みかん小説
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"最後の定期券" 第8話

夫はその言葉を信じた。

そして。

その夜。

優子と父親は駅から姿を消した。

「でも……30、何も分からなかったの?」

由紀は聞いた。

夫は静かに首を振った。

しずつ分かったことはあった」

隆志は別の町で暮らしていた。

会社の正を告発する準備をしていた。

しかし、病気になり、すぐには戻れなかった。

優子は父親と緒に暮らすことになった。

問題は。

母親だった。

「お母さんは、何もらなかった」

夫は言った。

「突然、娘も夫もいなくなった」

「だから……」

由紀は理解した。

優子の母親は、の喪失を経験した。

夫に捨てられたとい。

娘にも置いていかれたとった。

「父さんは、そのに本当のことを言わなかった」

「優子ちゃんとの約束があったから」

しかし。

その約束が、別のを苦しませ続けた。

「じゃあ、今回どうして急に探しにったの?」

由紀が聞いた。

夫はしばらく黙った。

そして。

古い聞記事を取りした。

そこには、さな記事が載っていた。

《30の企業正事件、元関係者が証言》

記事のに。

の女性の名があった。

佐伯優子。

「見つけたの?」

夫は頷いた。

、偶然名を見た」

優子は現

ある町でさな図館を運営していた。

子どもたちに本を読む仕事をしている。

「でも、会う勇気がなかった」

「なぜ?」

「俺がけば、あの子に30させる」

夫は言った。

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「それでも」

「退職したら、最度だけ会おうとった」

「約束を終わらせるために」

由紀は初めて理解した。

父が失踪した理由。

それは逃げるためではなかった。

の宿題を終えるためだった。

しかし。

まだつだけ疑問が残っていた。

なぜ父は、優子を見つけたのにへ戻らなかったのか。

そして。

なぜ今も。

青葉川駅ではなく。

優子の古いへ向かったのか。

その答えは。

父がまだ言っていない、最の秘密のにあった。

夫は翌朝、由紀と緒に古いアルバムをいた。

そこには、駅員代の写真や、族旅の写真が並んでいた。

由紀はその枚の写真を見つけた。

父と母。

そして、さな自分。

は30

「この頃……」

由紀は写真を見る。

「私、まださかったんだ」

美佐子が静かに頷く。

「そうよ」

「この、お父さんは優子さんを探していたの?」

夫は答えなかった。

代わりに、古い封筒を取りした。

「これを見てほしい」

には、枚のがあった。

は。

佐伯優子。

しかし。

付は10だった。

「優子さんから?」

由紀が驚く。

夫は頷いた。

度だけ届いた」

「じゃあ、会えたんじゃないの?」

夫はゆっくり首を振った。

「会っていない」

「どうして?」

父はを見つめた。

そこには、い文章がかれていた。

田さんへ》

《あの、あなたがいてくれたから、私は父を信じることができました》

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《でも、あなたにはまだ伝えていないことがあります》

《母のことです》

由紀は読みめた。

そして。

ある文でが止まった。

《母は、すべてっていました》

「え?」

夫の表が変わる。

「俺も、その初めてった」

優子の母親は。

夫が何をしていたのか。

娘が何を持っていたのか。

すべてっていた。

では。

なぜ30黙っていたのか。

優子の母親は、夫を憎んでいたわけではなかった。

ただ。

娘を守るために、真実を隠した。

夫の正告発によって、会社から圧力を受けた

族全員が危険になる能性があった。

だから。

優子だけをくへ逃がした。

そして。

夫にも嘘をついた。

「優子ちゃんは、消えたんじゃなかった」

夫は言った。

「母親が守ったんだ」

「何から?」

「世から」

由紀は複雑な気持ちになった。

30

たちは皆、誰かを守ろうとしていた。

でも。

その結果。

誰も本当のことを言えなくなっていた。

「じゃあ、お父さんは今回、優子さんに会いにったの?」

由紀が聞く。

夫は頷いた。

を返すために」

「何の?」

父は青いケースをいた。

には。

さな片が入っていた。

30、ずっと隠されていたものだった。

「これが、優子ちゃんのお父さんが残した証拠だ」

には。

会社の正を示す数字。

付。

そして最に。

文があった。

《優子へ》

《もし私に何かあったら、田さんを信じなさい》

由紀は息をんだ。

父は。

30

ただ女を探していたのではない。

女の父親から託されたものを。

守り続けていた。

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