくのがに迷惑をかけられていた。
「なんで誰も今まで言わなかったんだろう」
が議そうにした。
父がため息をついた。
「に迷惑をかけたくなかったんだろうな」
それに、本が恐れられていた面もある。
関われば面倒になる。
注すれば嫌がらせされる。
ので暮らし続ける以、できるだけ波をてたくない。
そう考え、していたがかった。
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は1軒ずつ謝罪に回った。
病みがりの体で、本も連れて歩いた。
「このたびは息子がご迷惑をおかけして、本当に申し訳ございませんでした」
がくをげる。
その横でが満そうにっていると、父親が睨む。
「おも謝れ」
「……どうも、すみませんでした」
「聞こえん!」
「申し訳ありませんでした!」
そんなやり取りを繰り返したという。
損害賠償についても、が度て替えることになった。
俺たちのトウモロコシ畑。
軽トラックの窓。
キララの通院費。
本には、そのを必ず働いて返させると言っていた。
俺はにそこまでしてもらうのが申し訳なかった。
だがは譲らなかった。
「これは私の責任でもある」
そう言い切った。
方で、もう1、責任を問われた物がいた。
最初に事故の対応へ来た警察官だった。
の件で問題がきくなると、過の対応についても署内で確認された。
の言い分を分に確認しないまま優先したこと。
俺たちが私への侵入や娘の怪を訴えても、ほとんど調査しなかったこと。
以からについて相談が寄せられていたにもかかわらず、適切に対応していなかったこと。
司に呼ばれた警察官は、厳しい注を受けた。
「お、さんの案件をずっと面倒がって処理してただろう」
「いや、その……さんの息子だったので、揉めると変かといまして」
「それが理由になるか」
「すみません」
結局、警察官は別の域へ異になった。
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