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完結第5話
喪服で行った結婚式
25年連れ添った夫のジャケットから、私は一通の白い封筒を見つけた。 そこに入っていたのは、結婚式場の予約確認書。新郎の欄には夫の名前。そして新婦の欄には、私ではない若い女性の名前が書かれていた。 まだ離婚もしていない。私はまだ、彼の妻のままだった。 それなのに夫は、共同口座から消えた150万円を使い、愛人との結婚式を準備していた。私を家に残したまま、別の女に白無垢を着せようとしていたのだ。 長年、見て見ぬふりをしてきた冷たい食卓。帰らない夜。私を「処理する」と話していた夫の声。 そのすべてを胸に、私は黒い喪服を取り出した。 向かった先は、白い花で飾られた結婚式場。 白無垢の愛人と、黒い喪服の正妻。 そこで私は、夫が隠してきた裏切りの証拠を、静かにテーブルの上へ並べていく――。修羅場7.9千字5 1054 -
完結第7話
5500億を動かした手
施設で育ち、ようやく銀行の正社員として初出勤の日を迎えた24歳の志宮リンカ。 しかし出勤途中、駅前で倒れていた一人の老人を見つけた彼女は、迷わず足を止める。救急車が来るまで手を握り続けた結果、初出勤にはわずか5分遅れてしまった。 待っていたのは、支店長からの冷たい一言だった。 「初日から遅刻か。即刻解雇だ」 事情を聞こうともせず、施設出身という経歴まで見下され、リンカはたった5分で夢を奪われる。けれど、支店長は知らなかった。 彼女が助けた“質素な老人”の正体を。 翌日、東銀行梅ヶ丘支店に現れたのは、5500億円を預ける大口顧客。その男が口にした一言で、支店長の顔色は一瞬にして青ざめる。 踏みにじられた善意は、本当に報われないのか。 これは、見返りを求めず手を差し伸べた新人行員が、たった一つの優しさで運命を大きく変えていく物語。人生逆転|金銭問題|修羅場1.0萬字5 777 -
完結第8話
葬儀よりハワイ
80歳の田所吉郎は、55年間連れ添った最愛の妻・雪子を亡くした。 若い頃、貧しい暮らしの中で支え合い、二人三腳で小さな會社を築いてきた夫婦。だが雪子が病に倒れてから、息子の嫁・美香は見舞いにも來ず、介護に疲れた吉郎を助けることもなかった。 それでも雪子は最後まで、嫁に迷惑をかけまいと気遣い続けた。 そして迎えた葬儀の日。家族として最後の別れをするはずの美香は、義母の葬儀よりも友人とのハワイ旅行を選ぶ。吉郎は亡き妻に恥をかかせまいと、參列者には「體調不良」と噓をつき、靜かに頭を下げ続けた。 しかし葬儀の翌日、吉郎は決意する。 息子夫婦が住む一軒家は、吉郎が買い與えたもの。そして名義は、今も吉郎のままだった。 妻を軽んじた嫁に、吉郎が下した靜かなけじめとは――。人生逆転|親不孝|親子関係|修羅場1.1萬字5 4987