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完結第4話
年金十二万円の老人の正体
川崎の銀行窓口に、古びた作業着を着た75歳の老人・西川誠三がやって来た。 海外出張中の息子に頼まれ、正式な委任状を持って残高確認に訪れただけだった。 しかし若い行員は、誠三の年金額と市営住宅の住所を見た瞬間、彼を見下した。 「年金十二万の貧乏人が、何しに来たんですか?」 さらに支店長まで現れ、老人を詐欺師扱いし、ついには言い放つ。 「ボケ老人は銀行に来るな」 誠三は怒鳴らなかった。 ただ静かに銀行を出て、一本だけ電話をかけた。 相手は息子・西川雄一。 全国に関連会社を持つ巨大建設グループの社長だった。 「みずほ第一銀行との取引を停止する」 その一言で、銀行本店に緊急アラートが走る。 総額一兆円規模の取引が一斉に止まり、翌朝、銀行役員たちは50台の黒塗り車で誠三のもとへ謝罪に向かった。 だが、彼らがどれほど頭を下げても、一度踏みにじった老人の尊厳は、簡単には戻らなかった――。年金|退職金|金銭問題5.9千字5 0 -
完結第5話
年金七万円の老人ホーム
78歳の山田清は、妻を亡くしてから古いアパートで一人暮らしを続けていた。 月の年金はわずか7万2000円。 家賃、光熱費、食費を払えば、生活は毎月赤字だった。 ある日、階段で転倒しかけた清は、初めて孤独死の恐怖を現実として感じる。 福岡に暮らす娘の勧めで老人ホームを探し始めるが、有料老人ホームは月15万円、サービス付き高齢者住宅も10万円以上。 清の年金では、とても手が届かなかった。 ようやく見つけたのは、低所得者向けの軽費老人ホームだった。 だが、そこに待っていたのは、豪華な老後ではない。 6畳の質素な部屋、決められた食事時間、薄い壁、少ない食事、自由の制限。 最初は「まるで刑務所だ」と感じた清だったが、やがて同じ境遇の仲間と出会い、少しずつ気づいていく。 年金7万円の老後に、贅沢はない。 けれど、孤独に怯えながら朽ちていくよりも、誰かに見守られ、ささやかに笑える場所がある。 それは決して理想郷ではないが、清が最後に選んだ“生きるための現実”だった――。年金|金銭問題7.1千字5 0
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