みかん小説
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"4時20分で止まった遺品" 第13話

欠落している番号は、枚たりともしなかった。 作業が完し、福帳を閉じた鑑定士が鏡をしてく息を吐いた。

「これほど完璧な形で、にわたる購入履歴と所が完全に証されている貴属の保管例は、私の鑑定でも初めてです。本で換算いたしますと……総額は、

千万円

に達します」

百億円を超える文学な数字。 しかし、その額を聞いた瞬、浩司の脳裏に浮かんだのは豪遊のなどではなかった。 事現でセメント袋を落としたの腰の激痛、恵が着ていたコンビニエンスストアの制、そして入学を諦めて引きしの奥にしまわれた、赤い丸印のついた授業料の請求だった。

浩司は弁護士と税理士の指導のもと、円の狂いもなく相続税の申告続きをめた。 塊は警備会社の厳な特殊保管庫へと移送され、適正な納税のための準備がえられた。父がかけて残してくれた清らかな記録を、浩司は自らので汚すつもりは毛なかった。

すべての申告続きに目処がついたの夕暮れ、浩司は再び倉庫を訪れた。 塊と類が搬されたの隠し部の鉄扉を静かに閉め、削り落とした壁のモルタル部分に、ホームセンターで買ってきたのペンキを丁寧に塗り直した。

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剥がした枯れ蔦を再び偽装として壁のに垂らし、あのい樫のの作業台を元の位置へと押し戻した。

ガタツ、と作業台が壁に密着し、鉄の扉は完全に界から消えった。 倉庫は、再びただの寂れたガラクタ置きへと戻った。

浩司が京錠を閉めたそのの向こうから台の軽自がゆっくりとづいてきた。 叔母の文子のだった。

は倉庫ので速度を落とし、しく塗り直された壁、面に残る特殊警備会社の両のタイヤ痕、そして浩司がに持っている弁護士事務所の分い封筒を、品定めするようにじっと見つめた。 浩司は会釈をしなかった。文子もからりることはなく、そのままらせてっていった。

その夜から、文子は旅先にある裕のスマートフォンへと、狂ったように話とメッセージを送り続けることになった。

その頃、武田裕と美咲は、の法を放棄してかけた沖縄の級リゾートホテルに滞していた。 煩わしい親戚付きいやの用事から逃れるため、裕は仕事用の携帯話の源を完全に切り、美咲も親族グループのSNS通をオフにしていた。

のバカンスを終えて羽田空港にち、裕がスマートフォンの源を入れたのは、帰国直の到着ロビーでのことだった。

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ピピピピピピッ、とけたたましい通音が鳴り響き、画面が激しく滅した。 着信、件。 未読メッセージ、件。

「ちょっと、何よその話の嵐……」

美咲が眉をひそめて覗き込む、裕は最もしい文子の留守番話を再した。 空港の喧騒を切り裂いて、文子の焦燥しきった切り声がスピーカーから漏れした。

『裕話にてくれ! 浩司があのボロ倉庫で何かとんでもないものを見つけたらしいんだ! 黒い特殊警備台も来て、スーツの男たちが何かを運びしたんだよ! 壁も塗り直してある! く戻ってきなさい!』

が止まり、引いていた型スーツケースが元に倒れた。 さらに、文子のメッセージのには、メインバンクの融資担当者からの緊急メッセージが何件も並んでいた。

発する直、裕は相続した父の広な農を担保に入れ、から千万円の融資を引きし、から持ちかけられた方の規模太陽事業に全額を資していたのだ。 しかし、メッセージにはこう記されていた。

資先の法の代表と連絡が取れなくなりました。事務所も引き払われており、至急ご来ください』

相続した農を担保にした千万円の投資詐欺。 そして、自分が「ゴミだ」と切り捨てた倉庫から、浩司が何かを持ちしたというらせ。

つの相反する現実が、裕のスマートフォンの画面の酷に交差していた。

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