"7階に戻るな" 第2話
4階、3階とりたところで呼吸が続かなくなり、私は踊りへ座り込んだ。から誰かが追ってくるのではないかとうたびに臓がね、非常灯の緑のさえ気に見えた。くでサイレンが鳴り始めた、ようやく自分ののに、さんから渡されたがまだ握られていることに気づいた。
そのの私はまだらなかった。あの切れは私の命を救っただけではなく、6に「事故」として終わった夫のを、もう度こちら側へ引き戻す鍵でもあった。
警察と救急隊が到着したのは、それから数分だった。私は3階と4階のの踊りで見つかり、若い警察官に肩を支えられながら何度も「エレベーターのにがいます」と繰り返した。声が震えてうまく説できなかったが、散らばった買い物袋と止しているエレベーターを確認した警察官たちは、すぐ現を封鎖した。
さんは8階で止したエレベーターのから発見された。救急で病院へ搬送されたものの、部にい衝撃を受けており、そのの夜にくなったとらされた。私はそのらせを自宅のソファで聞き、震える両で湯呑みを握ったまま、さんが最に見せた顔を何度もいした。
事聴取では、エレベーターへ乗ってから逃げすまでのことをつずつ説した。
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刑事は私が差ししたメモを見ると表を変え、透な証拠袋へ入れてから「この文字について当たりはありますか」と尋ねた。私は首を振り、「さんが私に直接渡しました。それ以は何もりません」と答えるしかなかった。
刑事はさんが誰かと揉めていたか、最何か審な話をしていなかったかも尋ねた。しかし、私は隣とはいえ彼の仕事も族関係もほとんどらず、役につ話は何もできなかった。唯伝えられたのは、彼が監カメラを異常なほど気にしていたことと、最に誰かがエレベーターへ入ったように見えたことだけだった。
事聴取が終わったあと、刑事は私に「今夜はできればにならない方がいい」と言った。8階には息子の健太と妻の織がんでいたため、警察官は息子夫婦の部へくよう勧めたが、私はなぜか即答できなかった。さんがわざわざ「7階へ戻るな」といた理由が、まだかられなかったからだ。
結局、その夜だけは管理会社が配したくのホテルへ移った。健太からは何度も話があり、「母さん、どうしてうちへ来ないんだ」と配されたが、私は「今はしで考えたいの」とだけ答えた。話の向こうでは織も「お義母さん、いつでもこちらへ来てくださいね」
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と言っていたが、その優しい声が妙にくじられた。
翌朝、ホテルのテレビではマンションの事件が報じられていた。「層マンションのエレベーター内で男性が、警庁は事件と事故の両面から捜査」という程度で、詳しい事はまだ伏せられていた。マンションには報陣が集まり、が入りするたびにカメラを向けられている映像が流れていた。
私はテレビを消し、に着ていた着をに取った。警察へ渡したメモが入っていたポケットを何気なく触ると、縫い目の奥にさないものが引っかかっている。指先でつまんで取りすと、それはさんのメモからちぎれたらしい、さらにさな片だった。
汗か何かでインクが滲んでいたが、辛うじてだけ読むことができた。
《このマンションでは、誰も信じないでください》
私はを持ったまま、いけなかった。30以顔をっているもいるし、8階には自分が産み育てた息子までんでいる。それなのにさんは、誰も信じるなといた。
最初にへ浮かんだのは、義理の娘である織の顔だった。数か、夫が残した郊のを売却して事業資に回したいと持ちかけられ、私が拒んだことで度だけ激しく言い争ったことがある。織はすぐ笑顔へ戻ったが、そのだけは目の奥にたいが残っていた。
もちろん、そんなことだけでを疑うのは違っている。
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