"22年目の母席" 第9話
親から100万円してもらう以、ある程度の希望を聞くべきだとっていた。
美緒の庭事を親族へどう説するかだった。
そして何より、揉めたくなかった。
美緒と同じだった。
とも、
誰かがすれば丸く収まるとっていた。
その「誰か」が京子になった。
「僕ら、違えたとう」
、達也はで京子へ謝りに来た。
「美緒だけの責任じゃありません」
京子はお茶をした。
「達也君も京子さんって呼ぶの?」
達也が困った顔をした。
「すみません」
京子はし笑った。
「悪言った」
「言われて当然です」
達也はくをげた。
「母にも、もうおはしてもらわないって言いました」
「丈夫なの?」
「で払える範囲にしました」
「婚旅は?」
「国内に変えます」
「どこ?」
「」
京子は頷いた。
「いいじゃない」
達也は顔をげた。
「らないんですか」
「何を?」
「もっとくそうしろって」
「ってるよ」
でし笑った。
ただつ。
まだ決まっていないことがあった。
ベールダウン。
美緒は誰に頼むのか。
京子は聞かなかった。
麗子も聞かなかったらしい。
結婚式まで10。
京子のへ、美緒から枚の封筒が届いた。
にはしい席次表が入っている。
浦静。
浦正臣。
藤堂麗子。
瀬京子。
名はすべて同じ親族テーブルにあった。
京子の肩は、
《婦族》
だった。
母ではない。
父の妻でもない。
広告
伯母でもない。
婦族。
京子はその文字をく見た。
美緒らしいとった。
しずるいともった。
でも嫌ではなかった。
その夜、話が来た。
「席次表見た?」
「見たよ」
「った?」
「何で?」
「母ってかなかったから」
京子はし考えた。
「いいんじゃない」
「本当に?」
「うん」
「お母さん」
「何?」
美緒はそこでく黙った。
「やっぱり今はいい」
「何なの」
「当言う」
京子は嫌な予も、期待もしないようにした。
「分かった」
結婚式。
京子はクローゼットからネイビーのフォーマルドレスをした。
ヶに買ったものだった。
鏡のでわせる。
派ではない。
母親らしいか。
親族らしいか。
京子さんらしいか。
もう考えなかった。
自分が着たいとって選んだだった。
引きしからさな封筒をす。
修平と用していたのペンダント。
22、渡すを待っていた物。
渡すかどうかは、
まだ決めていなかった。
結婚式当の朝。
京子は予定より30分くホテルへ着いた。
ロビーには着飾った親族や友が集まり始めている。
浦の親戚らしいたちが、静を囲んで挨拶をしていた。
麗子もすでに来ていた。
い藤の留袖。
京子を見ると、静かにをげた。
京子も返した。
のに、以のような敵はなかった。
仲良くなったわけでもない。
それでよかった。
親族控へ向かおうとした、ウェディングプランナーの松原がってきた。
広告
「瀬京子様」
「はい」
「婦様がお呼びです」
京子のが止まった。
案内されたのは嫁控だった。
ドアをける。
美緒がいた。
いウェディングドレス。
髪をげ、いベールをろへ流している。
京子は言葉を失った。
何度も試着写真は見た。
それでも目のにいる娘は別のようだった。
「お母さん」
美緒が呼んだ。
京子は今度は返事をした。
「何?」
美緒の目がすぐ赤くなった。
「今、お願いがあります」
京子は黙って待った。
美緒はちがった。
「ベール、ろしてほしい」
京子の胸がく鳴った。
それでもすぐ答えなかった。
「麗子さんは?」
「話した」
「何て?」
「京子さんにお願いしなさいって」
京子はし驚いた。
美緒は続けた。
「でも麗子さんが譲ったからじゃない」
京子を見る。
「私が、お母さんにやってほしい」
京子の喉が苦しくなった。
美緒が歩づいた。
「私、ずっと怖かったの」
「何が?」
「達也のお母さんに嫌われること。結婚反対されること。麗子さんとまた関係壊れること。それから……お母さんなら許してくれるってってた」
京子は何も言わなかった。
「番失いたくないなら、番してくれるって」
美緒の涙が落ちた。
「最だよね」
「最だったね」
京子は答えた。
美緒が泣きながら笑った。
「そこ否定しないんだ」
「傷ついたから」
「ごめんなさい」
「うん」
京子は美緒の顔を見た。
「あの、本当にしかったよ」
「うん」
「22全部、なかったことにされたみたいだった」
「ごめん」
広告
おすすめ作品
-
完結第16話
凍える孫と消えた家
年末、麻子が息子夫婦の家を訪ねると、十四歳の孫・音実が靴も履かず、凍える庭に置き去りにされていた。父親たちは義姉を連れて海外旅行へ出たという。ところが空港から逃げ帰った義姉・杏奈の告白により、二人の少女が受けていた仕打ちと、音実に掛けられた一億五千万円の生命保険が明らかになる。 これは単なる育児放棄ではなかった。実の娘の命まで金に換えようとした息子に対し、土地も家も握る麻子は静かに反撃を開始する。三週間後、旅行から戻った夫婦を待っていたのは、豪邸が跡形もなく消えた更地と、彼らの人生を根底から崩すさらに大きな罠だった――。祖父母と孫|絶縁|親子関係|修羅場2.5万字5 804 -
完結第14話
1000万円のハワイ旅行を贈ったら、私だけ家族から外されました
亡き夫との夢を叶えるため、息子一家と両家の親が参加するハワイ旅行に一千百二十万円を支払った静江。ところが出発直前、息子の健太から「行くのは妻の両親だけ。もう連絡しないでほしい」と告げられる。六年間続けてきた住宅ローン援助や孫の送迎まで当然のように扱われていた静江は、息子の希望どおり、すべての支援を打ち切った。 息子夫婦がハワイを満喫している間、静江のもとに旅行代理店から精算書が届く。そこには、健太が二か月前から母を旅行者名簿から外し、「重度の認知症と末期癌の疑いがある」と虚偽の申告をしていた記録が残されていた。 さらに義弟からの電話で、健太が静江を判断能力のない高齢者に仕立て、成年後見人として財産管理権を握ろうとしていることが判明する。狙われていたのは、資産価値八千万円の自宅と三千万円の老後資金。しかも計画には、嫁とその父親、虚偽の診断書を作った医療関係者まで関与している疑いがあった。 静江は弁護士と任意後見契約を結び、正常な認知機能を証明する診断書と旅行代理店の通話記録を確保する。そして帰国した息子夫婦を待っていたのは、止められた送金、返送された孫の荷物、そしてホテルのテーブルに並べられた逃げ場のない証拠だった。家族旅行から排除した母が、自分たちの計画をどこまで知っているのか――二人がそれを理解した時、作り上げた“幸せな家族”の姿が崩れ始める。嫁姑|親不孝|親子関係2.2万字5 787 -
完結第16話
退職金を狙った息子夫婦と、亡夫の最後の記録
三十八年勤めた病院を退職した夜、久美子は息子夫婦から一枚の振込用紙を差し出された。 金額は、退職金の全額にあたる千八百万円。 「孫の将来のため」と迫られた久美子は署名を拒み、亡夫が残した通帳を調べ始める。すると、死後も三年間続いていた謎の送金と、《健太には知らせるな》という赤い文字が見つかった。 さらに孫本人は、息子夫婦が語る私立高校も医学部も望んでいなかった。 家族のために用意されたはずのお金は、いったい誰の借金を埋めていたのか。亡夫の署名が入った二通の承諾書、銀行へ持ち込まれた偽の委任状、そして貸金庫に隠された最後の手紙。 久美子が送金を止めた瞬間、息子夫婦が長年隠してきた金の流れが、静かに崩れ始める。親不孝|絶縁|親子関係|退職金|金銭問題1.1万字5 817 -
完結第17話
娘の席を愛人に譲った夫の末路
夫・敬吾が愛人を優先し、6歳の娘・陽菜を飛行機の後方席へ一人で追いやろうとした瞬間、さゆりは離婚を決意する。実は彼女こそ、敬吾の出世を陰で支えてきた一流の法務コンサルタントだった。 さゆりは娘とプライベートジェットで北海道へ向かいながら、夫の不正経費と愛人関係を会社へ告発。敬吾は部長職を失い、北陸の倉庫へ左遷され、慰謝料と養育費の支払いも背負う。 その後、さゆりは自分の名で事務所を開き、娘との生活を再建する。一年後、母娘はあえて普通席の35列目に並んで座り、誰にも奪われない二人だけの旅へ出発した。夫婦|親子関係|不倫2.6万字5 2972 -
完結第24話
息子が私を認知症にした日
七十歳の誕生日、息子は親戚十二人の前で私を「認知症」だと決めつけた。 「来月から施設へ入れよう。財産の管理は俺がする」 差し出されたのは施設の申込書と、実印を押すだけの財産管理委任状。けれど私は二週間前、すでに病院で検査を受けていた。 《認知機能に年齢相応以上の低下を認めない》 息子が欲しかったのは私の安全ではない。私名義の駅前の家と、その財産を自分で動かす権利だった。 翌朝、私は司法書士へ連絡し、息子一家に無償で貸していた家の調査を始める。すると、工事をしていないはずの家に《改修費一千二百万円》の完了書類が作られ、会社の借金返済に使う計画が判明した。 さらに見つかった三百万円の借入申込書には、孫の進学費用ではなく、私の家を担保にするための記載があった。 そして、その書類の立会人欄には、最も信じたくなかった家族の名前が書かれていた。親子関係|修羅場1.6万字5 557 -
完結第12話
兄の結婚式に、実の妹の席だけありませんでした
理沙は、兄・幸介の結婚式に呼ばれなかった。 母から告げられた理由は「本当に親しい人だけの小さな式」。しかし式当日、偶然届いた親戚からの連絡で、実際には七十人規模の披露宴が開かれ、自分だけが意図的に外されていたことを知る。 家族のために青春を捧げ、兄を支えてきた過去。だが、母と兄は理沙の離婚歴や仕事を理由に「相手の家に見せられない存在」として扱っていた。 傷つきながらも北海道で一人過ごした理沙は、帰宅後、兄から真実を聞かされる。しかし兄の説明は、母の言葉を繰り返すだけの言い訳だった。 なぜ自分だけが家族から消されたのか。 そんな中、兄の妻となったゆかから突然連絡が届く。 「どうしても直接お話ししたいことがあります」 そこで明かされるのは、母と兄が隠していた、結婚式欠席の裏にあるもう一つの真実だった。兄弟姉妹|親子関係|修羅場1.8万字5 944 -
完結第11話
両親を亡くした私が旅行から帰ると、実家が消えていた
両親を相次いで亡くした美穂に、夫・雅也が突然、一週間の温泉旅行を贈った。初めて見せた思いやりを信じて家を空けた美穂だったが、帰宅すると、思い出の詰まった実家は跡形もなく解体されていた。 雅也は土地を売り、その金で義実家を二世帯住宅にするつもりだった。しかし美穂が遺産を相続したというのは、三人の勝手な思い込みだった。名義変更前の家を無断で壊し、所有者の承諾書まで偽造した疑いが浮上する中、美穂は両親の思い出を奪った夫と義両親への反撃を始める。因果応報|嫁姑|夫婦|金銭問題1.7万字5 928 -
完結第17話
三日待て――命を懸けて起爆盤を粉砕した現場主任、120人を救い500億の黄金を暴く
奥羽鉱業・黒竹事業所で23年無事故を守り抜いてきた発破主任の酒井誠一は、ある朝、巨大な黒蛇の夢と坑道の異様な臭気から「発破を三日待て」と直訴する。しかし、工期短縮と300万円のボーナスに目が眩んだ現場監督・高木は酒井を即刻解任し、発破を強行しようとする。起爆まであと数秒、酒井は職を賭して大ハンマーで起爆装置を叩き壊した。 「狂人」と罵られ資材庫に監禁された酒井だったが、本社保安部長の介入と手帳に残された緻密な記録によって、高木の日報改ざんが白日の下に晒される。そして約束の三日目の朝――全坑内員120名が退避を完了した直後、山は地獄の咆哮とともに大崩落を起こした。九死に一生を得た男たちが崩落断面で目撃したのは、神の導きか、500億円の超高品位金鉱脈だった。職場逆転|因果応報3.2万字5 228 -
完結第14話
今日でクビだ」黒蛇の夢を信じて280万円の起爆装置を壊した俺。3日後、127人が退避した直後――山が崩れた
黒竹鉱山で24年間働く発破主任・酒井誠一は、黒蛇から「3日だけ待ってくれ」と告げられる夢を見る。第4区画の異臭、増えた湧水、変化した岩の反響にも危険を感じ、発破の延期を求めるが、高木監督は彼をその場で解任。さらに、同じ地点で繰り返されたガス警報まで日報から消されていた。工程を3日短縮すれば、高木には80万円の報奨金が入る。午後2時、未署名の確認表を無視して起爆準備が始まる中、酒井は工具箱からハンマーを取り出した。仕事も生活も失う覚悟で手に入れた3日後、127人の運命と山に眠る秘密が動き始める。因果応報2.0万字5 198 -
完結第11話
棺の中で眠る娘と、吠え続けた秋田犬
秋田の豪雪地帯で、七歳の少女・雪の葬儀が営まれていた。ところが愛犬ハチだけは棺に向かって激しく吠え、畳を掻き続ける。周囲が狂犬扱いする中、前妻であり元救命看護師の静子は、棺の内側から聞こえる微かな音と、雪の指先の動きを見逃さなかった。 静子が葬儀を止めて棺を開けると、雪には脈と呼吸が残っていた。静子は的確な応急処置を行い、雪はついに「お母さん」と声を発する。無力だと見下していた静子に娘を救われ、後妻エミリーと父・健一は言葉を失う。 しかし、奇跡の生還で物語は終わらない。救急搬送される娘に付き添いながら、静子は「なぜ雪が猛吹雪の夜、裏山へ出たのか」という疑念を抱く。人生逆転|真実|真相|親子関係1.6万字5 970