"妻の葬儀で老犬が暴いた秘密" 第4話
瓶と類を鑑定し、当の状況も改めて確認します」
私は頷いた。
堵はなかった。
もし事故ではなかったのなら、幸子は最の瞬、誰と向きっていたのか。私はくれた任務先で、何もらずに何をしていたのか。
考え始めると、悔が底なしに広がっていく。
今すべきことは、自分を責めることではない。
妻の最を事実として確かめることだった。
捜査員たちが帰った夕方、直だけが玄関へ戻ってきた。
「、健さん夫婦が片づけに来るそうですね」
「ああ。午9頃だ」
「今のことは話していませんか」
「何も話していない」
直は声を落とした。
「では、の話も、回収した物の話もさないでください」
警察が確かめたいのは、が何をっているかだった。
何もらない者なら、祭壇の裏にある板へ関を示す理由はない。しかし、隠した物を回収するために来るのなら、こちらが何も言わなくてもにる能性がある。
「記録はどうする?」
「主である田さんの同を得たうえで、こちらが準備します。ただし、挑発はしないでください。問い詰めるのも避けてください」
「分かっている」
私は軍だった。
だが、警察官ではない。
ここで私がりに任せて健を追及すれば、妻のために始まったまで、自分の復讐に変わってしまう。
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その夜、警察の確認を受けたうえで、祭壇は元にい位置へ戻された。焦げた布だけをしい物へ替え、幸子の遺を正面に置く。
から見れば、何事もなかったように見えた。
にあった瓶も類も、すでに警察のにある。
私は遺のに座った。
「幸子。は、見たことだけを信じる」
返事はない。
だが、妻の写真は、私が今まで見落としてきたものを静かに問いかけているようだった。
翌朝8半、私は太郎を縁側くの部へ移した。
と餌を置き、戸を閉めるにを撫でる。太郎は満そうに私を見げたが、祭壇の部へづかせるわけにはいかなかった。
を警戒して吠えれば、こちらが何かに気づいたと悟られる能性がある。
午9、砂利を踏むの音が聞こえた。
玄関の呼び鈴が鳴る。
扉をけると、健がきな袋を提げ、そのろに真由美がっていた。
「義兄さん、来たよ。随分疲れた顔をしているな」
「葬儀が終わっても、やることがくてね」
私は力のない声を作った。
健は靴を脱ぎながらの奥を見た。真由美も玄関へ入るなり、祭壇のある部へ瞬線を向ける。
のきを疑っているから、そう見えるだけかもしれない。
私は決めつけなかった。
「まだほとんど片づいていないんですね」
真由美が部を見回した。
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「をつける気になれなくてね」
「私たちがやります。お義兄さんは休んでいてください」
健は果物や菓子を祭壇へ供えた。遺へをわせ、「姉ちゃん、また来たよ」とつぶやく。
その横顔だけを見れば、姉を失った弟にしか見えなかった。
私は別へ入り、襖を完全には閉めずに横になった。の姿は見えないが、音と会話は聞こえる。
最初は器や弔問客の名簿を理していた。
やがて真由美が声で言った。
「これは49までは置いておくの?」
「祭壇はそうだろうな」
「でも、掃除するならろも見た方がいいんじゃない?」
しばらく沈黙があった。
健の音が祭壇へづく。
私は呼吸を変えないようにした。
「義兄さん、寝たかな」
「静かにしていれば丈夫よ」
次の瞬、の脚が畳を擦る音がした。
は祭壇をかしていた。
偶然そのを掃除する能性はある。まだ決定ではない。
だが健は、部の隅から順番に確認しなかった。祭壇を壁からすと、迷うことなく枚の板へ指をかけた。
太郎が唸り続けた所。
昨夜まで瓶と類が隠されていた所だった。
板がれる。
健がへ腕を入れた。
数秒、肩が固まった。
「ない」
さな声だったが、私は聞き逃さなかった。
「ちゃんと見たの?」
真由美が尋ねる。
「ここに入れたんだ。違えるわけがない」
私の胸ので、最に残っていた疑いが形を変えた。
健は、そこに何かがあったことをっている。
しかも「入れた」と自分ので言った。
「所、違えてない?」
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