"手書きの時刻表" 第7話
田は刻表をいていたが、列は1本もいていない。
それでもノートは役にった。
誰が薬を必としているか。どのに話がなく、所の誰へ伝言を頼めばよいか。の悪いをどのへ優先して乗せるべきか。
本部の運報には載っていないことが、そこにはかれていた。
夕方、支局から連絡が入った。
本の全列を運休する。
が利用者へらせると、待に落胆の声が広がった。
そので、1の女性が泣きした。
妊娠の娘が隣の病院へ入院し、容体が悪化したという連絡を受けたばかりだった。列が止まり、も通れないため、病院へ向かう段がない。
「何とかならないんですか」
女性はの腕を掴んだ。
「娘が1で苦しんでいるんです」
は言葉を失った。
正式な交通段はない。も部閉鎖され、般をらせるのは危険だった。
田がノートをめくった。
「営林署のがある」
「救急ではありません」
「だが、隣との境までける。そこから向こうの消防へ引き継げないか聞いてみよう」
はすぐに話をかけた。
営林署、町役、消防、隣の警察。何度も事を説し、責任者へつないでもらった。
1、緊急搬送ではないものの、病院から族の付き添いが必だとの請がたことで、と消防を乗り継いで女性を送れることになった。
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発、女性は田とへ何度もをげた。
「列がかないのに、駅へ来てしまってすみません」
田は首を横に振った。
「く所が分からないに駅へ来るのは、昔から皆同じです」
の灯りが吹のへ消えていく。
は、運休とかれた黒板を見た。
列が1本もらないでも、駅にはをつなぐ役割がある。
そのことを、をもって理解した1だった。
は翌も続いた。
川駅では20い乗客が夜をかした。堂と周辺の旅館にも協力を頼み、子どもや齢者から順に休める所を確保した。
田はもせず、話とノートのを往復していた。
「し休んでください」
が何度言っても、田はあと1件だけ確認すると答えた。胸の痛みを隠していることに、は気づいていなかった。
午4、がしまった。
保線作業員から、午には線点検を始められるとの連絡が入る。駅舎にいた々の表にも、わずかな堵が戻った。
がストーブへ炭をしていると、事務から物の落ちる音がした。
振り返ると、田が机の脇へ倒れていた。
「田さん!」
は駆け込み、肩を支えた。
田の顔はのように青く、呼吸も浅い。胸を押さえ、声をせない状態だった。
町の診療所へ話をしたが、のため医師が駅へ来るにはがかかる。
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救急も別の搬送へており、すぐには到着できない。
のが真っになった。
昨夜、利用者の事には次々と対応できたのに、最もくにいた田の異変へ気づけなかった。
「田さん、しっかりしてください」
田はく目をけた。
「机の……の引きし」
「今はノートのことなんて、どうでもいいでしょう」
「違う。薬だ」
引きしの奥から、さな薬入れが見つかった。医師から処方された発作の薬だった。
は話で診療所の指示を受けながら、田へ薬を使わせた。呼吸はわずかに落ち着いたものの、予断を許さない。
その、駅からの音が聞こえた。
昨夜、娘の病院へ向かった女性を送った営林署のが戻ってきたのだ。は運転へ事を説し、診療所まで田を運んでもらえないか頼んだ。
「すぐ乗せろ」
運転は迷わなかった。
待にいた乗客たちも、毛布を運び、田の体をへ移すのを伝った。
「田さんに何かあったのか」
「昨から度も休んでいなかったもの」
々のにが広がる。
田は、町の々にとって単なる駅員ではなかった。子どもの頃から切符を切ってもらい、学や就職を見送られた者もかった。
が発すると、は駅へ残った。
田へ付き添いたい気持ちはあったが、駅にはまだ帰宅できない利用者がいる。
運転再に向けた連絡も、誰かが受けなければならない。
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