"昭和39年、姉の「元気です」に隠された嘘" 第9話
「曲がってるよ」
「曲がってない」
「京ってもこういうところは変わらないね」
「母ちゃんこそ」
子が。
横から言った。
「姉ちゃん、今度京戻る、振ってね」
子が。
瞬。
を考え。
それから笑った。
「今度は振るよ」
へ戻る。
子は。
町の景を。
何度も見た。
変わっていない。
はずなのに。
しさくじた。
京が。
自分の居所になったわけではない。
青森だけが。
自分の居所でもない。
自分は。
そのにいる。
それでいい。
子は。
ようやく。
そうえるようになっていた。
それから何も経ち、子は京で働き続けた。最初のにずっといたわけではなく、やがて職を変え、寮をてさな部を借りるようになった。けれど、青森から若い輩がてくるたび、野駅まで迎えにく癖だけはく残った。
「京はがいから、最初は私のろかられないで」
しく来た女へそう言いながら。
子は。
自分が初めて野駅へりたのことを。
何度もいした。
誰もらない。
どこへ歩けばいいかも分からない。
泣きたい。
でも。
泣いたら。
帰りたくなる。
そんな15歳だった。
子が代していた仲たちも。
それぞれ違うを歩いた。
子は度青森へ戻ったあと、体調が回復してから元で働いた。
ミツは京に残った。
カヨは数に結婚した。
トシは別のへ移った。
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々。
誰かから。
が来た。
《あの、ちゃんがいてくれた、母がまだ持っています》
そうかれていたこともあった。
子自は。
議な気持ちになった。
のへ送った言葉は。
何も。
残っている。
それなのに。
自分がへ送り続けた。
《元気です》
の葉も。
節子が。
枚も捨てず。
持っていた。
子がになり。
実を理した。
さな箱から。
その葉が。
束になっててきた。
区。
荒川区。
区。
墨田区。
板区。
消印は。
今見ても。
ばらばらだった。
「これ、覚えてる?」
子が。
京から帰省していた子へ見せた。
子は。
枚取った。
《元気です。配しないでください。》
「よくこんなの毎送ってたね」
子が笑った。
子も笑った。
「今見ると、余計配になるね」
「当は分かんなかったよ」
「母ちゃんは?」
「分かってたんじゃないかな」
「何が?」
「本当に元気だったら、子はこんないかないって」
子は。
母を見る。
節子は。
すでにを取り。
縁側に座っていた。
「母ちゃん、本当?」
節子は。
し考えた。
「何が」
「私が元気じゃないって分かってた?」
節子は。
葉の束を見た。
「最初の頃は分からなかったよ」
「いつ気づいたの」
「正に帰れないって来た頃かな」
子は驚いた。
「じゃあ何で何も言わなかったの」
「言えないでしょう」
節子は笑った。
「帰っておいでっていたら、あんたが帰りたくなるかもしれない。
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頑張れっていたら、無理するかもしれない。親だって何てけばいいか分からないがあるんだよ」
子は。
言葉を失った。
自分だけではなかった。
へ。
何をけばいいか。
分からなかったのは。
青森で。
葉を待つ母も。
同じだった。
「じゃあ子が番うまかったね」
子が言った。
子は。
得そうに。
昔の葉を枚した。
《元気じゃなくても、帰ってきていいよ。》
節子が笑った。
「それは本当にいい言葉だったね」
子は。
しばらく。
その葉を見た。
帰れ。
でもない。
残れ。
でもない。
頑張れ。
でもない。
元気でいろ。
でもない。
ただ。
元気じゃなくてもいい。
その言葉が。
15歳の子を。
初めて。
族の期待からも。
自分自のからも。
しだけ自由にした。
昭30代半から40代にかけて、くの学卒業者が方から都部へ集団就職で向かった。をれたにはまだ15歳ほどで、の寄宿舎などで共同活を送りながら働き始める若者もなくなかった。
今のように、いつでも族の顔を見ながら話せる代ではない。
話も。
すべての庭にあるわけではない。
族をつなぐのは。
。
葉。
には。
たった。
だからこそ。
そこに。
かなかったことも。
かった。
子は。
仲のなら。
何枚でもけた。
の寂しさなら。
言葉にできた。
「帰りたい」
「仕事がつらい」
「母ちゃんに会いたい」
それらを。
何度も。
の代わりに。
便箋へいた。
でも。
自分の寂しさだけは。
けなかった。
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