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"4時20分で止まった遺品" 第14話

の午、裕級セダンが、唸りをげて倉庫のぬかるみに滑り込んできた。 からりてきた裕と美咲の顔には、沖縄での焼けの跡を覆い隠すほどの青ざめた焦燥が張り付いていた。

倉庫の引き戸が乱暴にけ放たれた。 では、浩司が父の遺品である古い具類を、箱に静かに理しているところだった。

「浩司! ここから何を運びしたんだ!?」

は挨拶もなしに鳴り散らしながら、倉庫のへと踏み込んできた。 浩司はにしていたドライバーを箱に置き、がった。

「父さんの遺品だよ」

「遺品だと!? 嘘をつけ! 警備会社のを呼んで運びすような遺品がどこにある! 隠さずに全部吐け!」

美咲が浩司のに詰め寄り、かつて父のの玄関でやったのとまったく同じように、傲を突きした。

「倉庫の鍵を渡しなさい! 男であるうちの主が、この所のすべての権利を管理するのが筋でしょう!」

浩司はその突きされたを見つめた。 、父の敷で鍵を求されたは、浩司はその通りに鍵を座卓のに置いた。 しかし今、浩司は作業着のポケットに両を入れたまま、歩もかなかった。

「この倉庫との物品は、遺言に従って父さんが私に譲ってくれたものです」

美咲のが宙に浮いたまま、りでわなわなと震え、やがて力なくろされた。

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その隙に、裕は倉庫の奥、側の壁へと直線に向かった。

しく塗られたのペンキ。偽装のために垂らされた枯れ蔦。 裕が蔦を力任せに引きむしると、根のない蔦がバラバラとに落ちた。

「おい……なんでここだけペンキがしいんだ?」

浩司は答えなかった。 裕は樫の作業台にをかけ、狂ったような力でそれを横へと押しやった。ズザザッと脚が擦れる音が響き、奥からモルタルで固められた鉄扉の枠がわになった。 裕に転がっていたノミを拾いげ、扉の隙に力任せに突き刺して体をかけた。

「兄さん、やめてくれ」

浩司は静かに制止の声をかけたが、それ以力づくで止めることはしなかった。 すでに塊も類もすべて全な所へと移送されており、何より、父の遺言のにあった通り、兄が最にどのようなるのかを、浩司自の目で見届ける必があったからだ。

バキン、と音をてて隙き、鉄扉が内側へと押しかれた。

はスマートフォンのライトをかざしながら、隠し部へと崩れ込んだ。 部央、け放たれたままの巨な耐庫。 裕庫のを覗き込んだ。

しかし、棚のには何ひとつ残されていなかった。 あるのは、直方体の属が置かれていたことを示す、埃が角く拭き取られた無数の跡だけだった。

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「な……何もない……? おい、ここに何が入ってたんだよ!?」

庫のに崩れ落ち、ダイヤルのにある『松原精密』の真鍮プレートを指先で狂ったように引っ掻いた。 美咲が背から庫を覗き込み、息を呑んで絶句した。

がり、血った目で浩司の胸ぐらに掴みかかった。

「言え! ここに何があったんだ! か!? 価証券か!? 親父の隠し財産はいくらあったんだよ!!」

浩司は、自分の胸元を掴む兄のを、静かに見ろした。 父が危篤に陥った度として父の体を支えることも、そのを握ることもなかっただった。

「父さんが遺してくれたものだよ」

「だから何があったのか聞いてんだよ!!」

「兄さんが、『見る価値もない』と言って捨てたものだよ」

浩司の静かな言に、裕からスッと力が抜けた。 胸元かられ、しわくちゃになった作業着の襟が自然と元に戻った。

美咲はすでに倉庫のへと駆けし、にスマートフォンを当てて絶叫していた。

「もしもし!? 相続専の弁護士事務所ですか!? 遺留分です! 遺留分の減殺請求を起こしたいんです! 義父が隠していた財産を次男が当に独占してるんです!!」

扉の隙から漏れ聞こえる美咲の醜悪な叫び声を聞きながら、浩司はに落ちていた袋を拾いげた。 そして、へと向かって歩きした。

敷居のところで度だけ振り返ると、裕は空っぽの庫の枠を掴んだまま、呆然とち尽くしていた。

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