みかん小説
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"終電の風呂敷" 第8話

仕送りを増やす方法も考えたが。

は。

故郷へ戻ることを決めた。

夜。

幸子はいつもの夜勤を終え。

寮へ帰った。

トキはいつもと同じ所に座っていた。

「おばちゃん」

幸子は握り飯を受け取らず。

そのに座った。

「私、帰るの」

トキは事を聞いていたのか。

きく驚かなかった。

「そう」

「せっかく京まで来たのに」

幸子は笑ったが。

声はし震えていた。

「何もできなかった」

「そんなことないでしょう」

「だって、1しかいなかったし。に送ったおだってしたことないし」

トキはしばらく。

幸子の顔を見ていた。

そして。

呂敷からきな握り飯を選び。

の皮ごと渡した。

「働いたさで、派かどうかなんて決まらないよ」

幸子は俯いた。

に帰って、お父さんを助けるんでしょう。それも仕事だよ」

女の目から。

涙が落ちた。

京へ来た

故郷のたちから。

派に働いてこい」

と言われた。

で戻れば。

失敗したとわれる。

自分でも。

そうっていた。

「おばちゃん」

「うん?」

「私、帰ってもいいのかな」

トキは。

即座に答えた。

「帰るがあるなら、帰っていいんだよ」

その言で。

幸子は泣いた。

声を抑えながら。

子供のように泣いた。

トキは何も言わず。

女の背を撫でた。

はそのにはいなかった。

だが翌

駅で。

青森きの切符を買う幸子に会った。

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きな荷物。

袋。

李。

そして。

には。

さな布包み。

「それ、何?」

が聞くと。

幸子は笑った。

「おばちゃんが、朝の分まで作ってくれたの」

には。

握り飯がつ。

それと。

梅干しの入ったさな包み。

が切符へ鋏を入れると。

幸子はしばらく改札のっていた。

「駅員さん」

「何?」

「おばちゃんに、ありがとうって言っておいてください」

「自分で昨言ったんじゃないの?」

「言ったけど」

幸子はし恥ずかしそうに笑った。

「何回言ってもりないから」

が入ってきた。

幸子は振り返り。

げた。

そして。

混みのへ消えていった。

は。

その背を見送りながら。

4潟の駅で。

トキも。

同じように娘を見送ったのだろうとった。

誰かが。

町をれる。

誰かが。

別の町へく。

そのを。

がつないでいる。

会社で働くは。

それまでとは。

を目まで運ぶものだとっていた。

だが。

運んでいるのは。

だけではない。

別れ。

配。

仕送り。

約束。

そして。

誰にも記録されない。

数個の握り飯。

そういうものまで。

毎晩。

き来しているのだった。

トキが終へ乗り始めてから、2度目のが来るだった。

1138分。

老婦はいつものように原町駅へ入ってきた。

だが。

はすぐに違に気づいた。

呂敷が。

さい。

「今ないですね」

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トキは頷いた。

「夜勤の子が減ったんですよ」

しい堂設備ができ。

夜勤者にも軽い事がるようになった。

女子寮にも炊事担当者が増え。

遅く帰った女のため。

事を残しておく決まりができたという。

「じゃあ、もう毎かなくても丈夫なんですね」

が言うと。

トキは。

し寂しそうに。

それでも嬉しそうに笑った。

「そうみたいです」

その夜。

彼女が買った切符は。

これまで何百回も買ったものと。

同じだった。

原町から

2駅。

はいつものように。

改札鋏を入れた。

パチン。

乾いた音がした。

、お疲れさまでした」

が言うと。

トキは議そうな顔をした。

「私、働いていたわけじゃありませんよ」

「でも、毎晩でしょう」

「毎晩って言っても、に乗っていただけ」

「握り飯を作って」

「夕飯の残りですよ」

「夜まで届けて」

「2駅だけです」

は。

わず笑った。

何を言っても。

トキは。

したことではないと言う。

だから彼も。

それ以言うのをやめた。

の灯りが。

の向こうからづいてきた。

トキは呂敷を抱え。

ホームへた。

その背は。

最初に見た頃より。

さくなったように見えた。

1138分。

は無識に。

の引き戸を見た。

誰も来なかった。

1140分。

1145分。

が入ってきた。

それでも。

の着物は。

現れなかった。

その翌も。

次のも。

トキは来なかった。

女子寮へく必がなくなったのだから。

当たりだった。

それなのに。

はしばらく。

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