みかん小説
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"不在着信93件の朝" 第5話

里の両親は仕ての良いスーツと優雅なドレスをにまとい、テーブルに並んだ級ケータリングのローストビーフや寿司を囲んでいた。そして息子の志は、義理の父親に媚びるような満面の笑みを浮かべ、級ワインを恭しく注いでいた。

方、その豪邸の建築資し、毎の莫なローンを肩代わりし続けている実の親であるみつ子と正は、玄関のに放置され、靴を脱ぐことすら許されない。

(毎万円……万円を払い続けている私たちが、どうして孫の顔を目見ることすら許されず、棒のように追いされなければならないの……?)

条理と屈辱で、みつ子の界が涙で激しく歪んだ。

「……失礼します」

がみつ子のを引き、は逃げるようにして息子宅のい扉をにした。

帰りの、正はハンドルを握りしめたまま、方のを睨みつけていた。その横顔は、これまでので見たことがないほど激しいりと、い絶望に染まっていた。

「みつ子……もう限界だ。俺たちは、あいつらの親じゃない。ただの便利なATMだ」

の絞りすような声に、みつ子はハンカチで元を押さえ、ただ声を殺して泣き続けた。

そして迎えた目の正。決定な破滅の引きとなる事件が起きた。

親族同が本の座敷に集まり、の挨拶を交わす席でのことだった。

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座敷には親戚同が揃い、やかな歓談の声が響いていた。

酒が入り、嫌になった里が、突如として周囲の親戚全員に聞こえるような通るい声で、わざとらしく笑いながらいた。

「ねえ、聞いてくださいよ伯母さん! うちのお義母さんったら、顔をわせるたびに『りない』だの『活が苦しい』だの、愚痴ばっかり言ってくるんですよ〜! でもそれって、全部ご自分たちが好き好んでやってることじゃないですか? 私たち、度も頼んでないのに!」

座敷の空気が、瞬にして凍りついた。

親戚たちの箸が止まり、気まずそうな線が斉にみつ子と正に集まる。

志もまた、ビールグラスを傾けながら、妻の言葉を制するどころか、緒になって品な嘲笑を浮かべた。

「そうそう! 頼んでもないのに勝して、恩着せがましく被害者面するんだから敵わないよな! 嫌ならやめればいいのにさ。先ばっかりは達者なんだよ、うちの寄りは!」

親戚たちは誰も助け舟をせず、居悪そうに目を泳がせ、曖昧な笑いを浮かべて沈黙した。

百万円。 毎万円のローン肩代わりを、計千万円。 の購入援助万円。 計で千万円を、老の命を削って注ぎ込んできた結果が、親族のでの「誰も頼んでない」

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「嫌ならやめればいい」という公処刑のような侮辱だった。

みつ子は畳に線を落とし、膝ので握りしめた拳を震わせた。恥ずかしさと、激しいりと、けなさで、血の気が引いていくのが分かった。

その、隣に座っていた正が、みつ子の震えるから力く、骨がきしむほどく握りしめた。夫のく、そしてりで直していた。

みつ子の脳裏を、この獄のような々が馬灯のように駆け巡った。

見切り品のシールを待ってスーパーを彷徨った夕暮れ。 友の誘いを嘘をついて断り続けた惨めさ。 擦り切れたに針を通して繕った夜。 真の猛暑を扇台で耐え忍んだ苦痛。 真の底えに震えながら分けった杯の温かいお茶。

その血と汗のすべてが、息子の「嫌ならやめればいい」という言で、ゴミのように踏みにじられたのだ。

(私ので、何かが完全に音をててんだ)

その瞬、みつ子のから、息子に対する母親としての、執着、れみのすべてが、完全に消え失せた。

の集まりから数が経過した、たいる夜のことだった。

息子の志と里が、みつ子たちのむ実へ突然姿を現した。用件はだった。の挨拶でも、頃の謝を伝えるためでもない。産の菓子折りすら持たず、のついた靴を玄関に脱ぎ散らかし、の効いた居へとが物顔でがり込んできた。

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