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"不在着信93件の朝" 第10話

夕暮れ呂から茜に染まる箱根のを眺めながら、正が湯煙ので静かに呟いた。

「あれほど『嫌ならやめてみろ』と嘲笑っていたが、いざ梯子をされた途端にこれだ。れだな」

「ええ。自分たちで蒔いた種ですもの。すべて自分で刈り取ってもらいましょう」

スマートフォンの着信ランプは、夜になっても狂ったように点滅を繰り返していた。

着信件突破。

夕方着信件突破。

着信件突破。

そして翌朝、みつ子が画面のログを確認した、そこに刻まれていた最終着信数は――実に

に達していた。

だが、みつ子がその番号を押し返し、慈を与えることは、ただの度たりともなかった。

方、その頃のみつ子たちの実から数キロれた角――息子夫婦の自宅では、まさにこの世の獄絵図が繰り広げられていた。

リビングのには、弁護士と、そして保証会社から送られてきた赤字の警告文や、封された内容証郵便の束が無残に散乱している。デザイナーズテーブルのには、昨夜から放置されたみかけのグラスが倒れ、絨毯にきな染みを作っていたが、そんなことを気にする余裕などには微も残されていなかった。

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「どうすんのよ志さん! く何とかしなさいよ!!」

里はかつて入れのき届いていた巻き髪を乱暴に振り乱し、化粧の崩れた顔を涙と脂汗で濡らしながら、にへたり込んでヒステリックに絶叫していた。

「今のローン万円だけじゃないじゃない! 連帯保証れたことで、から残債百万円の括返済を求められてるのよ!? なんで!? どうしてこんなことになるのよ!?」

志はを両で抱え込み、青い顔をして爪を噛みながら、リビングを霊のようにきつ戻りつしていた。

「俺に言われたって分かるわけないだろ! 母さんが……あの母さんが本当に支払いを止めるなんて……! 弁護士までてて、完璧に続きを済ませてやがったんだ……!」

「『支払いく止めてみたらどうですか』なんて、ちょっとした軽じゃない! 嫁姑のありふれたジョークじゃないの! なんでそれを真に受けて親が息子夫婦を破滅させようとするのよ!? 親なら何があっても子どもの活を守るのが義務でしょ!? 鬼よ、あのたち完全に狂ってるわ!」

里は自分の吐いた猛毒のような言葉を棚にげ、狂気じみた形相で叫び散らす。

「あんたの料いくらよ!? 取り万でしょ!? そこから万払ったら、残り万円でどうやって暮らすの!? 私のハイブランドのローンだって、来のカードの引き落としだってあるのよ! この放すなんて絶対に嫌! ママ友に笑われる! 恥ずかしくてんじゃうわ!!」

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「うるさい! 俺だってどうすりゃいいか分かんねえよ! 俺の会社にまでから連絡が来たら、世コースから完全にれちまうんだぞ!」

かつて親を嘲笑い、自らの虚栄を満たすためだけに買い揃えた具、最型の巨テレビ、舶来の照器具。そのすべてが、今やを容赦なく圧殺する巨な負債の塊となって酷にを放っていた。

「親戚……そうだ、親戚の誰かに母さんの居所を聞きそう!」

志は血った目でスマートフォンを握りしめ、親戚当たり次第に話をかけまくった。平の昼夜を問わず泣きつき、恥も聞もなくを無し、両親の方を嗅ぎ回った。

だが、親戚同の反応は極めて淡だった。正の席で、志と里が親族のでみつ子たちを公然と嘲笑い、「頼んでもないのに勝を払っている」「嫌ならやめればいい」と言い放った醜態を、全員が鮮に記憶していたからだ。

志くん、あんた正のみつ子さんたちの顔を覚えてないの? 自分であれだけ啖呵を切っておいて、今さら泣きつくなんて虫が良すぎるよ』 『みつ子さんたちはね、もうあんたたちに分すぎるほど尽くしたよ。自分たちのケツは自分で拭きなさい』

たく話を切られ続け、ようやく里の縁の伝から「箱根の老舗旅館にいるらしい」

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