"給食を食べなかった少女" 第4話
林は無理やり取らなかった。
しばらくして。
子の方から。
机のへ置いた。
から。
円玉。
円玉。
円玉。
何枚もの貨がてきた。
ではない。
それでも歳の子どもが貯めたにしては、かなりの額だった。
「何のおだ」
子は答えない。
封筒の裏を見ると。
鉛でさくかれていた。
《学のお》
「教材費か?」
首を振った。
「費?」
また首を振った。
林は黙って待った。
やがて子が言った。
「へくためです」
林はを疑った。
「?」
「はい」
「まだ学にも入ってないだろう」
「だから今から貯めるんです」
子の声は真剣だった。
「学をたら働けって、お父ちゃんが言ってるから」
林は何も言えなかった。
当、学までは義務教育になっていた。佐伯が子をすぐ働かせるとしても、それは学卒業のことになる。
しかし。
子は。
その先へきたかった。
「先になりたいって言ってたな」
子は頷いた。
「でもにったら、おかかるでしょう」
「そうだな」
「だからしでも自分で貯めたら、お父ちゃんも許してくれるかもしれない」
林は貨を見た。
「でも、をべなかったら、このおが増えるわけじゃないだろう」
「パンを持って帰ったら、弟のおやつを買わなくていいから」
その分だけ。
母親の財布からるが減る。
自分が文具を買わなければ。
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またし減る。
消しゴムを最まで使えば。
鉛をくなるまで削れば。
のを使わないで済む。
そして々、母親からお使いの残りを「取っておきなさい」と渡された円や円を、この封筒へ入れている。
歳の女なりの。
計算だった。
「そこまでしてへきたいのか」
林が尋ねた。
子は顔をげた。
「きたいです」
涙が浮かんでいた。
「先になりたいから」
その。
教ので。
板がさく鳴った。
林が振り返ると。
きかけた扉の向こうに。
の男がっていた。
子の父。
栄治だった。
どこから聞いていたのか分からない。
ただ。
娘のに並んだ貨を見て。
顔を張らせていた。
「お父ちゃん……」
子の顔から血の気が引いた。
栄治は学へ用事があったらしく、を胸元に寄せたまま教の入へっていた。怪をして以来、指を完全に握り込むことができないらしく、仕事帰りとわれる作業着の袖には屑がついている。
「それ、何だ」
い声だった。
子は反射に封筒を隠そうとした。
栄治は教へ入った。
「見せろ」
「嫌」
「子」
林がへ入ろうとすると、栄治は首を横に振った。
「先、の話です」
子は震えるで封筒を差しした。
栄治はで受け取り、の貨を机へした。
「こんな、どこから取った」
「取ってない!」
子は泣きそうな声をげた。
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「自分で貯めたの!」
「何のために」
答えない。
「言え」
「」
父の眉がいた。
「何?」
「へくため」
しばらく。
誰もかなかった。
栄治は机のの貨を見た。
それから。
笑った。
ただし。
面くて笑ったのではなかった。
「こんなでへけるとってるのか」
子の目から涙が落ちた。
「今から貯めれば――」
「制は? 教科は? 賃は? 毎のはどうする」
「働きながらでも――」
「簡単に言うな!」
父の声が教へ響いた。
林が止めた。
「佐伯さん」
「先は黙っててください」
栄治は娘を睨んでいたが。
その目は。
っているというより。
追い詰められているように見えた。
「このに、そんな余裕はない」
子は泣きながら言った。
「だから自分で貯めてる」
「何かかるとってる」
「分かんないよ!」
「分からないならみたいなこと言うな!」
その言葉で。
子は完全に黙った。
林は耐えられなくなった。
「佐伯さん。子さんは学でもかなり成績がいい。今すぐの話を決める必はありませんが、最初からを閉じることはないでしょう」
栄治が教師へ向き直った。
「先」
「はい」
「先は、子がへったら、このに米を持ってきてくれますか」
林は答えられなかった。
「弟が病気になったら、医者代払ってくれますか。女の内職がなくなったら、代わりに働いてくれますか」
「それと教育は別です」
「別じゃない!」
栄治のが震えた。
「のあるには別でしょう。でもうちじゃ緒なんですよ」
い沈黙が落ちた。
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