"三度目の金色の玉" 第5話
が分からないでもなかった。
ただ、自分が「助けてもらう」になることを嫌っていた。
夫のことで誰かに同され、その同をや物に変えて受け取ることが、千代にはできなかった。
「どうしたらいいんだろうな」
ある夜、森田たちは集まった。
信夫へ恩を返したい。
けれど妻のも傷つけたくない。
正面から渡せば必ず返される。
そこで、誰かが福引の話をした。
歳末売しがづいていた。
「福引ならどうだ」
最初、皆はが分からなかった。
「何が?」
「当たったことにするんだよ」
部が静かになった。
「千代さんが来ただけ、等を入れる」
「そんなことしていいのか」
「でも、当たった景品なら返しにくいだろ」
「が恵んだんじゃない。自分で引き当てたことになる」
森田もすぐには賛成しなかった。
福引は本来、誰にでも公平でなければならない。
等の玉を図に入れるなど、正と言われても仕方がない。
それでも皆のには、千代の姿が浮かんでいた。
朝から働き、息子を育て、米1袋さえ無料では受け取らない。
信夫が残した族へ何かしてやりたい。
しかし本の誇りは傷つけたくない。
い話しいの末、森田たちは1度だけやることにした。
昭51。
そのの等は気炊飯器だった。
千代が福引券を持って現れた、森田は誰にも分からないようにの玉を抽選器へ入れた。
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千代は何もらずに取っを回した。
ガラガラ。
そして落ちたの玉を見て、本当に驚いた。
「えっ」
森田は鐘を鳴らした。
「等!」
千代は何度も自分の元との玉を見比べた。
「私が?」
「そうだよ。林さん、おめでとう」
周囲から拍が起きた。
千代は嬉しそうだった。
その顔を見た瞬、森田は胸の奥がしくなった。
から恵んでもらったものではない。
自分が福引で当てたもの。
そうっているからこそ、千代は素直に受け取ることができた。
炊飯器を抱えて帰っていくろ姿を見送りながら、森田たちは何も言わなかった。
それで終わるはずだった。
度きりのつもりだった。
ところが翌の暮れがづいた、誰かが言った。
「今もやらないか」
森田は迷った。
だが千代の暮らしが楽になったわけではなかった。
息子は成していた。
必なも増えていた。
そして昭52の等は、油ストーブだった。
そのも森田は、千代が福引所へ来ただけ、の玉を抽選器へ入れた。
ただし、今度はと違っていた。
森田は気づいていなかった。
抽選器へ玉を入れる、その瞬ののきを、千代が見ていた。
昭52の。
千代は福引券を数枚持って会へやって来た。
そのは例よりえ込みが厳しく、福引所のストーブの周りには、順番を待つたちが自然に集まっていた。
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森田はと同じように係をしていた。
千代の姿が見えると、さりげなく抽選器へづいた。
誰にも気づかれないつもりだった。
だが千代は見ていた。
森田のが瞬、着のポケットへ入った。
そして抽選器のへ回った、何かをへ入れた。
ほんのわずかなきだった。
周囲では子どもが騒ぎ、主たちも別の客の対応をしていた。
普通なら見落とす程度のことだった。
千代も、その点では何を入れたのか分からなかった。
自分の順番が来た。
福引券を渡す。
森田が言った。
「林さん、今も何か当てていきなよ」
「そんなに毎当たりませんよ」
千代は笑いながら取っを握った。
ガラガラ。
抽選器ので玉が転がる音がした。
取っを戻す。
コロン。
受け皿へ転がった玉は、まただった。
カラン、カラン、カラン。
鐘が鳴った。
「等!」
周囲から歓声ががった。
等は油ストーブ。
は炊飯器。
今はストーブ。
2続けて等を引いた女として、千代はそので勢から声をかけられた。
「すごいねえ」
「運がいいよ」
「来は宝くじだね」
千代も笑っていた。
けれど胸のでは、さきほど見た森田のきがれなかった。
へ帰り、届けてもらったしいストーブを見ても、びだけでは済まなかった。
の炊飯器も、本当に偶然だったのだろうか。
今、森田が抽選器へ何かを入れた直に等がた。
考えれば考えるほど、答えは1つしかないようにえた。
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