"ママ卒業の代償" 第6話
コメント欄には、
『素敵なお母さんですね』
『私も登の息子がいるので勇気をもらいました』
『娘さんは幸せですね』
『こんなお母さんがいて羨ましい』
そんな言葉が並んでいる。
美奈子さんはつつ丁寧に返信していた。
『ありがとうございます。母親としてできることをつずつ続けています』
『娘の笑顔のためなら何でも頑張れます』
「嘘ばっかり……」
涙がた。
りだけではなかった。
しかった。
私たちは、ひながしでも笑えるようになればとって毎を過ごしていた。
学へけたは無理をさせなかった。
けないも責めなかった。
夜に怖いを見れば背をさすった。
それを全部、
自分の母親としての努力。
そうき換えられていた。
私はその晩、ほとんど眠れなかった。
翌朝。
夫が起きてくるなり、私はパソコンをいた。
「あなた。これ見て」
「朝から何だ」
画面を見た夫の眉が寄る。
「これ……ひなだよな」
「そうよ」
「この庭、うちじゃないか」
「全部うちよ」
夫は記事をつずつ見た。
「これ、クッキー作っただな」
「そう」
「俺の腹にもがついただ」
「そうよ」
記事のタイトルを読んだ夫の顔が険しくなる。
『おじいちゃんもお伝い。3世代で過ごす幸せな々』
「3世代?」
夫がい声をした。
「美奈子はどこにいたんだ」
「いなかったわよ」
「これで3世代?」
「写真を送っただけ」
私はとうとう涙を拭った。
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「こっちは必だったのよ。ひなが笑わない。話さない。夜にママに謝ってる。その子をどうやったらさせられるか、毎考えてたの」
夫は黙っていた。
「なのに、いつのにか全部『ママの』になってるのよ」
声が詰まった。
「クリスマスケーキだって、あの子が『バーバ楽しいね』って何度も言ったの。それが記事では全部ママになってる」
夫のがマウスので止まった。
「とも子」
「何?」
「コメント欄、見てみろ」
画面にはし違う種類のコメントが混ざり始めていた。
『娘さんの写真、毎回背景が違いませんか?』
『お母さんと緒に写ってる写真ってないんですね』
『文章読むと、娘さんと実際に活してるじがあまりしない』
『学の送り迎え、本当にお母さんがしているんですか?』
私たちは顔を見わせた。
どうやら部の読者が違に気づき始めていた。
そしてブログの更は、数から突然止まっていた。
最の記事の付は、ひなが普通に学へ通い始めた期とほぼ同じだった。
夫が子にもたれた。
「これ……」
「何?」
「ひなが元気になったら、くことがなくなったってことじゃないのか」
その言に、私はぞっとした。
登の娘を支える母。
苦しむ娘に寄り添う献な母。
その役割を演じるには、
ひなが登である必がある。
私は以テレビで見た、ある症例をいした。
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代理ミュンヒハウゼン症候群。
子供を図に病気や幸な状態に置き、それを病する自分が周囲から注目や同を得ようとする――そんな説だった。
もちろん、美奈子さんが病気だったのかどうか、私には分からない。
専でもない私たちが決めつけることではない。
けれど構造だけを見れば、どこか似ていた。
「この子を登のままにしておきたかったんじゃ……」
自分でにして、怖くなった。
夫も厳しい顔をしていた。
「今、健太郎が来るんだったな」
「うん」
「全部見せよう」
もう黙っているわけにはいかなかった。
そのの夕方。
仕事を終えた健太郎がへ来た。
玄関をけるなり、私と夫の顔を見てち止まった。
「どうしたの? 2とも怖い顔して」
「健太郎」
私は居を指した。
「ちょっと座って」
「何?」
いつもと違う空気をじたのか、健太郎は素直に座った。
私はノートパソコンをき、美奈子さんのブログを見せた。
最初は、
「ああ、これが美奈子のやってるやつ?」
くらいの反応だった。
しかし記事を読みめるにつれ、顔が変わっていった。
「これ……」
「全部、こので撮った写真よ」
「マジか」
「美奈子さんは度も来てない」
健太郎は言葉を失った。
クリスマスケーキの記事。
学へけたの記事。
庭でを摘む記事。
つずつ見ていく。
「俺、ブログいてるのはってたけど……内容までは見せてもらえなかったんだ」
を抱えた。
「こんなこといてたのかよ」
私は美奈子さんが娘に何を言っていたか、ひながしずつ話した内容も伝えた。
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