"5枚で消された妻" 第5話
夫、健。
健は美幸へ連絡し、
「財産分与について、そっちに利な内容でをいてもいい」
と持ちかけていた。
最に話しおう。
静かな所の方がいい。
その言葉を、美幸は信じた。
婚を成させるための最の話しい。
そうっていた。
健が指定したのが、あの国沿いの古いビジネスホテルだった。
午4頃。
ビジネスホテルのフロントに、の男性が現れた。
当フロント勤務をしていた渡辺は、その男性についてに奇妙な証言をすることになる。
男はで来た。
現で部を取った。
名をき、鍵を受け取る。
そして階段をがった。
ところが5分ほどすると、再びへりてきた。
「しへます」
それだけ言って、ホテルをた。
渡辺は特に審にはわなかった。
客が事や買い物にることは珍しくない。
それから約2。
午6過ぎ。
空はすっかり暗くなっていた。
ホテルのあせたネオンが点滅する、の女性が入ってきた。
美幸だった。
「宿泊ですか?」
渡辺が尋ねる。
美幸はし迷った、男が先に取った部番号を確認した。
詳しい言葉は12の証言で曖昧になっていたが、なくとも美幸は、自分が向かう部を偶然決めたわけではなかった。
すでに誰かから、部番号をらされていた。
美幸はさなハンドバッグだけを持ち、階段をがった。
広告
廊の奥。
指定された部。
扉ので度ち止まったかもしれない。
ここで話を終わらせれば、婚に向けてへめる。
夫の借から解放される。
監されるような々も終わる。
そんな未来をい描いていた能性は分にあった。
部のには健がいた。
「来たか」
美幸が入る。
扉が閉まる。
い鍵の音がした。
部のでがどのように話したのか、完全な記録はない。
12の健の自によれば、彼は財産分与の話をするふりをして美幸を呼びした。
「条件を面にする」
そう言いながら、み物を差しした。
美幸は夫を警戒していた。
だが、まさかそのみ物に薬が入っているとはわなかった。
彼女はをつけた。
しずつ識がのいた。
魔。
体の力が抜ける覚。
健の声がくなる。
ベッドへ横たわる頃には、正常な判断もできなくなっていた。
健は、その状態になるのを待った。
そして、美幸が薬局で購入した販の眠薬とは別に、自分が事に入していたい薬を使った。
さらに眠薬を追加してませた。
美幸には、抵抗する力が残っていなかった。
そのため体にはきな傷が残らなかった。
部も荒れなかった。
健は自らが持ち込んだものを理し、美幸が自分で薬を量にんだように見える形を作った。
広告
テーブルには空箱。
酒。
グラス。
きりで自ら命を絶った女性の部。
そう見える状態を残した。
そしてホテルをた。
翌朝まで、美幸が助けを求めることはなかった。
求めることができなかった。
413。
従業員が部をけた、すべては健が望んだ形になっていた。
警察は、婚調という事をした。
眠薬がある。
酒もある。
傷がない。
それだけで自ら命を絶ったという筋きは完成してしまった。
事件発からそれほどが経たないうちに、第者の関与を積極に疑う捜査は止まった。
母のよし子は、納得しなかった。
3ほど経った頃、膝の痛みを抱えながら管轄の警察署を訪れた。
受付のい子に座り、1く待った。
ようやく対応した警察官は、事件を直接担当した物ではなかった。
「もう結果はています」
事務な声だった。
「お母さんのお気持ちは分かります。でも、これ以調べる理由がありません」
よし子は必に訴えた。
「あの子は婚したがっていたんです。これからやり直そうとしていました。自分からぬはずがありません」
「精神状態については、ご族にも分からないことがありますから」
「夫を調べてください」
警察官の表が固くなった。
「何か証拠がありますか?」
「ありません。でも……あのが怪しいんです」
「疑いだけでは捜査はできません」
よし子は言葉を失った。
「警察も、すべてのご族の希望に応じて再捜査するわけにはいかないんです」
広告
おすすめ作品
-
完結第10話
15年後に消えた罪
1984年、東京・世田谷の古い木造住宅で起きた火災。 亡くなったのは、72歳の老人・近藤商司だけではなかった。 焼け跡から見つかったもう一人の女性の遺体は、なぜか新聞紙に包まれ、灯油の痕跡まで残されていた。 当初、事件は老人と介護士の間で起きた悲劇として処理された。 しかし15年後、古い書類に残された一つの署名と、焼け跡に残された小さな証拠が、隠され続けた真実を再び動かし始める。 消えた500万円。 偽造された署名。 そして、誰も疑わなかった親族の存在。 長い年月を経て明らかになった、静かな住宅街の奥に隠された衝撃の真相とは――。ミステリー|行方不明1.5萬字5 131 -
完結第11話
地下室に消えた名前
旧精神療養所の解体前調査で発見された、図面には存在しない地下室。 そこには、番号だけを付けられた6人分の遺骨と、半世紀前に消された人々の記録が残されていた。 かつて「自死」と処理された女性たちは、本当に自ら命を絶ったのか。 調査を進める刑事たちは、古いカルテ、残された手紙、そして元医師の告白から、病院の地下に隠されていたもう一つの歴史へたどり着く。 しかし、そこにあったのは単なる事件の真相ではなかった。 名前を奪われ、声を失った人々と、長年沈黙を守り続けた社会の記憶だった――。ミステリー|行方不明1.7萬字5 79 -
完結第13話
嘘葬りの豆腐店
1991年、茨城の古い商店街で、豆腐屋の嫁・美香が突然姿を消した。 姑と夫が語ったのは、「男を作って夜逃げした」という話。幼い息子を置いて消えた母親として、美香の名は商店街で長く汚され続けた。 しかし6年後、借金による強制執行で高橋豆腐店が取り壊されることになる。誰も近づこうとしなかった裏手のボイラー室。そのコンクリートを掘り返した時、そこから現れたのは、色褪せたスカーフと小さな金の指輪だった。 男と逃げたはずの嫁は、なぜ自宅の床下にいたのか。 そして家族は、6年間何を隠し続けていたのか。 雨の夜に消えた母の名誉を取り戻すため、古い商店街の沈黙が少しずつ崩れ始める。ミステリー|行方不明1.9萬字5 13 -
完結第13話
消えた退院前夜
1991年5月、静岡県の総合病院で、退院を3日後に控えた43歳の女性・田中道子が忽然と姿を消した。 手術は無事に終わり、回復も順調。財布も保険証も病室に残されたまま、彼女だけが夜の病院から消えていた。 最後に確認されたのは、消灯時間の午後9時。翌朝、看護師がカーテンを開けた時、そこに道子の姿はなかった。 自ら出て行ったのか。誰かに連れ去られたのか。それとも、病院の中で何かが起きていたのか。 家族は必死に行方を探し続けるが、手がかりは見つからないまま季節だけが過ぎていく。 そして8か月後、病院の監査で見つかった小さな異変が、すべてを変える。 消えた投薬記録。数の合わない睡眠導入剤。修正されたカルテ。 信じていた病院の奥で、道子に何が起きていたのか――。ミステリー|真相|行方不明1.9萬字5 9 -
完結第13話
長野中部山岳紅葉山カップル失踪事件
2019 年 10 月、韓国束草・雪岳山で忽然と姿を消した 20 代の恋人カップル。 山の監視カメラに最後の後ろ姿を残し、それきり跡形もなく消えてしまった二人。 大規模な山間捜索を何度も行ったものの、衣類の切れ端一つ見つからず、3 年間も謎のまま放置されていたこの失踪事件。 3 年後、排水溝の底から発見された一台の携帯電話。 本体に復元された記録の中に、たった 9 秒(原文 6 秒調整可)の謎の通話履歴が残っていたのです。 撮影した第三者の姿は監視カメラにも目撃談にも一切残らず、臨時インターネット電話番号からかかってきた不可解な電話。 通話直後、二人のスマホが同時に電源オフになる不可解な記録。 リュックの隠しポケットから出てきた手描き地図と謎のメモ「ここへ行けばある。17 時 25 分より前に渡るな」。 警察が調べても特定できない撮影者、地図に載っていない危険な山道、時系列が繋がる不自然な証拠たち… 長野(原文韓国束草に統一)の山に隠された、誰も想像できない真相とは? 年配の方も分かりやすく時系列順に整理した事件全貌、今すぐ全文を読んでみてください。真相|遺體発見|行方不明2.0萬字5 12 -
完結第13話
隠された十五年の物語
2005年、日本で誰も深く探ろうとしなかった不気味な過去がある。 生涯質素に暮らし、一文無しに近い老夫婦がいた。 一生懸命働き、大金とは無縁の日々を過ごしてきた二人に、思いがけない幸運が舞い込んだ。 閑古鳥が鳴くパチンコ店で、前代未聞の大当たりを出し、一夜にして大金を手に入れ、念願の一戸建てを購入したのだ。 苦労の末に手にした新居で、穏やかな老後が待っているはずだった。 だが誰も予想しなかった——引っ越してたった3日、老夫婦は新居ごと跡形もなく消え失せた。 庭の草木は新しく植えたばかりの瑞々しさを残し、部屋のお茶はまだ温かく、布団も整えられたまま。 主人だけが、この世から忽然と姿を消したのだ。 警察が数日間捜索したものの、手がかりは一切なく、最終的に不可解な失踪事件として処理された。 だが地元の古株の住民は皆知っている。この予期せぬ大当たりは、贈り物ではなく、命を懸けた交換取引だったと。 大金を手にした直後に消えた理由とは?空き家の下に隠された真実とは? 当時誰も口にできなかった封印された真相を、今こそ完全に解き明かす。真実|裡の顔|真相|遺體発見|行方不明1.9萬字5 9