"近道看板の逆襲" 第12話
だが、いつまでものことで自分たちのを使いたくもなかった。
俺たちはへんだ。
トウモロコシを育てた。
失敗した。
また作った。
販売先へをげた。
評判が広がると、今度は供量がりず困った。
しい畑を借りた。
従業員を雇った。
そして今がある。
夕方。
仕事が段落した頃、俺は畑の入りへった。
そこには、今も板がある。
私につき無断入禁止。
平農園。
ただし、昔のようなりを込めて設置したものではない。
農作業両や見学客が増えたため、全管理必になった正式な表示だ。
その横には別のさな案内板もある。
平農園直売所はこちら。
矢印は、畑のではなく、きちんと備されたへ向いている。
俺はその2枚を眺めて、わず笑った。
「どうしたの?」
ろからが声をかけた。
「いや。昔もここに変な板があったなとって」
もいしたらしい。
「あったね。『ご自由に通ください』だっけ」
「の畑なのにな」
「今だから笑えるけど、あのは本当に変だったよ」
「ああ」
収穫の作物が潰され。
何度板をてても撤され。
娘まで怪をした。
警察にもまともに取りってもらえなかった。
「でも、あれがなかったら防犯カメラを付けることもなかったかもね」
が言う。
「そうだな」
「トウモロコシにも、あそこまでにならなかったかもしれない」
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「それはある」
俺は畑を見渡した。
夕に照らされた葉がに揺れている。
「だからって謝はしないけどな」
「それはそう」
2で笑った。
しばらくしてキララがの方から呼んだ。
「パパ、ママ! ご飯だって!」
「今く!」
俺とは並んで歩き始めた。
途、俺はもう度トウモロコシ畑を振り返った。
あの頃、のタイヤに押し潰された畑。
もう駄目かもしれないとった所。
そこには今、まっすぐ伸びた作物が何列も並んでいる。
俺たちが守ろうとしたのは、単なる畑ではなかった。
族の暮らし。
先祖から受け継いだ仕事。
これから作ろうとしていた未来。
誰かが「俺のものだ」と言ったからといって、勝に踏み込んでいいものではない。
今ではの直売所に、俺たちのトウモロコシが並ぶ。
になると、それを目当てにくから訪れる客もいる。
「今も買いに来ました」
そう言ってくれるが増えた。
が応援してくれたしい作物は、しずつ本当にの名産品になろうとしている。
父が言った。
先代がこのを農業で救ったように、次の世代もしいものを作っていけばいい。
今なら、そのがよく分かる。
昔のやり方を守るだけでも駄目だ。
全てを捨ててしいものだけを追うのでもない。
受け継いだものを切にしながら、自分たちの代にう形へ育てていく。
俺にとって、その答えの1つがこのトウモロコシだった。
へ戻る途、が俺の横で言った。
「来、もうし作付け増やす?」
「増やしたいけど、がな」
「また従業員募集する?」
「にも相談してみるよ」
「うん」
しを歩いていたキララが振り返る。
「私も伝う!」
俺は笑った。
「じゃあ頼んだぞ」
「任せて!」
昔、みかんの収穫を伝いながら同じように胸を張っていた娘。
族はしずつ変わっていく。
畑もも変わっていく。
それでも、緒に働き、緒に卓を囲むは変わらない。
俺はそれで分だった。
あの、誰かのにされていた畑は、もう誰かが勝に通り抜ける所ではない。
俺たち族と仲が作物を育て、のしい未来を作る所になったのだから。
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