"新郎が消えた結婚式" 第11話
「うん」
方の農を回るで、取引先の1つにその女性の実があったらしい。
族と緒に農業をしていて、兄が仕事で訪れるうちに話すようになったという。
「すごく素朴なんだよ」
兄はし照れながら言った。
「素朴?」
「飾らないっていうか」
最初に会った、兄が名刺を差しすと、その女性は笑ったそうだ。
「名刺って堅苦しいですね」
兄は最初、失礼だとはわなかった。
むしろ鮮だったという。
肩きや会社名より、目のにいるそのものを見て話すようなだった。
「仕事の話してても、ったことそのまま言うんだ」
「お兄ちゃん、そういう好きなんだ」
「緒にいて楽なんだよ」
その言葉を聞いて、私はほっとした。
恵理子さんといた頃の兄は、どこか相にわせているところがあったのかもしれない。
当は気づかなかった。
でも今の話をしている航太は、肩の力が抜けている。
「今度、紹介していい?」
「もちろん」
し経って、その女性と会うことになった。
初対面の。
私の方が緊張していた。
のことがある。
兄の恋に会うと考えただけで、らずらず構えていた。
ところが、そんな警戒は最初の数分で消えた。
「初めまして」
女性はるく笑った。
「智さんですよね。航太さんからいつも聞いてます」
「え、何をですか?」
「優しい妹さんだって」
わず兄を見る。
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航太はし気まずそうにした。
「余計なこと言うなよ」
「本当のことでしょ」
女性は楽しそうに笑った。
その笑顔には、初対面のの恵理子さんのような、相を値踏みするじがなかった。
しばらく話していると、兄から私の過も聞いていることが分かった。
瞬、胸が固くなった。
また学歴のことを聞かれるのだろうか。
そうった。
しかし女性が言ったのは、まったく違う言葉だった。
「智さん、10代の頃から働いて計を支えてたんですよね」
「まあ……はい」
「すごいですよ」
「そんなことないです」
「ありますよ」
女性は真っすぐ言った。
「私も学にはってないんです。をて、そのまま実の農業を伝ったから」
「そうなんですか?」
「勉より畑の方が向いてたみたいで」
屈託なく笑う。
「似た者同士かもしれませんね」
その言で、胸の奥に残っていた緊張がほどけた。
学歴がかか。
庭環境がいいか悪いか。
そんな物差しでを見ていない。
私がどんな庭で育ったかではなく、何をしてきてきたかを見てくれている。
「お兄ちゃん、このなら丈夫そう」
で2になった、私は声で言った。
「から目線だな」
航太は笑った。
「配なんだよ」
「分かってる」
兄も穏やかに笑った。
「俺も今回は、ちゃんとゆっくり付きうつもり」
その言葉通り、2は急がなかった。
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仕事で会う。
休みのにかける。
お互いの族ともしずつ付きう。
私は々2と事をした。
そのたびに、以とは違うがあった。
彼女は私を「航太の妹」としてではなく、智という1のとして接してくれた。
やがて兄から連絡が来た。
「結婚することになった」
私は話で叫びそうになった。
「本当に?」
「ああ」
「今度こそ?」
「今度こそって何だよ」
「だってがあったから」
「縁起悪いこと言うな」
笑いった。
それでも私は、本当に嬉しかった。
今度の結婚式には、何のもなかった。
式当。
私はもちろん参列した。
兄のれ姿を見るのは、これが2度目だった。
けれど回とは何もかも違った。
婦は私を見るなり笑顔で駆け寄った。
「智さん、来てくれてありがとう」
「当然ですよ」
「今はいっぱいべてくださいね」
「結婚式で最初にそれ言います?」
「だってうちの野菜使ってるんです」
披宴には、婦の実で丹精込めて育てた野菜を使った料理も並んだ。
華美すぎる演はなかった。
それでも、どこを見ても温かかった。
招待客たちも、2をから祝福しているのが伝わった。
航太も、本当に幸せそうだった。
「お兄ちゃん、おめでとう」
式の途でそう声をかけると、兄は笑った。
「ありがとう、智」
しい兄嫁も私へ言った。
「これからよろしくね」
「こちらこそ」
「妹ができて、私すっごく嬉しい」
そう言って笑う顔を見た、胸がいっぱいになった。
あの、式のの公園で兄と座っていたには像できなかった。
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