みかん小説
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"不在着信93件の朝" 第4話

その残酷なコントラストが、みつ子の胸を鋭利なガラス片のように切り裂いた。

さらにが過ぎ、支援が目に入った頃、息子夫婦の求はさらに図々しくエスカレートしていった。

あるの夕暮れ、台所で本数円のもやしと豆腐を使った質素な夕を作っていたみつ子の携帯話が鳴った。画面には「志」と表示されていた。

『もしもし、母さん? 俺さ、今乗ってる、そろそろ検なんだけどさ。同僚もみんなに乗ってるし、ドイツのSUVに買い替えたいんだよね。として万くらい、サクッと振り込んどいてくれない?』

受話器の向こうから聞こえる息子の声には、親に借を頼むような慮や申し訳なさは微もなかった。まるで自分の座から預を引きすかのような、軽で尊な響きだった。

みつ子は包丁を握るを止め、震える声で訴えた。

志……あなた、何を言っているの? 私たちが毎どれだけ切り詰めて、あなたたちの宅ローン万円を払っているか分かっているの? 私たちの万円しかないのよ? 元にいくら残るか、度でも計算したことがあるの?」

すると志は、苛ちをわにして鳴り返してきた。

『はあ!? なんだよ説教かよ! 母さんたち、退職の残りがまだあるだろ! 俺は岡崎息子なんだぞ? 将来俺たちに面倒見てもらうつもりなら、それくらいの初期投資、親として当然だろ! 親の義務を果たせよ!』

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ガチャン、とに通話が切られた。

ツーツーという無質な子音を聞きながら、みつ子は台所のに崩れ落ちそうになった。

(この子は……いつからこんなになってしまったのだろう。私たちがを削って施してきた援助は、この子のをここまで腐らせてしまったのか)

しかし、そのかったみつ子は、「息子に見捨てられたらどうしよう」「族の絆を壊したくない」という恐怖に負け、なけなしの定期預を解約し、万円を用てて振り込んでしまった。

その、息子から届いたのは「入ってたわ」という素っ気ないメッセージ通のみ。謝の言葉など、最初から期待するだけ無駄だった。

彼らにとって、親のと資産は、いつでも無条件で引きせる便利な私財産へと成りがっていたのである。

記帳を終え、残の桁が確実に減っていくの通帳を見つめるみつ子の横で、正が静かに、しかし固い決を込めて言った。

「みつ子、もうやめよう。これ以あいつらにを渡すのは、親切じゃない。あいつらを完全にダメにしているだけだ」

痛な叫びを聞きながら、みつ子はただ涙を流すことしかできなかった。

目の志と里のまれた男――みつ子たちにとっての初孫の歳の誕会がかれることになった。

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みつ子と正は、何週からデパートの子供売りや玩具売りに何度もを運び、孫のさな体にう肌触りの良い質なと、育玩具をを込めて選んだ。自分たちのは買えなくても、孫のためならと、なけなしの活費から捻したプレゼントだった。

丁寧なリボンがかけられた包みを抱え、れやかな気持ちで息子夫婦のを訪れた。

インターホンを鳴らし、かれたドアのに現れた里は、を見るなり歓迎どころか、ゴミを見るような淡な差しを向けてきた。

「お母さん、今、私の両親も来てるんですよ。うちのお父さん、会社役員だから忙しいを縫って来てくれたんです。リビングの席も狭くなるし、あまり居しないでくださいね」

玄関のタタキにち尽くしたまま、みつ子は臓を直接鷲掴みにされたような衝撃を覚えた。

「あ……そうなのね。じゃあ、このお誕プレゼントだけ、あの子に渡したくて……」

みつ子が差ししたプレゼントの箱を、里はを見ようともせず、無造作に片で受け取って玄関の靴箱のに放りした。

「あ、それから次回からは、来るにちゃんと連絡して許取ってくださいね。アポなしで来られると、うちの両親にも気を使わせますから」

け放たれたリビングの扉の奥からは、楽しげな笑い声とシャンパングラスの触れう華やかな音が響いていた。

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