"面接官の誤算" 第3話
母には「そんな顔でったら面接官まで緊張するわよ」と笑われたが、その言でし肩の力が抜けた。
予定より30分以く現へ着き、くのカフェで最に資料を確認した。がづくと資料を鞄へ戻し、そびえつ本社ビルを見げた。
ここで働きたい。
その気持ちは、違いなく本物だった。
受付を済ませると、担当者に案内されて層階の待スペースへ向かった。エレベーターで緒になった社員から「面接ですか」と声をかけられ、「はい」と答えると、「頑張ってください」と笑ってくれた。ほんのいやり取りだったが、それだけで張り詰めていた緊張がしらいだ。
やがて名を呼ばれ、俺は最終面接の部へ入った。には50代の男性が3並んでおり、央に座る男が「事部の佐野です」と名乗った。のは事業部の役員と管理部の責任者で、最初の印象だけならごく普通の最終面接に見えた。
序盤は順調だった。
現の仕事で夫したこと、なぜ転職を考えたのか、入社にどんな仕事をしたいのか。俺は練習してきた文章を暗唱するのではなく、質問にわせて自分の経験を説した。の面接官は折頷き、さらに詳しく聞きたい点があれば具体な質問を返してくる。
つだけ気になったのは、央の佐野だった。
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俺が話しているも履歴を眺めたまま顔をげず、途でを組み替えたり、腕計を見たりしている。さらに度、さくあくびをかみ殺すような仕まで見えたため、最初は体調でも悪いのかとった。
しかしが経つほど、単に興を持っていないだけなのだと分かってきた。
「館さんが弊社を志望する番きな理由は何ですか」
側の面接官からそう尋ねられ、俺はし考えてから答えた。事業内容や事制度への興だけではなく、自分が働くまで含めて話したかったからだ。
「し個な話になりますが、俺……失礼しました。私は母子庭で育ちました」
言い直すと、面接官が柔らかく笑った。
「母には学までかせてもらいましたが、余裕のある庭ではありませんでした。それでも度も学を諦めろと言われなかったので、社会として定した力をにつけてさせたいといういがあります。それから、12歳の兄が事に関わる仕事をしていて、昔からを見るに肩だけで判断しないでした。私もいつか、そういう仕事ができるになりたいとっています」
側の面接官が「なるほど」と頷いた。
そのだった。
央から、さくで笑う音が聞こえた。
俺は瞬、聞き違いかとった。
佐野は履歴から顔をげ、初めてまともに俺を見た。
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「片親なんだ?」
言葉の選び方に違を覚えたが、俺は「はい」と答えた。
「学も……まあ、聞いたことはあるけど、うちに来るような連のじゃの方だな」
の面接官の表が止まった。
俺は何を返すべきか迷った。学歴について聞かれること自体はおかしくないが、なくとも採用面接での言い方ではなかった。
「学名だけで評価されるとはっていませんので、これまでの経験を見ていただければとっています」
なるべく穏やかに返した。
佐野は子へくもたれた。
「でもさ、片親で、その学で、今の会社も別にじゃない。結局、が欲しくてうちに来たいだけなんじゃないの?」
を疑った。
母のことを話したのは、同を引くためではない。それを勝に貧困と結びつけ、志望まで「が欲しいだけ」と決めつけられたことに、腹の底からいものが込みげた。
それでも俺は呼吸した。
兄の言葉がをよぎった。
挑発には乗るな。
そので勝とうとするな。
俺は姿勢を崩さず、「待遇だけで応募したわけではありません」と答えた。
すると佐野は、つまらなそうに眉を寄せた。
「学歴の貧乏は、面接する必なし。採用で決まりだな」
今度は聞き違いではなかった。
内の空気が完全に止まった。」
に座っていたの面接官も、さすがに佐野を見た。
が「佐野部、その言い方は」と止めようとしたが、佐野はをげて黙らせた。
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