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講堂に残された角帽

講堂に残された角帽

春待つ寛治 完結 4

1995年2月、早稲田大学の卒業式。 大阪から駆けつけた両親は、一人息子・笠原誠一郎が壇上で名前を呼ばれる瞬間を待っていた。優秀卒業者として名を呼ばれるはずだった息子。大手企業への内定も決まり、家族にとって誇らしい晴れの日になるはずだった。 しかし、マイク越しに「笠原誠一郎」の名が響いても、彼は壇上に現れなかった。 式が終わった後、講堂の奥で見つかったのは、きれいに畳まれた卒業ガウンと角帽だけ。財布も荷物もなく、争った形跡もない。未来を約束された青年は、卒業式の日に忽然と姿を消した。 両親はそれから10年、息子の帰りを信じて全国を探し続ける。 そして2005年、定年を目前にした一人の老教授が、警察署を訪れた。 彼が差し出した二本の論文が、10年間閉ざされていた事件の扉を開く。 誠一郎はなぜ卒業証書を受け取れなかったのか。 講堂の奥に残されたガウンの意味とは――。

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