みかん小説
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"不在着信93件の朝" 第11話

という報を掴んだのは、通が届いてから目の夕方だった。

は着の着のままび乗り、速を狂ったようにばして箱根へと向かった。

翌朝、午

箱根のを望む老舗旅館の厳かなロビーに、の闖入者が転がり込んできた。

で目のに濃い隈を作り、髪はボサボサ、もシワだらけの志と里。級旅館の洗練された静寂ので、の異様な姿は完全に浮きがっていた。

朝の散策を終え、ロビーの階段を静かにりてきたみつ子と正の姿を認めるなり、里は喉から引き裂かれたような鳴をげて駆け寄った。

「お母様――ッ!!」

周囲の宿泊客や仲居たちが驚いて振り返る里はみつ子の元に体投のようにを投げした。磨きげられた絨毯に額を激しく擦り付け、ボロボロと粒の涙を流しながら叫ぶ。

「お母様、お願いです……! ローンの支払いを、どうか元に戻してください……! 保証に戻ってください! 私たちが違っていました! 私のが軽かったんです、本当にごめんなさい……!!」

志もまた、かつての尊さなど見るもなく、膝を折ってをつき、額をに押し当てて号泣した。

「母さん! 父さん! 頼む、助けてくれ! 俺が悪かった! 調子に乗って調子のいいことばかり言って……親のありがたみを全然分かってなかった! 括返済なんてできない、このままじゃ俺たちに迷っちまうんだよ! お願いだから、もう度だけチャンスをくれ!!」

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ロビーに響き渡る息子夫婦の絶叫と座。

かつてなら、取り乱す息子の姿に胸を痛め、慌てて抱き起こして許してしまっていたかもしれない。だが今、みつ子のには、波たない静寂が広がっていた。

みつ子は元で額を擦り付けるから静かにを引き、汚れを見るようなこともなく、ただ絶対零度の声で静かに問いかけた。

里さん。顔をげなさい」

里がをすすり、涙に塗れた浅ましい顔を恐る恐るげる。

「覚えていますか? あの夜、リビングであなたが私に言った言葉を」

「そ、それは……」

「『お母さん、いつも変って言ってますけど、そんなに嫌なら支払いく止めてみたらどうですか』……そして志、あなたは『やめてみろよ、どうせできないくせに』と笑いましたね」

みつ子の澄んだ声が、静かなロビーに凛と響く。

「私はね、あなたたちに言われた通りにしただけです。何か違ったことをしましたか?」

「あ、あれは冗談です……! ちょっとした言葉の綾で、本気で言ったわけじゃ……!」

里の必の言い訳を、みつ子は研ぎ澄まされた刃のような言で真っ向から切り捨てた。

冗談?

百万円、毎万円をで千万円、万円……計千万円もの、私たちの命を削ったおを貪りっておきながら、親を『寄虫』『老きがいを与えてやってる』と侮辱したことが、すべて『冗談』の言で許されるとっているのですか?」

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里は息を呑み、喉を詰まらせて言葉を失った。

志がいずり、みつ子の靴の裾にを伸ばそうとする。

「母さん! 親だろ!? 親が子どもを見捨てるのかよ!? 孫の顔だって見たくないのか!?」

て、その伸びたたく払いのけた。

志、どので孫のことを言うんだ。孫の誕に、俺たちを玄関のたせて追いしたのは誰だ? 『所を取るから来るな』『だ』と切り捨てたのはおたちだぞ」

の静かな、しかしの底から響くような声に、志はビクッと体を震わせて縮こまった。

「俺たちはな、おたちにとってただの都のいいづるだったんだ。を払っているだけ親面を許され、しでも苦しみを訴えればゴミのように嘲笑う。そんな関係のどこに『族』がある? どこに『親子の絆』があるんだ?」

「父さん……っ、俺が悪かった……本当に反省してるから……!」

「反省ではない。おたちはただ、づるを失って自分たちの贅沢な活がかなくなったことに狼狽えているだけだ。おたちの涙は、俺たちへの謝罪ではなく、自分たちへの自己憐憫の涙だ」

徹な指摘に、志は完全に言葉を失い、をパクパクとかすことしかできなかった。

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