みかん小説
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"4時20分で止まった遺品" 第7話

い引き戸をけると、畳の居では苗が、具のほとんど入っていないめた噌汁を鍋で温め直していた。恵の姿はなかった。

ちゃぶ台のには、恵がアルバイトで着ているコンビニエンスストアの青い制と、枚の振込用が置かれていた。 私学の期授業料納付通

『納付期限:

恵の几帳面な跡で、その付の周りに赤いボールペンでの丸印がつけられていた。 苗はその用に取り、じっと見つめていたが、やがて何も言わずに元の位置へと伏せて置いた。そして、夜のアルバイトを終えて疲れた取りで帰ってきた娘に、何も追及することなく、温め直した噌汁の椀をそっと差しした。

は無にも通り過ぎていった。 納付期限の切れた振込用は、つ折りに畳まれ、恵の勉机の番奥の引きしへと、静かにしまわれた。 恵は、格した学への入学を正式に辞退した。

浩司は、襖の隙からその様子をただ見守ることしかできなかった。 その夜、浩司は暗い部の隅で、父の形見の腕計をのひらに乗せた。止まったままの針は、相変わらず分を指していた。

「……あの倉庫だけでも、売ってみましょうか」

苗が、浩司の隣に静かに腰をろして言った。

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に、たい沈黙が流れた。

「お義父様は……あなたのことをしていなかったわけじゃないとうの」

浩司は、のひらの計を握りしめた。

が終わったら、理するよ。売るにしても、壊すにしても……父さんを最までちゃんと見送ってから決めたいんだ」

そうして、父のの法が訪れた。

浩司と苗、恵のは、朝から分けして作った煮物やえ物を箱に詰め、喪を包んで父のんでいたへと向かった。 しかし、敷のに到着した彼らの目にび込んできたのは、トランクをけ放った裕級セダンと、そこにきな旅鞄を次々と積み込んでいる裕と美咲の姿だった。

美咲はリゾートくような広いつばの子をかぶり、サングラスを胸元にかけていた。浩司たちが持ってきた呂敷包みの箱を見るなり、彼女はをつまんでで払う仕をした。

「ちょっと、そんなものここに置かないでちょうだい! に匂いが移るじゃないの!」

「兄さん、今はお父さんのだぞ」浩司は荷物を積み込む裕の背に声をかけた。「お寺さんはどうしたんだ? 遺とお位牌だけでも汁てくれれば、俺たちだけで供養するから」

は旅鞄のジッパーを最まで引き、乱暴にトランクを閉めた。

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「位牌の供養なんざ、俺がそのうち適当にやるよ」

「兄さんは今からかけるじゃないか!」

「だから何だってんだよ?」裕は運転席のドアにをかけ、浩司をたく見ろした。「俺ので法事をするかしないかは、このの主である俺が決めることだ。部者が指図するな」

美咲もサングラスを額に押しげながら、嘲笑混じりにを挟んだ。

「遺産ももらえなかった貧乏が、今さら親孝のフリなんてしないでくださいよ。惨めったらしい」

浩司は、閉ざされた敷の窓を見つめた。父の遺があるはずの仏戸は固く閉ざされ、玄関の鍵穴にはすでに鍵が差し込まれ、施錠されていた。

「……じゃあ、せめてこの料理だけでも、仏にお供えさせてくれないか」

「嫌よ」美咲が即座に言い捨てた。「私たちが旅で留守にしてるに腐ったらどうするのよ? 虫が湧いたら誰が掃除するの? さっさと持って帰ってちょうだい!」

が運転席に乗り込み、窓を半分だけけた。

の鍵も閉めるから、さっさと敷からていけ」

エンジンが唸りをげ、砂利を蹴散らしてった。 浩司の族は、え切った箱を抱えたまま、閉ざされたち尽くした。父の遺は頑丈な壁の向こうに閉じ込められ、父のために作った料理は、たいに置きりにされたのだった。

浩司はしばらくの、閉ざされた玄関を見つめていたが、やがて箱をしっかりと抱え直し、踵を返した。

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