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"20億追放妻の封筒逆転" 第8話

健也がメルボルンへ来たのは、私が妊娠5ヶを過ぎた頃だった。

会いたくはなかった。

ただ、野寺弁護士から「完全に拒絶し続けるより、第者のいる所で度話した方がいい」と言われ、私はホテルのカフェで会うことにした。

も経っていないのに。

健也はし痩せていた。

はいつも隙のないスーツ姿だったのに、目のにはい隈があり、髪もし乱れている。

私のお腹を見ると。

彼はを止めた。

きくなったな」

「もう5ヶだから」

「体は?」

「順調」

席についたあとも。

健也の目は何度も私のお腹へ向かった。

「男の子?」

「まだ聞いてない」

本当はっていた。

男の子だった。

でも。

今の健也に何でも話す気にはなれなかった。

「結菜」

「何?」

「両親のことは気にしなくていい」

私は眉をげた。

「どういう?」

「僕が止める」

「今度は?」

その言で。

健也は黙った。

は止めなかったよね」

「分かってる」

「私に20億円払ってへ追いも、あなたは止めなかった」

「分かってるって」

「じゃあ、どうして今度は止めるの?」

健也は両を組んだ。

「子どもがいるから」

私は静かに息を吐いた。

やっぱり。

「私じゃないのね」

「違う」

「違わないでしょう」

「僕は」

言葉を探している。

違えたんだ」

私は何も言わなかった。

健也はしばらく黙ったあと。

「美奈とのことも」

そこで止まった。

「何?」

「最し……分からなくなってる」

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私は顔をげた。

「双子がまれるのに?」

「だからこそだ」

健也は唇を噛んだ。

「結菜。僕の検査結果、見たんだろ」

私は驚いた。

「どうして分かったの?」

野寺先が病院の記録を取り寄せたって、うちの弁護士から聞いた」

ってたんだね」

健也は俯いた。

い沈黙。

「いつから?」

「最初の検査から」

私はわず子の背にもたれた。

していた。

それでも本から聞くと。

胸の奥が痛んだ。

「どうして言わなかったの?」

「怖かった」

「何が?」

「親にられるのが」

健也は絞りすように言った。

「父も母も、僕が跡を継いで子どもを作ることが当然だとってた。兄弟ので僕だけが継者として育てられた。だから、精子の状態が悪いって言われた……誰にも言えなかった」

「私には?」

「君にも言えなかった」

「そのせいで、私は5、自分の体が悪いとってた」

「ごめん」

「義母に何を言われても、黙ってたよね」

「……うん」

私は目を閉じた。

健也は自分を守った。

その代わりに。

私を「産めない嫁」のままにした。

「美奈さんの妊娠を聞いた、何もわなかったの?」

健也の顔が固まった。

った」

「何を?」

「まさかって」

「それでも信じた」

「医者は自然妊娠が絶対能とは言ってない」

「そうね」

「美奈は僕以とは関係ないって言った」

健也は自分自へ言い聞かせるように続けた。

「双子だって分かった、両親がものすごくんで……僕も、ようやく普通になれた気がしたんだ」

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その言葉を聞いて。

私は初めてし理解した。

健也も。

「跡継ぎを作れる男」であることに取り憑かれていた。

美奈の妊娠は。

彼にとってだけではなく。

自分が「正常だ」と証する来事だった。

だから疑えなかった。

疑いたくなかった。

「結菜の妊娠をって」

健也が言った。

「余計に分からなくなった」

「私の子は胚移植でしょう」

「分かってる」

「あなたの精子を使った受精卵だから、議じゃない」

「うん」

健也は両で顔を覆った。

「でも、美奈の子は自然妊娠だ」

私は何も言わなかった。

彼自が。

ようやく。

同じ疑問へたどり着いたのだ。

「検査するの?」

私が尋ねた。

健也はしばらく答えなかった。

「……怖い」

正直な言葉だった。

「もし違ったら」

「それは私に言うことじゃない」

「分かってる」

私はがった。

「健也」

「何?」

つだけ言っておくね」

彼が私を見る。

「私はもう、あなたが美奈さんと結婚しても、しなくても関係ない」

健也の顔がし歪んだ。

「でも、この子を斎藤の都かすことだけは許さない」

「分かった」

だけじゃなくて?」

健也はく私を見た。

「今度は、する」

私はその言葉を信じなかった。

信じないことが。

今の私には必だった。

美奈が双子を産したのは、私が妊娠7ヶに入った頃だった。

本のニュースではきく扱われた。

斎藤グループ次期社と噂される健也に、待望の双子誕

美奈はまだ正式な妻ではなかったが、「事実の婚約者」として紹介され、記事には義母が病院を訪れた写真まで載った。

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