"三度目の金色の玉" 第2話
次の瞬だった。
カラン、カラン、カラン。
森田がきく鐘を鳴らした。
「等!」
声が商に響いた。
「等です! おめでとうございます!」
周囲にいた子どもたちが歓声をげた。
買い物途の主婦たちもを止め、拍が広がっていった。
千代は目を丸くしていた。
今の等、品の婦用自転が福引所の横へ運ばれてくる。
3連続。
誰かが言った。
「すごいねえ、林さん」
別の誰かも笑った。
「こんなことあるんだね」
千代は何度もをげた。
「ありがとうございます。こんなに続くなんて……」
その表は照れたようでもあり、し困っているようにも見えた。
俊夫も最初は拍をしていた。
だが、やがてそのが止まった。
隣の肉の主も、今度は笑っていなかった。
だかりのろから声が聞こえた。
「あの、また?」
続いて別の声がした。
「さすがにおかしくない?」
「も等だったでしょう」
それはまださな囁きだった。
千代のに届いたかどうかも分からない。
しかし俊夫の胸には、その言葉が残った。
3続けて等。
本当に、そんな偶然があるのだろうか。
福引所では森田がまだ鐘を鳴らしていた。
その音を聞きながら、俊夫はの玉をじっと見つめていた。
千代が3連続で等を当てた話は、そののうちに商全体へ広がった。
夕方になる頃には、福引会を見ていなかった主までっていた。
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「また林さんだって?」
「今度は自転らしいよ」
「3連続か」
最初のうちは、珍しい幸運を面がる声の方がかった。
ところが数もすると、話の調子が変わり始めた。
「本当に偶然なのかな」
「いくら何でも3はおかしいだろう」
「あの福引、最初から当たるが決まってるんじゃないのか」
そんな噂が、先から先へ伝わっていった。
誰かが確かな証拠を持っているわけではなかった。
千代が係の者と特別親しいわけでもない。抽選器は勢の客のに置かれ、毎何、何百という客が回している。
それでも、は度疑い始めると、さなことまで自然に見えてくる。
「そういえば森田会、林さんが来ると自分で係をやってなかったか」
「言われてみればそうかもしれない」
「も会が鐘を鳴らしていたな」
い返せば何でも疑わしくじられた。
そのでも特に納得できなかったのが、百の俊夫だった。
俊夫のは父親の代からこの商で百を続けている。歳末福引が始まれば、各が売りげや規模に応じてしずつ費用を負担することもっていた。
自転も、気毛布も、醤油も砂糖も、どこからか無料でもらってくるものではない。
商の主たちがをしって用している。
自分たちが負担したで買った景品を、もし会が勝に特定の物へ渡しているのだとしたら、それは単なる話では済まない。
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福引を楽しみに券を集めた客にも失礼だと俊夫はった。
ただ、昭53の点では証拠がなかった。
千代がの玉をしたのは、皆が見ていた。
抽選器のへを入れた者はいないように見えた。
森田を問い詰めようにも、「3続いたから怪しい」というだけでは話にならない。
俊夫は黙ったまま、翌を待った。
そして昭54の暮れがづいた。
商では、また歳末売しの準備が始まった。
主たちは寄りいで景品を決め、ポスターを貼り、福引券を各舗へ配った。毎繰り返してきた作業だけに、皆のきは慣れていた。
森田も例通り、福引所の準備をしていた。
抽選器を倉庫から運びし、古い布で表面を拭く。に入れる玉を確認し、ごとに数をそろえていった。
俊夫はその様子を、しれた所から見ていた。
自分でも、こんなことをしていいのかという迷いはあった。
商をまとめてきた森田は、俊夫にとって子どもの頃からっているだった。祭りのには先にち、同士が揉めればへ入るようなだった。
父親も森田を信頼していた。
だからこそ、正などしてほしくなかった。
もし何もなければ、それでいい。
3連続は本当に偶然だったのだと、自分自が納得できる。
俊夫はそういながら、準備を続ける森田を見ていた。
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