"嫁に奪われた最後の400万円" 第9話
「分かっています」
「美から、美佐子さんが仕事で旅へけなくなったから代わりに来てと言われて……」
そこで初めて、私は彼女も騙されていたことをりました。
「あなたまで巻き込んでしまって、ごめんなさい」
「私が決めたことですから」
「でも、娘がこんなことをするなんて……」
声が震えていました。
「し距を置こうといます」
私は彼女を責める気にはなれませんでした。
問題を作ったのは輔と美です。
広も、そのは輔の方をしなくなりました。
私がに別の所で暮らしている、広は何度も自分のを振り返ったようでした。
「俺は何もしてないとってた」
ある、夫は話で言いました。
「でも、何もしないことが輔たちを許してるのと同じだったんだな」
私は黙って聞きました。
「美佐子がずっと傷ついてたことも、気づいてた。気づいてたのに、面倒な話になるのが嫌で見ないふりをした」
その言葉は、空港で聞きたかったものではありません。
遅すぎました。
それでも、何も気づかないままでいるよりは良かった。
私は広へ言いました。
「私、これから自分のためにおを使いたい」
「そうしてくれ」
「旅にもきたい。仕事も、辞めたいに辞める」
「ああ」
「あなたが緒に来るかどうかは、これから考える」
広はさく笑いました。
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「選んでもらえるように努力するよ」
その言を聞いて、初めてしだけが軽くなりました。
旅の騒から1か。
私は広と緒にハワイの辺にっていました。
あの取り戻した旅資の部を使い、今度は自分が本当にきたかった所を選びました。
航空券も。
ホテルも。
事も。
全て私自が決めました。
誰かに「面倒くさい」と言われることもありません。
装について尋ねても馬鹿にされません。
そもそも、誰かに許を求める必さえありませんでした。
目のには青いが広がり、い砂浜へ穏やかな波が寄せています。
朝、ホテルの窓をけたには、あまりの美しさにしばらく声がませんでした。
「美佐子」
ビーチを歩いていると、広が私を呼びました。
「何?」
「あのは、本当にごめん」
私はを止めました。
夫の表には、以にはなかったい悔がありました。
「空港で、俺が言でも輔に言っていればよかった」
「そうね」
「君の横につべきだった」
「そうね」
私は無理に慰めませんでした。
広もそれを求めていないようでした。
「あんな息子にしたのは、俺にも責任がある」
「私にもあるわ」
広が驚いた顔をしました。
「輔が頼めば何でもしてきた。困るに助けて、失敗するにおを渡した」
私は波打ち際を見ました。
「のつもりだったけど、自分で責任を取る会を奪っていたのかもしれない」
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「美佐子だけのせいじゃない」
「分かってる」
私は笑いました。
以の私なら、全て自分の責任だとったでしょう。
でも今は違います。
私には私の違いがあった。
輔には輔の選択があった。
美にも。
広にも。
それぞれが自分で向きうべきことでした。
「これからは2のも切にしたい」
広が言いました。
私はすぐに「そうね」とは答えませんでした。
し考えてからをきました。
「まず私は、私のを切にする」
広は瞬驚き、それから笑いました。
「それでいい」
私たちはゆっくり歩きました。
をつなぐまでにはしがかかりました。
けれど夕方、元へ波が来た、広が差ししたを私は握りました。
以と同じ夫婦へ戻ったわけではありません。
度壊れた信頼は、何もなかったようには戻りません。
それでも、作り直すことはできるかもしれない。
夕がをに染め始めました。
「綺麗ね」
「ああ」
「400万円の旅より、ずっといわね」
そう言うと、広が苦笑しました。
「輔たち、どんな計算してたんだろうな」
私もわず笑いました。
久しぶりに、族のことを考えず笑えました。
スマートフォンには、輔から何度もメールが届いていました。
《母さん、本当にごめん》
《度会って話したい》
《もうのことは言わない》
私は返信していません。
許すかどうかを急ぐ必はないとっています。
親子だから、すぐ許さなければならない。
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