小さな菓子工房《灯菓》を営む私は、町内会の敬老会に出す96個のプリンを正式な注文として受けた。 しかし当日の朝、冷蔵庫の中からプリンがすべて消えていた。持ち出したのは義母・富美子。しかも彼女は私の店名と表示ラベルを剥がし、自分の名前を貼って「会長手作り」として配ろうとしていた。 保管温度も、消費期限も、誰が責任を持つのかも曖昧なまま、プリンは高齢者たちの前に並べられる。私は必死に止めようとするが、夫は「母さんを悪者にするな」と私の腕をつかんだ。 その夜、敬老会の参加者が体調不良で搬送される。 原因は本当に私のプリンだったのか。義母は何を隠し、夫はどこまで関わっていたのか。 一枚の貼り替えられたラベルをきっかけに、嫁の仕事を“暇つぶし”と笑ってきた家族の本音が、静かに暴かれていく――。