みかん小説
本棚

"「俺の子じゃない」と言った夫へ、99.999%の鑑定結果を見せた日" 第3話

しかし義母は、差しされたカップ麺の数々を腕でバッと激しく薙ぎ払った。 プラスチックの容器がに散らばり、乾いた音をてて転がる。

「こんなものがべられるわけないでしょ! くちゃんとしたご飯を作りなさい!」

に散乱するカップ麺を見つめながら、私はい疲労を覚えた。 ああ、めんどくさい。本当に何なのだ、このたちは。 ただ息子の妻であるというだけで、なぜここまで理尽に偉そうな態度を取られ、召使いのように扱われなければならないのだろうか。 すると、ソファーで寝転がっていたユカさんが、リモコンでチャンネルを変えながら呑気な声をげた。

「サツキさーん、私、お昼はカルボナーラべたいな」

またしても余計な注文をつけてくる義妹に、腹の底で苛ちが膨れがる。

「……あいにくスパゲッティのインスタントは買ってませんね。次までに用しておきます」 「違うわよ。作りに決まってるでしょ!」 「え、ユカさんが作ってくださるんですか? じゃあまずご自分で材料を買ってきてください」 「いや、だからサツキさんが作るのよ! 材料もあんたが買ってきて。ちなみに私はペペロンチーノがいいな」 「ペロンチーノ? 何それ。どこの国のですか?」 「ペ・ペ・ロ・ン・チー・ノ! 略しただけよ!」

スパゲッティの正式名称すらまともに言えないのか。

広告

このような性の欠片もない毛な押し問答が、延々とも続いた。 結局、私が頑としてエプロンを着けず、歩も台所にたない姿勢を崩さないのを見て取ると、は面倒になったのか、舌打ちをしながらに転がっていたカップ麺をしぶしぶ拾いげた。

く選べばいいものを、散々「こんなものべられない」と騒ぎてたくせに、いざお湯を注いでべ始めると、 「あら、この汁、と美しいわね」 「麺がモチモチしてるじゃない」 などと言いながら、ズズズと音をてて箸をめている。 なんなのだ、この救いようのない親子コンビは。

やれやれ、これでようやく腹を満たして静かになるだろう。 私は散乱した残りのカップ麺を棚に戻し、仕事部へと戻ってパソコンの画面に向きった。 止まっていた作業を再し、集力をめようとキーボードを叩き始めてから、およそ分。 そう、わずか分である。 わずかすら、の集を邪魔せずに黙っていられないが、この世には確かにするのだ。

「で、サツキさん。子供はまだなの?」

から掛けられたその無神経な声に、私のタイピングの音がピタリと止まった。 来た。いつもの、そして最も鬱陶しい質問だ。 肩越しに線をやると、先ほどまでべていたカレーうどんの汁をみ干した義母が、爪楊枝を片にシーシーと音をてながら、値踏みするようにこちらを眺めていた。

広告

番面倒くさい質問が、これだ。 私は画面から目をさず、を押し殺してく答えた。

「……うーん、まだですね」 「もう結婚してよ。そろそろ真剣に考えないと。男のってね、子供ができないと浮気にるって話、よく聞くしねぇ」

実の母親が息子の貞を平然とほのめかすなど、正気の汰とはえない。 浮気をするかどうかなんて、まれ育った環境と本の倫理観次第だろう。 まさかこの姑は、息子に対して『妻に子供ができないならで浮気してもいい』とでも教え込んできたのだろうか。 そんな胸糞の悪い考を巡らせながら、私が渋い顔をして押し黙っていると、横からユカさんがニヤニヤしながらを挟んできた。

「ああ、お兄ちゃんに限って浮気なんてしないでしょう。……『今は』だけどね」

わざわざ『今は』という言葉を調し、嘲笑うようなアクセントをつけるのが何とも湿で嫌ったらしい。

「女はね、子供を産んで初めてって言うじゃない?」

どのがそれを言うのか。 作業のを完全に止められ、と気力を削り取られていく苛ちが限界に達した私は、ゆっくりと子を回転させ、たい笑みを浮かべてユカさんを見据えた。

「そうですね。でも、子供どころか結婚すらしていなくて、定職にも就かずに親のにすがっているユカさんは、女として半のそのまた半分、分の……いえ、『半々女』ですね」

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: