"五輪を見なかったテレビ屋" 第6話
当、国の姿は今ほど常ではなかった。
が通り過ぎた、誰かが言った。
「国って、どんなところなんだろうな」
別のが笑った。
「本なんか、もう誰も来たがらないだろ」
周囲にはまだ戦争の傷跡が残っていた。
壊れた建物。
べ物を探す々。
帰るのない子どもたち。
しかし、1が言ったという。
「いつか本が、世界からを呼べるくらい元気になったらさ」
そこで文章がし乱れていた。
「その、5でもう度ここに集まろう」
浩は息を止めた。
所も決めていない。
にちも決めていない。
何なのかも分からない。
子どもたち自、本が本当にそこまで復興するとっていたのか分からなかった。
それでも5は約束した。
「そんなが来るまできよう」
父の字で、そうかれていた。
5のたちは、いつまでも緒にいられたわけではなかった。
帳の記録を追うと、ある期から1ずつ名が減っていった。
最初にいなくなったのは清だった。
「清が施設へった」
それだけかれていた。
良かったのか、寂しかったのか、信夫はいていない。
次に幸が方へ働きにったらしい。
「朝、幸がった」
「仕事があると言っていた」
「戻ってくると言った」
その、幸の名はほとんどてこなかった。
鉄は病気になった。
何の病気だったのかはかれていない。
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「鉄がまた」
「今は起きなかった」
そののページから、鉄の名も消えた。
最まで信夫と緒にいたのは正ちゃんだったらしい。
しかし、その正ちゃんとも別れるが来た。
「正ちゃんがくへく」
「所はまだ分からない」
「分かったららせると言った」
その翌の記録には、くこうあった。
「1になった」
浩はその4文字を何度も読んだ。
父は12歳で族を失った。
その、同じ境遇のたちを族代わりにしてきた。
そして、その族ともれれになった。
そのの信夫がどうやって現の活へたどり着いたのか、帳にはきな空があった。
働き始めた期。
気の仕事を覚えたきっかけ。
母と結婚した期。
を持つまでの経緯。
そうしたことは、別の資料からしずつ確かめるしかなかった。
ただ、5のたちについては、父がになってからも何度か探していた形跡があった。
箱のの封筒には、古い所をいたが何枚も残っていた。
施設名。
方の町名。
「転居先」と鉛でかれたもの。
「該当者なし」と記されたもの。
何も経ってから、信夫は4を探したのだろう。
しかし、再会できたことを示す記録はどこにもなかった。
浩は写真を机に置いた。
「5でもう度集まろう」
たちがそう約束したのは昭23だった。
その16。
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昭39。
京でオリンピックがかれた。
世界から選が来た。
国から勢の観客もやってきた。
たちが焼け跡の京で話した、
「本が世界からを呼べるくらい元気になる」
それが、本当に来た。
浩のので、昭391010の景が急に鮮になった。
先のテレビ。
集まった々。
国競技。
本選団。
歓声。
そして倉庫の父。
箱のに1で座っていた信夫。
浩はちがり、箱からもう度写真を取りした。
昭21、野。
痩せた5の。
父は京オリンピックを嫌っていたわけではなかった。
興がなかったわけでもない。
むしろ逆だった。
あのが来ることを、子どもの頃からどこかで待っていたのではないか。
5で交わした約束が、本当に現実になった。
だから見られなかった。
「父ちゃん……」
浩は誰もいない部で呟いた。
あの、自分は父に言った。
「オリンピックなんて、本当はどうでもいいんだろ」
父が瞬だけこちらを見た理由が、ようやく分かった気がした。
違う。
どうでもよかったのではない。
見たかったのだ。
誰よりも。
だが本当なら、5で見るはずだった。
空腹の夜を緒に越えた仲。
1つの芋を分けた仲。
寒ければ体を寄せった仲。
「そんなが来るまできよう」
そう約束した仲たち。
信夫は4がどこにいるのからなかった。
きているのかさえ分からなかった。
国競技に世界各国の選が入する映像を、自分1だけで歓声をげながら見ることができなかったのだ。
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