みかん小説
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"「貧乏な主婦は帰れ」と笑った銀行員――直後、支店長が私を見て凍りついた" 第7話

ですが――祖母が涯をかけて紡いできたの証を、あなたのその浅ましいで汚したことだけは、絶対に許しません」

美咲は端末の画面に線を落とし、止していた送シーケンスの再ボタンを静かにタップした。残りの資が、の速さでへと吸い込まれていく。

『送シーケンス完。総額200億円の資が正常に完しました』

画面に表示された酷な完を目にした瞬川は絶望のあまり目を剥き、魂が抜けたようにそのへ力なく崩れ落ちた。

わずか数分の百億円もの巨額預を流させ、同顧客を自らの傲さによって完全に喪失させた川には、即座に懲戒解雇の処分がされた。さらに側から巨額の損害賠償請求を起こされることとなり、彼が度と融業界にを踏み入れるは永に閉ざされた。なエリート識と差別に溺れた悪役が、自らの撒いた種によって完全に破滅した瞬だった。

吹き荒れた嵐のような騒り、広なロビーには再び静寂が戻っていた。

完全に識を失った川は、警備員と員たちによって引きずられるように奥の応接へと運びされていった。たいには、美咲が先ほど丁寧に拾いげた祖母の古い通帳だけが、静かに横たわっていた。

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美咲がふと線を窓のに向けると、激しく窓を叩いていたはいつのにかがり、の切れから、柔らかな午の陽が幾筋もへとり注いでいた。濡れたガラス窓に残る滴がそのを浴びて、まるで無数のさなダイヤモンドのようにキラキラと輝いている。

美咲は元にある通帳の、折れ曲がったページの端を、もう度指先でそっと撫でて伸ばした。胸の奥を満たしていたのは、悪を叩きのめしたことによる単純な爽だけではなかった。

「……それでも、信じたかったな」

誰にも届かないほどの微かな声で、美咲はポツリと呟いた。

祖母が何もの、汗流して働き、々の暮らしの切に、切に守り育ててきたお。それを預かり、守るという所には、かつてはもっと温かい、との血の通った信頼関係がしていたはずだった。

代の急激な変化とともに、効率や利益、画面の数字と肩きばかりが至命題とされ、かつてそこにあったはずの温もりが失われていくことへの、言葉にならない切なさと愁が、美咲の胸を静かに締め付けた。

「池田先……本当に、なんとお詫びを申しげればよいか……」

隣で直の姿勢を保ち、々とげ続ける支藤に、美咲は穏やかで柔らかな微笑みを向けた。

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「いいえ、藤さん。あなたを困らせるつもりはなかったのです。ただ……しだけ、しかったものですから」

美咲はそう言うと、元の端末を操作し、へと送した百億円のから、祖母の遺産に相当する額だけを、再びこの桜町支座へと戻す続きを瞬に完させた。

「せ、先……これは……!?」

驚愕のあまり目を見張る藤に、美咲は慈に満ちた声で語りかけた。

「祖母がし、信頼したこの所の、最の温もりを……私はまだ信じていたいのです。藤さん、これからはどうか、ただの数字のだけでなく、その向こう側にあるひとりの切ないを、しっかりと守っていってくださいね」

藤の目から、粒の涙がポロポロと溢れ落ち、を濡らした。

「はい……! 命に代えましても、必ずやその教えを守り抜きます……! 本当に、ありがとうございました……!」

何度も、何度も々とげ続ける藤の姿を背に受けながら、美咲は静かに歩きした。

な自ドアがくと、がりの澄んだが、美咲の頬を優しく撫でて通り抜けた。湿ったアスファルトからる独特のの匂いが、幼い頃に祖母とを繋いで歩いた記憶を呼び起こし、胸の奥くまでじんわりと染み渡っていく。

は、見のなりや肩き、表面な属性だけで推し量れるほど、単純なではない。

どんなに目たないであっても、誰もが目には見えないかけがえのないの物語を紡ぎ、胸の内に秘めた誇りを抱いてきているのだ。

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