"嫁に奪われた最後の400万円" 第5話
「成瀬さんにはお世話になっています。それに今回の契約者は成瀬さんです。ご本の希望に従って続きをするだけです」
ホテル側の責任者も頷きました。
「全てキャンセル処理を済ませています。ただ、ご族にはまだ連絡しておりません」
私は静かに答えました。
「それでお願いします」
誰かを困らせるために、業務当なことを頼んだわけではありません。
私が契約し、私が支払った旅を、契約者として取り消しただけです。
会議の隅には、顧問弁護士の佐藤先もいました。
「成瀬さん、こちらも準備できています」
佐藤先が別の類をしました。
遺言の見直しです。
輔たちのLINEで見た言葉が、のに蘇りました。
《次は遺産狙いでいこう》
私は息子が将来困らないよう、これまで相応の財産を残すつもりでいました。
しかし、もうその必はありません。
「輔へ残す分は、能な限り見直してください」
佐藤先は慎に説しました。
「法律の権利関係がありますので、完全に好きな形へできるとは限りません。その点も踏まえて、法に問題がない範囲で最限ご希望に沿う形にします」
「お願いします」
「ご主の分はどうされますか?」
私はし黙りました。
空港で何も言わなかった広の横顔をいします。
夫は私を傷つけた側に積極に加わったわけではありません。
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しかし止めなかった。
それも事実です。
「広については、今すぐ結論をしません」
「分かりました」
佐藤先は頷きました。
「輔さんとの銭のやり取りについても、今は全て記録を残してください」
「ええ」
私はスマートフォンを取りしました。
空港での会話は録音してありました。
3から覚悟していたため、到着してから録音を始していたのです。
再すると、美の声が流れました。
《ヅルはもう用済みですから》
続いて輔。
《母さん、留守番しててよ》
佐藤先の表が厳しくなりました。
「これは保管しておきましょう」
「裁判をしたいわけではありません」
私は答えました。
「ただ、もう度と私のおを当たりのように使わせたくないんです」
それが本でした。
私は息子を破滅させたいわけではありません。
ただ、自分のには結果が伴うのだとってほしい。
私のは無限に引きせる預ではない。
そのことだけは理解してもらいたかったのです。
会議を終え、私は1でオフィスへ戻りました。
窓のには座の並みが広がっています。
28。
ここまで来るために、どれだけ歩いたでしょう。
何度断られ、何度をげたでしょう。
輔はらない。
美もらない。
私が渡してきたおの裏側には、それだけのがあるのです。
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「優しいことと、いことは違うのよ」
誰もいない部で、私はさく呟きました。
その頃、成田空港では輔たちが搭乗続きをめようとしていました。
から広に聞いた話では、4とも私がそのままへ帰ったとっていたそうです。
「母さん、とあっさりしてたな」
輔は笑っていたといいます。
美も肩をすくめました。
「ったってどうしようもないですからね」
4はチェックインカウンターへみました。
順番が来ると、輔が予約番号を提示しました。
「成瀬輔です。4名分お願いします」
職員が端末を操作します。
ところが数秒、表が変わりました。
「申し訳ございません。こちらの予約ですが、キャンセルとなっております」
「え?」
輔は聞き返しました。
「キャンセル? そんなことしてませんよ」
「確認いたします」
職員は再び画面を見ました。
「3に予約者様から変更のご連絡をいただき、本の最終確認をもって取り消しとなっております」
「予約者って誰ですか?」
美がを乗りしました。
職員は答えました。
「成瀬美佐子様です」
その瞬、輔と美は言葉を失いました。
「母さんが……?」
輔は慌ててスマートフォンを取りし、私へ話をかけました。
もちろんませんでした。
1回。
2回。
3回。
何度かけても、私は応答しません。
「なんでないんだよ」
輔の声に苛ちが混じり始めました。
美の母親がそうに尋ねました。
「どういうことなの? 美佐子さんがキャンセルしたって」
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