"私を変えた元嫁" 第3話
「回だけやってみてもいいですか」
梨奈はスマートフォンで撮った栗まんじゅうの写真を見せた。
の皿に置き、半分に割っての栗を見せている。
美津が見慣れている商品なのに、妙に美しそうに見えた。
「自分で撮ったの?」
「はい」
「いつ?」
「昨閉」
美津はし考えた。
「じゃあ今だけね」
祭り当。
しいポスターのでち止まる若い客が増えた。
梨奈が作ったのSNSにも写真を載せたところ、隣だけでなくに乗って来たという若い女性客まで現れた。
栗まんじゅうは午3に売り切れた。
より2かった。
「すごいじゃん、梨奈」
夜、拓が褒めた。
梨奈は嬉しそうだった。
美津も言った。
「たまたまかもしれないけど、よかったね」
本当は、たまたまだとっていなかった。
梨奈には、自分にはないものがある。
そう初めてじた。
若いが何を見るのか。
どういう写真ならを伸ばすのか。
どういう言葉ならへ入ってくるのか。
美津には分からない。
それでも怖くはなかった。
なぜなら梨奈は、自分が育てた娘だったからだ。
なくとも、その頃までは。
梨奈が宮本へ入って目の、の売は久しぶりにを回った。
きかったのは、梨奈が企画した「季節の箱」だった。
桜餅、ひと羊羹、最、さな落雁をつの区画に分け、淡いの箱へ詰める。
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従来の宮本なら、それぞれ別々に売っていた菓子を、写真映えする箱として組みわせたものだった。
美津は最初、反対した。
「単価がわない」
「しくしても売れます」
「箱代がかかるでしょう」
「贈り物に見えれば、その分払ってくれます」
「そんな簡単じゃないよ」
梨奈は引かなかった。
原価表まで作ってきた。
箱代。
包装。
件費。
定販売数。
利益率。
数字は雑ではあったが、いつきだけではないことは分かった。
「50個だけ」
美津は言った。
「それで売れなかったら終わり」
梨奈は笑った。
「分かりました」
50箱はで売れた。
追加で100。
それも週でなくなった。
SNSには、
《昔ながらの菓子さんなのに箱がかわいい》
《産にちょうどいい》
といった投稿が増えた。
方の雑誌から取材依頼まで来た。
その記事で梨奈は、
《老舗菓子の若女将》
と紹介された。
美津は最初、その表現が気に入った。
嫁ではなく若女将。
の顔として認められたようにえたからだ。
記事を切り抜き、くなった夫の仏壇へ見せた。
「隆、見て。梨奈、頑張ってるよ」
写真の夫は当然何も答えない。
それでも美津は満だった。
数ヶ。
商の会で、の主から言われた。
「宮本さん、いい嫁もらったね」
美津は笑った。
「最初は変だったのよ」
「そうなの?」
「何にもらなかったから。包装も挨拶も、から全部教えたの」
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相はした。
「じゃあ美津さんが育てたんだ」
その言葉がよかった。
そう。
自分が育てた。
最初は靴も揃えなかった娘。
熨斗のもらなかった。
それが今では雑誌に載る若女将になった。
美津は、その話を何度もするようになった。
梨奈本のでも。
「この子、最初は本当にひどかったのよ」
客へ笑いながら話す。
「いらっしゃいませもまともに言えなくて」
梨奈も最初は笑っていた。
「もう何の話ですか」
「本当のことでしょう」
「恥ずかしいからやめてください」
「成した証拠なんだからいいじゃない」
美津は悪いことをしているとわなかった。
むしろ褒めているつもりだった。
ところがある、を閉めたあと、梨奈が言った。
「お義母さん」
「何?」
「お客さんので、昔の話するのやめてもらえませんか」
美津は帳簿から顔をげた。
「どの話?」
「私が何もできなかったとか、髪が茶かったとか」
「そんなこと?」
梨奈の表が変わった。
「私には、そんなことじゃないです」
美津はし驚いた。
「別に馬鹿にしてるんじゃないでしょう。今は派になったって話なのに」
「お義母さんが派にしたって話ですよね」
空気が変わった。
美津は眉を寄せた。
「実際、教えたでしょう」
「教えてもらったことは謝してます」
梨奈は静かに言った。
「でも私がやったことまで、全部お義母さんが育てたからできたみたいに言われるのは嫌です」
「誰もそんなこと」
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